私小説

  • 河出書房新社
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309030951

感想・レビュー・書評

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  • 金原ひとみさん責任編集のアンソロジー。

    尾崎世界観
    西加奈子
    エリィ
    島田雅彦
    町屋良平
    しいきともみ
    金原ひとみ
    千葉雅也

    事実に基づいた虚構なのか?
    私小説の定義って難しいけど、どれも事実に沿って描かれてるのかな〜な気がした。

    個人的には尾崎さん、しいきさんのが良かった✩︎⡱

    ✎︎____________
    「電気の川」尾崎世界観

    コロナ禍のライブにおいて、気鋭の音楽ライターが書き上げたライブレポートをバンドのフロントマンが朗読する企画が行われた。だがフロントマンの音咲は読み上げるうちに現に体験したライブと書かれたレポートとの差異を感じてしまう。

    これ、クリープハイプのファンにはニマニマ止まらない〜〜♡♡
    「アレンジ」「もう、散々」「春夏秋冬」「ヒモ」、、、、なんて上手いこと置き換えるんだ笑笑
    読みながら、これってあの曲やん!って考えるだけで楽しかった!
    ちなみにボーカルは尾崎さんではなく、音咲さん!

    ユーモアがあって別のところで楽しんでしまったけど、そこに書かれてる気持ちは分かるな〜と思った。
    ミュージシャンのみならず、自身の事を第三者に書かれる立場の人は、そういうジレンマに駆られる事が多いだろうなと思った。

    ✎︎____________
    「鉛筆」しいきともみ

    どれだけ嫌な事があっても、鉛筆さえあれば大丈夫だった。僕の鉛筆は指先を伝い、頭の中でプロ野球のバット、ピッチャーの腕、勇者の剣、、思いつけばなんにだってなれた。僕はその物語の主人公になれた。

    My Hair is Bad のボーカル、しいきさんによる「私小説」。
    空想?妄想?の世界に浸るって誰にでもあるんじゃないかな?
    現実がうまく行ってない時とか、空想の世界に逃避するのも分かるな〜と思いながら読んだ。

    他に西さんのは「くもをさがす」を読んだので、ちょっとした違いで虚構っぽくなってる所を楽しく読んだ。
    金原さんのは、いつも書かれてる小説の世界を自で行く感じだった。

    「私小説」って、どういう定義の物なのかよく分かってないけど、面白かった。

  • 「作家は真実の言葉で嘘をつく」──小説家・金原ひとみが「私小説」をアップデートするまで|Web河出
    https://web.kawade.co.jp/bungei/42997/

    私小説 :金原 ひとみ,尾崎 世界観,西 加奈子,島田 雅彦,町屋 良平,しいき ともみ|河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309030951/

  • 私小説なのかはさておき、主人公と作者が似ているとこれって本当のことでは?と思うことしばしば。とくに金原さんの作品はいつもハラハラする、事実なのでは、もしくは事実に近いのでは、と。今回も爆発してて面白かった〜。
    それ以外では西加奈子さんのカナダでの話が面白かった、これも事実を基に書いているのではと思わざる得ない感じがね。

  • 最近難しい本はまったく頭に入らなくなってきた。
    私には難しい本だった。

    唯一西加奈子さんのは発売された話題の本の一部なのか、
    素直に読めて、まだまだ読みたいと思った。

  • 「文藝」2022年秋季号、金原ひとみ編集「私小説」の単行本化。

    千葉雅也氏 「私小説」論、あるいは、私の小説論

    千葉氏の小説を読むと、氏のツイッターも読んでいたりするので、小説の主人公って千葉氏自身とかなりだぶってるのかな、なんて感じていた。そこらへんのところをここで千葉氏が述べている。

    千葉氏に依頼が来たということは、僕のこれまでの小説は「私小説」だと思われているのでしょう、しかしそれにはしばしば複雑な思いがあるという。千葉氏は自身を「素材にしている」という。

    虚構性が高い小説でも、人物造形には作者の「抽斗」からもってきてるのもあり、典型的な私小説とみなされるのは、「作者っぽさ」「実人生っぽい」という「ぽさ」に依拠しているという。純然たる人為構築物もなければ、純然たる「私小説」もなく、この二極の間であらゆる小説は動いているという。

