バスカヴィル家の犬 (河出文庫 ト 10-5 シャーロック・ホームズ全集 5)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309466156

感想・レビュー・書評

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  • シャーロック・ホームズシリーズの長編作品のひとつ。

    不在のホームズを訪問したモーティマー医師の忘れ物から、彼の人物像を言い当てる小手調べの推理を皮切りに、物語が幕を開ける。ホームズとワトスンは、イギリス僻地の資産家であるチャールズ・バスカヴィルが突然死した事件をモーティマー医師から告げられ、バスカヴィル家に伝わる"魔犬伝説"による歴代当主の不審死と、事件当日に目撃された巨大な犬の足跡と付近での生物の目撃情報を知る。

    アメリカからロンドンに到着したバスカヴィル家の遺産相続権をもつチャールズの甥ヘンリーの元には、バスカヴィルの館への来訪をとがめる警告状が届き、彼のブーツの盗難や尾行する人物の存在など、不審な事件が相次ぎ、別件でロンドンを離れられないホームズに代わって、ワトスンはヘンリーに随行してバスカヴィルの館に向かう。

    沼地が広がる海辺のバスカヴィル家で彼らを迎えたのは、館でそれぞれ執事と家政婦を担当するバリモア夫妻、付近の住民として博物学者のスティプルトンと美しい妹、癇癪持ちで訴訟が道楽のフランクランドと妻、そして同地域の刑務所を逃れた脱獄囚の知らせと、正体不明の人物の存在。次々と起こる不可解な出来事とともにホームズ不在のなか、莫大な遺産を受け継いだヘンリーの身に危険が忍び寄る。

    ----------

    シャーロック・ホームズの長編作品のなかで人気作とされていますが、同シリーズの短編作品群に比べて精彩に欠ける印象を受けました。著者の本領は短編で活きるということでしょうか。ミステリ作品として謎解きに重点が置かれたものとしてではなく、ワトスンとともに不可解な数々の出来事とイギリスの湿地帯や遺跡を舞台として不吉な"魔犬伝説"が醸し出す雰囲気を楽しむための、体験型の作品として見るべきかもしれません。

  • ホームズの物語は昔幼少の頃に読んだような記憶がかすかにある。
    でもこの「パスカヴィル家の猟犬」はたぶ絶対読んでない。
    当然のように りょうけん が登場し活躍!?する。
    だがりょうけん は悪者であって最後は始末されてしまいます。
    どうやらそういう運命にできている名前の様だ(-_-)
    シャルロック・ホルムズに乾杯!

    【以下は160124追加】
    さても「訳者あとがき」での ”小林司/東山あかね” ご両人によるウンザリするご託宣にはあきれるばかりである。
    独自の解釈は自分の身うち内だけにしておけ!なにがシャーロキアンだ!
    このようなへんてこな思い込みをどうしてホームズ全集に載せなければならないのだ。
    この「訳者あとがき」部分さえ無ければとても良い文庫本全集なのに。大変に悔やまれる。

  • ★4.5

    中学か高校の頃に初めて読んだときは、中々おどろおどろしい作品だなと思った作品ですが、改めて読み返してみると、描写は中々ミステリアスな描写ですが、描かれている内容は、極めて真っ当な推理小説的な内容。どういうトリックであったのか、微妙に忘れていたのですが、読み返していて、「あぁ、そう言う事だったのか」と改めて理解しました。

  • さすがシャーロック・ホームズシリーズの最高傑作と言われるだけあって、面白かった。

    特に、脱獄囚と謎の男を追跡するシーンと、ホームズの登場シーンは、シリーズ中屈指の名場面だとおもう。

    しかし、ワトスンは相変わらず暇すぎる。いきなり当日に依頼人と一緒にしばらく田舎に行ってくれと言われて、ワクワクとかドキドキとか、普通に仕事してる人なら絶対思わないですね。

  • パスカヴィル家の犬。時代を越えて面白すぎた。一ページの中で、そんなぁと失望し、すぐにどんでん返しがあった。鮮やかすぎて、見事!

