- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309416830
感想・レビュー・書評
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吉田秀和のグールドにたいしての愛情が伝わってくる批評集だった。賛美だけじゃなく、批判も書いていくのが好きなスタイルだったし、批判も気持ちよく読めた。また時々、美しいけど、突っ込みを入れたくなる、装飾された文章が出てくるあたりも好きだ!
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『バッハ』に続いて文庫化された本書には、著者の音楽評の中から、グレン・グールドについて書かれたものが収録されている。
基本的に不調法な読者であるので、グレン・グールドの名前は知っていても、その演奏を聴いたことはない。少なくとも意識的には聴いていない。しかし本書の中には、演奏を聴いた上で読むべきテクストも含まれており、折角なので探してみれば良かったとも思う。外で読んでいたからな……。
ところで、著者が運悪くグールドの生演奏を聴き損ね、その後、結局、録音でしか聴く機会を得られなかった……というエピソードは、演奏会というものが如何に一期一会であり、その場限りのものであるのかということを象徴しているなぁ。 -
2020/04/17 読み終わった。
唯一無二のピアニスト、グレン・グールドのことを、吉田秀和さんがいかに好きかを大体同じ切り口で何回も伝えてくれる本。エッセイ集みたいな感じ。収録されている一番古い文章は1967年に、一番新しい文章は1995年に書かれた。
グールドが死んだのは1982年なので、生きている間と死んでからの文章に分けられるんだけど、死んでからの文章の方が面白い。死後にもこんなにファンがいて、著作が増えて、論じられているという事実だけでも、グールドの魅力が分かる。
ちなみに、グールドが生きている間に書かれたものはだいたい「生で聴いたことがない悔しい」なので、4回目くらいで「分かったよ!」て突っ込んじゃう。