    作者と主人公の通俗的な一致の何が人を惹きつけるのか? ・・千葉氏の小説に惹かれるのは実はそこのところだったのだが、その問いには、それが事実「だとされる」ことが、おそらくその作者について、また社会について、何か真剣な考察を引き起こすのでしょう、としている。

    メモ
    今回この文章では、執筆サイドにおいて、現実と何らかの関係を持つということが、哲学的、あるいは存在論的にどのような意味を持つのか、そこを掘り下げたい。

    芸術とはどんなジャンルであっても「脱目的性」にある。特定の何かの役に立つためではなく、ただそれ自体として、極論的には「ナンセンスなそれ自体」として存在していること。ただ存在している「その存在のかたち」の面白さを鑑賞するのが芸術だ。

    ただ、言語芸術とそれ以外のものではすこしちがう。視覚芸術では抽象でも比較的楽しめるが、特に言語系では、言葉の意味は基本的に、実際に人間が行動することとどこかで結びついているので、行動の目的から切り離し、言葉をバラバラにして操作すると人々は恐れを抱き、なかなか楽しむことはできない。音楽も言語系といえそれゆえ現代音楽には多くの人は近づこうとしない。

    「ストーリー」と呼ぶものは、行為の目的的な連鎖とそこでの因果応報や喜怒哀楽がはっきりしている。それを効果的に配したのがエンターテインメントだと言われる。

    人間とは、目的性と脱目的性の両輪でできているダブルシステムだ。目的的に行動している部分と、偶然的にそうなってしまう部分が入り混じっている。小説にはそれが反映される。つじつまが分かる部分とわからない部分が両方あるはずだ。その現実の複雑さが現れているときに、芸術的な作品だといえる。

    社会通念と偶然性のバランスを考える。
    人間は通念と偶然性の両方を必要としている。目的的に組み立てられている通念と、偶然性との間にこそ芸術の本質がある。

    問題は現実であるか、作られたものであるかではない。真の問題は偶然性そのもの。そして偶然性と現実がどのようにかかわっているのか、その存在論的な考察があらゆる小説において賭けられている。


    「文藝」2022年秋季号に千葉雅也氏の私小説論が載った、というのを氏のツイッターで知る。単行本化されたので読んだ。

    2023.2.28発行 図書館

  • 1話目の尾崎世界観さんの最初の10ページでギブアップ。
    意味不明。
    もう少し粘ったら、味が出てくるかと思ったけど‥
    久しぶりの「どうしても無理」
    西加奈子さんは読みたかったけど、1話目の意味不明が衝撃すぎて手が出ず。
    久々の途中投げ出し。
    難解すぎた。

  • 西加奈子さんの新刊が出たと知って図書館の蔵書検索したら『くもをさがす』に続く本書を発見。半分以上が未読の作家だったけれど、さすが金原ひとみ編集だけあって、人選のバランスが絶妙でどの作品もそれぞれの「私」が本当におもしろいし、巻末の水上文さんの文章には共感しかない!
    「作家は真実の言葉で嘘をつく」のオビも好き。

  •  8人それぞれの「私小説」。
     今まで思っていた、私小説とは違う切り口で表現されている印象だった。
     最初の、尾崎世界観さん「電気の川」が面白かった。
    自分が思っている私と、他人が見ている私の違い、それに関してモヤモヤする気持ちが表されていた。

  • 読了。

  • 金原ひとみの作品を欲していたタイミングだったので読めて満足

    ─「私たちの認識のかみ合わなさは、世の人間関係の複雑さの象徴と言えるものかもしれない。」─ 納得の一文

    西加奈子さんは「くもをさがす」と同時に読めたので良かった
    そろそろ乳がん検診にも行こう

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著者プロフィール

1984年、東京都生まれ。ロックバンド「クリープハイプ」のヴォーカル、ギターを担当。作家としても活動し、これまでに小説『祐介』、日記エッセイ『苦汁100%』『苦汁200%』(いずれも文藝春秋)、『犬も食わない』千早茜との共著(新潮社)を上梓。

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