  •  幼稚園児にしてすでに怪獣少年となっていた私が小学校の図書館で見出したのは、お恥ずかしながら、『宇宙怪獣ゾーン』(『宇宙船ビーグル号』のジュヴナイル版)と『夜光怪獣』であった。
     確かに夜に光る怪しい獣の話であるから『夜光怪獣』と訳した山中峯太郎、間違ってはいないが、しかし、怪獣といったらふつう巨大生物である。その後『バスカーヴィルの魔犬』という子ども向けのを読んだが、大人向けのは『バスカヴィル家の犬』。怪獣、魔犬、犬と何だか落ちぶれたように感じたものである。
     原題の「犬」はドッグではなくハウンドで、訳せば猟犬。日本語読者は「バスカヴィル家の犬」と聞いて、スパニエルを思い浮かべたとしても仕方がないのだが、英語読者ではそれはあり得ないのである。
     もっともこの訳書では「魔犬」という言葉も「怪獣」という言葉も出てくるのだが、原語は何であろうか。

     イギリスの片田舎の貴族バスカヴィル家には、一族の者が夜更けに隣接する荒れ地ムアに足を踏み入れると魔犬に殺されるという言い伝えがある。そして、当主サー・チャールズの変死。村人たちが光る魔犬を見る。相続人はアメリカで成功した傍系のサー・ヘンリー。そこで、バスカヴィル家の主治医モーティマーがホームズに相談に来る。サー・ヘンリーが屋敷に行っていいものかどうか助言を求めたいというのだ。
     「最後の事件」でホームズは死んだはずだが、それについては何の説明もなく、読者は「ライヘンバッハの滝」以前の物語と推測するしかない。
     ホームズ級の名探偵はそこにいるだけで事件を解決してしまうので、ドイルはホームズを遠ざける。他の事件で手の放せないホームズに代わって、ワトスンがサー・ヘンリーに同伴してバスカヴィル邸に赴くことになった。つまり本書の探偵はワトスン先生である。いや、なめてもらっては困る。天才ホームズの傍らにいるとワトスンはとんだボンクラのように見えてくるが、アフガン戦の傷痍軍医で、ホームズからも「君は根っからの行動派だ」といわれるように、なかなか頼りになる、優れた凡人なのである。
     さすがにワトスンも心細くなったころにホームズが再登場する場面はとても印象的で、幼い頃に読んだ記憶が不思議と蘇ってきた。しかし、子どもには読み取れなかったのはムアというトポスの存在感である。

     端から犯罪の解決ではなく、超自然的な力の跋扈が暗示されている。執筆中のドイルの手紙によるとこれは「恐怖小説」である。この小説の主人公はホームズでも魔犬でもなく、荒れ地ムアである。ドイルはムアを魅力と恐怖の同居する土地としてこれでもかと描きあげている。ムアに潜伏する凶悪な脱走兵と捜索する警官、不審な行動をとる執事、何か隠し事のありそうな隣人などはすべてムアの付属物のようだ。
     超自然と思われたものをホームズの理性が解き明かす『バスカヴィル家の犬』は、超自然現象を科学的に解き明かす探偵ドラマの先駆けともともいえる。ドイル自身は後に心霊主義に走ってしまうのは興味深いことだが。

     訳者解説は今回もまた、ドイルの母の不倫が作品に反映しているという説だ。ラカンが「盗まれた手紙のセミネール」でデュパンを取り上げたように探偵小説と精神分析はどこかで親和性があるのかも知れないが、ラカンがあくまで構造を取り出すのに、訳者は小説の人間関係を現実の人間関係に置き換えてみせるだけであり、毎回毎回ではいささか辟易する。

  • 100年前?の作品でも惹き込まれることは確か。

  • 河出文庫版。シドニー・パジェットの挿絵と単語解説がいいのだが、訳者あとがきがあんまり好きではない…

  • やはりこの詳しい注は助かる。初読の時は必要ないだろうが、何回も読んでいる身としては新しい発見があって楽しい。
    この版での特徴は解説とあとがき。どちらも力作です。知らなかったことがたくさんあった。
    何よりすばらしいのは初出の挿絵が全点載っていること。

  • 描写が怖かった。なぜステイプルトンが妹にそれほど執着するのかわからなかったけど、伏線回収。
    いろいろなところに話が派生して、人もカタカナでところどころ誰だっけってなってしまった。
    犯人は結局ムアに落ちて死んでしまったのか。

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