- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309028453
感想・レビュー・書評
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ひらがなばかりの文章、独特でなまりが入っている言葉遣いだったので、読みにくく慣れるのに時間がかかった。
うーちゃんがかかになりたいと思うほどかかを愛している気持ち、うーちゃんに暴力を振るい家庭をめちゃくちゃにし勉強の邪魔をするかかに対する憎しみの気持ちが痛いほど詳しく描写されていた。
また、生理が嫌な気持ちに深く共感した。血が本の中から匂ってくるようだった。
誰からも愛されずに育ち愛を求めているかかに対して、うーちゃんはかかを産んで幸せにしてあげたいと描写に引き込まれた。自分は両親が好きだが、産みたいと思ったことはなく、こういった愛の表現の仕方があるのかと驚いた。究極の愛の形だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ひらがな多く読みにくく心情の吐露が独特で少々忍耐が必要。
しかし、そこから溢れる凄さ。
才能って素晴らしいものだと思えた一冊。 -
しんどいな~
っていうのが読んでる途中、読み終わる5行目までの感想。
まず、独特な文体。どこかの方言?
それ故が、ひらがな多くてどこで切っていいのか分からない。
3回読まないと分からなかった文章もあったり。
19歳の親離れできてないし、(あきらめて)女になりきれないうーちゃんの独特の世界観。
女になりきれないってのは、その見本?となるべく母親「かか」が壊れているから。
重荷でもあるし、小さい頃の憧れ的なものもすてきれない。
そして、「かか」も結局幼少期から成長で来てない感。
「かか」も「うーちゃん」も精神的自立が必要なのに、それらが出来てない内向き、内向きな話で、とにかく読んでて苦しい。
ただ、わかっていたこととはいえ、最後の5行になんとなく救われました。
うーちゃんはそうじゃなかったかもしれないけど。 -
宇佐見りんさんのデビュー作。最初、少し読むのに苦労したけど、理解できない所は構わず読み進めると、止まらなくなりました。家族、命、信仰、繋がり、色んな考えに、共感や驚き、拒否や容認が混ざった感覚。この本の世界に入り込んだ。
もうすぐ80になる母に電話しました。コロナを理由に1年以上帰省しない事を心の中で少し謝りながら。 -
驚異の新鋭、才能の塊。恐ろしいほど。
読みづらくて全体的に好きなタイプではなかったけど凄すぎてひたすら驚いていた。感情の言語化が凄まじい。文字が痛みを切々と訴えてきて突き刺さる。なんなんだ。精神的に落ちている時に読むんじゃなかった。さらに背中を押してきた、もっと深くて暗いほうに。 -
自然の情景とか匂いとか表現がどれも素晴らしいと感じました!いい意味でデビュー作という感じがしてフラグの回収や流れがきちんとあって1つの完成された「作品」という印象です。宇佐見りんさんのファンになりました、推し燃ゆ含めこれからの作品もぜひ読みたいです!
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ちょっと私には読みづらい文体で、なかなか理解することができませんでした。
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読みました。穢らわしさが嫌で仕方なくて、でもそのおかげでかみさまと出会えた、だけどもう限界だから。
「推し、燃ゆ」にてSNS世界とままならない現実を織り交ぜる文学に仕立てあげるその手法に圧倒され、前作も気になって読んだのですが、こちらも見事でした。
落ち込んだことについて愚痴ろうとしても、他の人がそれ以上のことで病んでいて思わず心のうちに仕舞い込んでしまうこと。かみさまにかみさまでいてほしい気持ち。女性であることへの嫌悪感。
これらを鮮明な描写によってビシビシと胸を打たれるような感覚がありました。
今後の作品も楽しみです。 -
浪人生のうーちゃんが、高校生の弟・おまい(みっくん)に語り聞かせるような文体。うーちゃんとおまいの、かかについて。
語り口は独特で、慣れるまでに時間がかかるが、以降はとても小気味良く感じられた。ありがとさんすん。
ババとジジとかか、うーちゃんとおまい、そして従姉の明子の6人暮らし。明子の母であり、かかの姉である夕子ちゃんは既に亡くなっている。
かかは、幼いときから「おまえは夕子が退屈しないようにおまけで産んだんだよ」と言われて育ち、愛に飢えたまま大人になってしまったようだ。娘のうーちゃんにそれこそ赤ちゃんのように甘え、二人は共依存母娘であるように読める。
かかの子宮摘出手術の日にうーちゃんは巡礼の旅に出る。その旅で唯一うーちゃんが感情を吐き出せるツイッターの描写が、物語のバランスをちょうど良くしていた。作者はきっと常日頃からツイッターを使っているんだろうな、と思わせるこなれたつぶやきの応酬。
手術成功して、お土産のアレルギーの問題もなんともなくて、良かったね。
メンヘラ母とDV父のもとに生まれたうーちゃんには反出生主義的な雰囲気があったりして、なんだか乳と卵や夏物語を彷彿とさせる話だった。
ちなみに文藝賞受賞作。作者は現役の大学生なんだそう。
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母親と皮膚がつながってるように感じていた娘が胸のうちを絞り出すような内容だった。こういう、ぐちゃぐちゃになった家族の話を読むと、改めて自分の足元を見つめられるようになれて良い。表紙をめくっても赤、しおりも赤で、本作に繰り返し出てくる経血や生まれてくる時に誰しもが浴びる血潮、かかの自傷による血などなどのイメージと一致する。みっくんという弟に独特の口調で独白する形で物語が進んだが、女流文学(古い言葉かもしれないが)感があった。この作者が今後はどんな話を書き続けるのか分からない。