【2023年・第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作】名探偵のままでいて (『このミス』大賞シリーズ)

  • 宝島社
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感想 : 579
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299037633

感想・レビュー・書評

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  • ミステリとしては少し退屈だけど、空気感は好き。
    おじいちゃんをみて、晩年のホームズもこういう感じかな~とちょっと想像した。

  • 面白かった。
    とてもあったかいミステリー。
    小説の内容も読者へ投げるボールも。
    登場人物もみんな愛情に溢れていて。
    ミステリーなので、敢えて、具体的にどこが面白かったとかは書かないでおきますね。

    古典あるいはミステリーの原点といえる作品が登場していて、ミステリーに詳しい読者には何倍にも楽しめる一冊だろう。
    あいにく、私は、推理小説は読むが、古典的な作品はほとんど読んでいなくて、多くは映像で見ただけという、およそミステリー好きとは言えない読者である。
    だから残念だったのか?つまらなかったのか?というと、全く逆である。
    あちらこちらにミステリーの基礎知識が散りばめられており、ミステリーにはこういうジャンルがあるのかとか、確かに似たようなトリックを見たことあるなとか、こんな私でも、知らず知らずに駆け出しミステリーファンに仕立てられてしまう。
    みなさん、もっとミステリーを好きになって♪もっとトリックを楽しんで♪という作者の気持ちが表れている作品だと思います。

  • ドラマ化しそう(笑) 認知症だが切れ者の祖父と孫娘の謎解き。シリーズ化しても良さそうだし、どちらを選ぶのか、恋の行方も楽しみ。読みやすいし、分かりやすい。

  • 第21回このミステリーがすごい大賞を受賞した小西マサテルの「物語は紫煙の彼方に」の発刊名「名探偵のままでいて」を読みました。
    主人公は、小学校の先生をしているミステリー好きの女性です。
    痴呆が入ってしまった「まどふき先生」と呼ばれ生徒に慕われる校長をしていた祖父が時々正気に戻って、物語風に事件を解決していきます。
    なかなか面白かったです。

  • かつて切れ者の小学校校長をしていた祖父が、認知症を患い介護を受けながら暮らしていた。孫娘の楓は時々日常の謎を持ちかけると、祖父はその時だけ生気を取り戻す…

    幻覚や記憶障害がある「レビー小体型認知症」と言うのを初めて聞きました。
    そして、灰色の脳細胞ならぬ、緋色の脳細胞で楓の持ってくる謎(物語)を解いて行く姿は現役の頃を彷彿させました。

    オムニバス短編集で、少しずつ話が繋がっているのも読みやすかったです。
    読み進めるに連れ、少しずつ明らかになっていく楓を取り巻く人々の知らなかった一面。
    楓に好意を持つ同じ小学校の教員・岩田と、その後輩である劇団員・四季。
    最終的にどちらを選んだのかとても気になりました。個人的にら四季だったのではないかと思いましたが、どうでしょうね。

  • 軽い気分で、サラッと読み終える…つもりで、しかも認知症のこととかも~。
    いい意味で裏切られ、しかもドツボにはまり、楓さんと一緒に泣き笑いおおのき、岩田先生と一緒に時めき、四季さんのようにミステリに揺さぶられました。古典ミステリの勉強や復習もできたし。
    キャラが素敵で次々と本が並んでいるのなら、何冊も手に取りたい!と思わせてくれるほど。
    今後、活躍を期待します。
    安楽椅子探偵、嫌いじゃないです。
    でも、端から見ると辛い事もあるね。


  • ミステリと家族愛に溢れる物語。

    ーーーーー
    知識も経験も豊富な祖父を敬愛する主人公。

    ミステリ好きの祖父に可愛がられた楓は、
    特に古典本格ミステリをこよなく愛する
    一風変わった女性に育った。

    そんな楓の身近で起こる事件や謎を、
    祖父の力を借りて解き明かしていく。

    病を患った祖父が紫煙と共に見せる、
    研ぎ澄まされた知性が導き出す名推理。

    祖父を敬愛する孫娘、孫を深く愛する祖父、
    幻の彼方から時折目覚める祖父の記憶力と
    閃きが一つひとつ謎を解き明かしていく物語。

  • 認知症の祖父が探偵役、と聞いただけでミステリー好きは気になる設定が斬新。
    短編なので読みやすく、ページが進むほど、登場人物たちの過去も明かされていき、どんどん話は面白くなってきます。
    古典ミステリーのオマージュとしての話も多く、特にラストシーンは、そう来たかと思わせる終わり方でした。

  • 「名探偵のままでいて」というタイトルは楓がおじいちゃんに向けて密かにつぶやいた言葉であろう。

    楓のおじいちゃんは知識人だが認知症を患っている。にも関わらず、楓が持ち込んでくる謎を聞いただけで真相を解き明かしてしまう。いわゆる「安楽椅子探偵」であろう。

    おじいちゃんはさらに認知症が進行したり、ついには亡くなってしまう日もそう遠くないだろう。それでも変わらず楓にとって「名探偵」でいて欲しいという願いが込められているのだろう。

    話を聞いただけで謎を解き明かす様子は読んでいて気持ちよく、ハッとさせられることが多かった。叙述トリックにまんまと騙されていた。

    また、「女か虎か」のようなリドル・ストーリーに仕上げ、楓がどちらの男性を選んだのかは読者の想像に委ねた終わりは思わず声を上げてしまった。

  • Amazonの紹介より
    かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は、七十一歳となった現在、幻視や記憶障害といった症状の現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。
    しかし、小学校教師である孫娘の楓が、身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻すのだった!
      そんな中、やがて楓の人生に関わる重大な事件が……。



    第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作

    特殊な認知症を患った祖父が謎を解くという斬新な構成が面白かったです。
    事件について語るだけでなく、ミステリーの古い作品もいくつか登場し、ミステリー(特に古い作品)についての談義も描かれていて、ミステリーファンにはたまらないかなと思いました。
    個人的には、わからないミステリー小説が多くあったのですが、作家さんのミステリー愛が伺えました。

    それらを話す祖父と孫との会話が、側から見たらほっこりとした雰囲気で、心が温かくなりました。

    多少強引な部分もありましたが、日常に潜む謎を解き明かす祖父の溌剌さが伺えました。
    連作ミステリーになっていて、同じリズムで終わるのかなと思いましたが、後半からは空気感が変わり、衝撃的な真相に驚きました。

    なぜ、両親が登場しないのか?家族に秘められた謎も明らかになっていくので、飽きさせない構成で楽しめました。

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著者プロフィール

香川県高松市出身。東京都在住。明治大学在学中より放送作家として活躍。2022年現在、 ラジオ番組『ナインティナインのオールナイトニッポン』『徳光和夫 とくモリ! 歌謡サタデー』 『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン.TV@J:COM』『明石家さんま オールニッポン お願い! リクエスト』や単独ライブ『南原清隆のつれづれ発表会』などのメイン構成を担当。

「2023年 『名探偵のままでいて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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