人間をかんがえる: アドラーの個人心理学入門

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309228235

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  • 共同体感覚の見極め・正しい判断とは、公共の有用性および全体の幸福となる普遍妥当性があるもので、個で生きられないこそ“全体の幸福”を幸せに思えることが人間知といえると思った。

    人間は個では生きられないため共同体を形成しているが、共同体における男女両性の関係は絶えず不信が支配していると述べられている。現在も続く男性優位的な文化で女性が劣等的だという偏見に塗れた社会の中で、女性の不満、自己価値の否定、勇気や希望がもてないことはたやすく理解できる。この打開策として「全人類の幸福と生きる歓びは、結局は女性が女性の役割と和解できる条件が整えられるかどうか、男性が女性に対する関係の問題を解決することができるかどうか、にかかっている(P.163)」と述べられており、これに全く同意で、原書は1931年出版だがいまだ解決できていない現状を嘆かわしく思った。

    共同体の中で権威主義や名誉を求める人間文化の根底には不安があると考えたが、アドラーは「人間の不安は個人を共同体と絆によって結びつけることによってのみ相殺できる(p.258)」と述べている。いずれにせよ身体的にも精神的にも共同体と人間は切り離すことはできないのだと思った。

    様々な知見が得られて満足しているが、何度読んでも意味の通らない訳があったので少し残念だった。

  • 紀要資料
    土佐、オーテピア

  • 「男女両性の関係」の章は秀逸。
    特権をもつ理想的な男性像は、“人工的に培養された誇大妄想の足跡”であると言い切っている態度が非常に爽快。

    読んでいると、自分も含め、表面に表れてくる人間の行動全てにその人だけの経緯や理由がある、ということを思い知らされる。
    自分の行動や感情の動きの理由をメタ認知できる自分でありたいと思うし、人の行動のほんの一側面を見てその事実だけでその人を判断せずに、これまでどんな経緯があったのかを想像しようとする人でありたいと思う。

    一方、人の「良き」人生人格とはかくあるべき、という考え方や、満たされることない劣等感に苛まれる人の特性を読んでいて、身につまされすぎてずーん…となることも多かった。

    ただ全体を通して、文章一つ一つにアドラーの経験と思考が凝縮され、示唆に溢れていると感じる。

  • 教育を中心にアドラー心理学を書いた本

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著者プロフィール

1870年‐1937年。
オーストラリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家。フロイトおよびユングとともに現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立し、個人心理学を創始した。実践的な心理学は、多くの人々の共感を呼び、アドラーリバイバルともいうべき流行を生んでいる。

「2022年 『人間の意味』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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