- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309417455
感想・レビュー・書評
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爪と目の作家と知って腑に落ちました。常識が歪んでいくちょっと気持ち悪い感じ、うんうん、こんな感じの読み心地だったね〜と懐かしく思い出したけど、爪と目より大分読みやすかったのは人称が二人称じゃなかったからかしら??
短編集でそれぞれ完全に独立した話なのですが、それぞれ読み進めていくと、「どうもこの物語世界は、こっちの世界の法則が一部通用しない世界線らしいぞ」と薄々勘付くに至ります。
わずか数語・数行でその説明がなされた時の気持ちよさと、物語世界の法則のキミ悪さの塩梅が絶妙。
◉テキサス、オクラホマ
生肉色のパーカーと、ドローン達の保養所。
◉マイ・ハート・イズ・ユアーズ
はかなげな夫とたくましい妻の生涯一度の子作り。
◉真夏の一日
ギャラリー、ほくろ、変化した私。
◉愛犬
隣人の家にかつて住んでいたはずの犬の痕跡は跡形もなく消え去っていた。
◉息子
非常階段の南京錠がかかった扉の向こう側にいる息子。
◉ドレス(表題作)
ドレスという名のそのブランドでは、奇妙なアクセサリーを扱っていた。どう見ても珍妙にしか見えない指輪を愛用する恋人に違和感を覚える恋人は、やがて街中の女性達の間でドレス製作のアクセサリが流行っていることに気付き…
◉私はさみしかった
毎日痴漢の被害にあうという友人を痴漢し、私だけに挨拶をしないゲイに挨拶させるべく笑顔で詰め寄る私の孤独。
◉静かな夜
「家の中に誰かいる」そう怯える姪を寝かしつけた私は、気付いてしまった。確かにレンジフードの中から誰かの声が聞こえるのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不穏で落ち着かなくなるお話がずらり。面白かったです。
「マイ・ハート・イズ・ユアーズ」「ドレス」が特に好き。
マイ・ハート〜は妊娠するために男性が女性に吸収されるお話。カマキリみたいなチョウチンアンコウみたいな……物寂しくも逞しくて良かった。
ドレスも逞しくていい。「これがふつうなんだな…」ってなる彼氏、ドレスのアクセサリーを纏う彼女が理解できなくても受け入れようとしてて良い彼氏だなぁ。ドレスのアクセサリーがマイナーでなく、身に付けてる女の子たちがたくさんいるのも好きでした。
藤野可織さん久々に読みましたが相変わらずすごいなー。 -
不穏。「愛犬」の犬が患っている皮膚病の描写が鳥肌が立つほどグロテスクだった。
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一番面白かったのは表題作「ドレス」。恋人が付けだした一風変わったイヤリングに語り手の青年が違和感を覚えるところから始まるお話で、男の自分が読んでも打算的でイヤなやつだなあと思いつつ、決してありがちな恋人同士の帰結にならないところが良かったです。二番手は巻頭のSF「テキサス、オクラホマ」。ドローンの保養所っていうのもなかなか無い発想ですが、そこからこういうグロテスクな結末にいくとは。「マイ・ハート・イズ・ユアーズ」も妊娠と出産を扱ったSFで、夫である男の最後ばかりに目が行きがちですが、ジェンダーの問題も扱っている点が良いですね。本書ではこの三作が特に印象に残りました。
ジェンダー・フェミニズムを主題としている点が特徴的ですが、過去作から趣向はそれほど変わっておらず、藤野さんらしい奇想が詰まった作品集に仕上がっています。文章は以前よりも地の文が削られてスマートになっているように感じました。その上展開が予測不能なものばかりなので、よほど注意して読むか広い心を持って読むかしないと、物語についていけずに混乱する可能性があります(私の初読時はそうでした)。自分としては『おはなしして子ちゃん』ぐらいの分かりやすさがちょうど良かったので、藤野さんの深化についていけずに振り切られてしまいそうな予感を抱いているところですが、そのあたりも含めて実に藤野さんらしい一作だとは思います。 -
結構SFチックだった記憶
印象に残ってるのは男が妊娠する話
生命について扱ってるのに無機質っぽくて私は結構好きだった -
京都市の本屋、誠光社で購入した本。
元アンジュルムの和田彩花さん、あやちょが帯に寄稿されていたのが目に留まり。大学の同期が大ファンで。
フェミニズム短編集とのことであるが、これはフェミニズムなのか?フェミニズムの定義を再確認したくなった本。
設定がぶっ飛んでいて驚いた。
わたしはこの本から何を感じとれば良かったのだろう。
冬休みに考えさせられる本であった。 -
不思議でちょっとホラー。
今いる日常に違う世界が入ってくる感じ。
「テキサス オクラホマ」が一番好きかな
短編集。