銀河の果ての落とし穴

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 154
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309207803

感想・レビュー・書評

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  • イギリスやアメリカの作家の作品はよく読むが、イスラエルの作家は初めてかもしれない。

    日常の習慣など知らず、時に意味がわからなくなる時もあった。

    印象に残ったのは、『タブラ・ラーサ』。
    孤児院で生活するAは、「年寄り病」にかかっており、通常の十倍の速さで成長する。世の中に出ていくためには適正試験をパスしなければならない。
    Aは試験のすべての回答に正答するも合格にはならず、施設から逃亡を図ろうとするが...

    クローンと言うと、カズオ・イシグロの作品で臓器移植のためとあったが、復讐のために生みだすとは。
    でも、ホロコーストを体験したら、クローンでも復讐したいと思うぐらい、壮絶なのだろうなと。

  • 「窓」「GooDeed」「フリザードン」「ホロコースト記念日」「かび」「タブララーサ」「パイナップルクラッシュ」が好き

  • イスラエルの作家の短編集。ホロコーストの記憶や戦争など血の匂いがするテーマをふんだんに取り扱っているのに、どこか浮遊している感覚を味わえる、シュールでクスリと笑えて切なく、人間が愛おしくなる作品たちでした。

  • 寝る前にちょこちょこ読むのに最適。イスラエル、アメリカの生活感が垣間見れたのもよかった。

  • それほどクセも感じず、軽い感じで読みやすく、と思って読み始めたがやはり罠に嵌ってしまった。離婚した妻との間の息子の誕生日に無理なお願いをされる。父親は非常識な行動で周りを混乱させる。これがさー、ケレットの場合、おかしくなくて、すごく哀しいんだよね。しかも共感度が強いので、どしーんとくるわけよ。自分はこの辺が苦手と思っていたが、なんだか「私達をこんな素敵な旅行に連れてきて、明日から会社行けなくなっちゃう!どうしてくれんのよ!」と斜め上発言での八つ当たりっぽいなーと思って、そういうのは止めようと思った。

  • イスラエル人の著書を初めて読んだのかも。子供甘やかし過ぎ、誕生日大切にし過ぎな印象。過剰なほどの奇想ではないけど、奇想ではある。面白かったです。

  • 『クネレルのサマーキャンプ』以外は読んだ。
    今回はSFのようなタイトルと表紙絵で、いつもとは違うのかなと思って読んだが、いつもと変わらぬケレットだった。これは貶して言っているわけではない。
    歯に衣着せぬ語り口、意外な発想(でも読めば、現代社会の問題に根ざしていることがわかる)、唐突な終わらせ方。切なくなるような物語でも、決していい話にはしないところなど、どれも好きだ。
    イスラエルのユダヤ人同士ですら、来歴や暮らし、考え方でかなりの差があり(当然と言えば当然なのだが、どうしてもアラブ人対ユダヤ人ばかりが取り上げられるため、関係の薄い人は忘れがち)、決して一枚岩ではないということは覚えておかないといけないなと思う。
    長編や映画にしたら面白いようなプロットをあまり膨らませることなく終わらせてしまうのは、ちょっともったいないけど、これも作者らしい。
    エッセイに比べるとブラックな面が際立つが、この甘くないところも良い。
    「とっとと飛べ」「窓」「はしご」「アレルギー」「タブラ・ラーサ」は特に良かった。
    ヘブライ語文学作品の翻訳と言えば母袋夏生さんと決まっていたが(母袋さん訳なら上手いので安心して読める)、これは今回初めての翻訳者。下品な言葉の勢いがリアルで良かった。

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著者プロフィール

1967年イスラエル生まれ。両親はホロコースト体験者。92年『パイプライン』でデビュー。『突然ノックの音が』は世界40ヶ国以上で翻訳。『あの素晴らしき七年』『クネレルのサマーキャンプ』など。

「2019年 『ピッツェリア・カミカゼ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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