不勉強が身にしみる 学力・思考力・社会力とは何か (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334033330

感想・レビュー・書評

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  • 凡庸な親が子供に勉強させる前に自分も勉強しなくてはならないと考えるための本。理由など分からずなんとなく感じていたことが、人間の本質に入り込んだ著者の見解のお陰で、色々頷くところ多し。各章各章金言がパレードで行進しており、特に、科学と文学の対決の話は珠玉でした。

  • とても良い本に出会いました。筆者の勉強に対する考え方はとても参考になります。
    歴史の勉強と史観の分離など明快に書かれています。
    売らずに手元に残します。

  • 最近感じるのは勉強していないとか、学歴がないだとかいう人ほどポテンシャルが高い人で、理想がはっきりしている方が多いと感じました。
    この本の著者が自虐ネタちっくに語る不勉強者(歯医者ですし)にもならない者としては、共感できる部分も多い中でも、軽い自慢+スリコミがあるように感じました。リタイアです。

  • 9位
    教養主義が崩壊した今、なにを学べばいいのか?
    国語、倫理、歴史、数学、科学、そして勉強法について考える。
    名言が至るところにあります。

    「思春期以降は、国語教材に占める小説などの文芸作品の比率を、減らしたほうがいい。文学の怖さが分かる人なら、この意味は分かるだろう」

    「たしかに史観によって史料を選択し、流れを作らなくては、歴史を総体として把握することは出来なくなる。(略)だが、結論の出ない問題、安易に断定できないことが世のなかにはあるのだということを生徒の前に明らかにするのは、別に恥ずかしいことではあるまい」

    「科学は、ときとして科学者自身の願いを裏切るような事実を発見せしむることがある。そのような冷徹さこそが、科学の「正しさ」なのだ」

    「本当は現代人は数学が分からないのではなくて、分かりたくないのだ。みんな、バブル経済であれネズミ講であれ、自分の欲望を甘美に刺激してくれる詐欺にひっかかりたい、と無意識に思っているのだ」

    長山さんの堅実な思考法に引き込まれました。

  • 著者なりの教育方針が語られている本。内容の構成がちょっとアンバランスで、教育制度の批判をするのと、著者が教えたいと思う内容(倫理や歴史)の掘り下げとが、同じようなボリュームになっているので、何を主張としたいのかわからない。後者であれば、それだけで一冊の本を出した方がよいと思うのだけど。■それなりに考えることはあったけど、自分の子どもに数学も倫理も歴史も「著者のように」ちゃんと教えられる大人じゃないとダメって言われているようで、ちょっと押しつけがましく感じられた。

  • かつて日本人は勤勉だと言われていた.(冒頭の一文)

    読み終わっても腑に落ちないこの感覚はなんだろうか…

    う~ん,タイトルにこだわりすぎた姿勢で読んでしまったのかなぁ.

  • [ 内容 ]
    四〇歳を過ぎた。
    親として子に何かを教えようとしたとき、ふと、自分の生きざまを問われ、恥じ入りたい気持ちになる。
    子供に読んでやる文章が、自分自身の身にしみる。
    この年になってやっと、本当の勉強の意味に気付いた気がする―。
    学力低下不安から、子供にお勉強をさせることは、一種のブームと言える盛り上がりを見せている。
    しかし現在の日本人の不勉強ぶりは、子供にお勉強をさせればいいというレベルをとうに超えている。
    自戒を込めて言えば、すでに大人からしてダメである。
    本書は、凡庸な親が自分も勉強しなくてはならないと考え、しかし何をどうやって学ぶべきか、そもそも勉強とは何だっけ、といった事柄を、国語・倫理・歴史・自然科学といった広い分野にわたって思い悩むドキュメントである。

    [ 目次 ]
    序章 不勉強社会ニッポンの現実
    第1章 そのお勉強でいいの?
    第2章 読書のすすめ、もしくは戒め
    第3章 倫理は教えられるか、学べるか
    第4章 「正しい歴史」は存在するか
    第5章 自然科学と論理的思考力
    第6章 「好きなら伸びる」は本当か

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ところどころ、ヒヤリとする言葉があるなあと感じる当たり、自分の迂闊さを痛感。いやはや、困ったものだ。
    本書には、ある種当たり前の事しか書いていないが、だからといってその当たり前を当たり前と認識できている人はこの本を必要としないだろう。
    結局、これは内田樹さんのいう「遅れ」なのだろうな。しかもそれ自体もはやどうしようもない。
    でも、まあもやもやは残るものの、とりあえず前に進むしかないし、そのために私は勉強するしかないのだろう。切実。

  • 忙しさの荒波にもまれて、倫理とか歴史とか人生の中で一度は真剣に向き合わないといけない勉強をそっちのけで人は「大人」になっている。
    それでも生きていくには困らないけど、自分が親になった時、改めて自分の不勉強が身にしみる。

    確かに塾講のバイトしてるときにもう一回歴史とか理科とか復習しないと恥ずかしいなって思ったこともあってなんとも共感した。

    倫理、哲学、歴史、生涯学習としての趣味の在り方など、少々厳しい視点での著者の捉え方も記されていてなんとも勉強になった一冊。
    これを読んでちゃんと勉強する人がちゃんとした大人になるんだろうなぁ

  • 私も「不勉強が身にしみる」

    数年前から冬のオリンピックになると注目される競技に
    カーリングがある
    基本的なルールは簡単だが、競うためにはわざとポイントを失う
    などの勝つための複雑なセオリーがあり
    知れば知るほどのめり込むようなところに人気がある

    勉強の中で数学、物理は特に嫌われ者である
    日頃の生活でどう役に立つのかイメージがわかないかららしい
    そもそも数字を扱うというのがイメージを作り上げにくいらしい
    この公式は美しい、すばらしい証明だなどと
    美術品を評価するように表現する専門家を尻目に
    出来る限りそれらには近づこうとしない多くの人たち

    実は知らないが故のことである
    それにはカーリングなどのスポーツを観戦するための
    予備知識の程度ではすまないが
    努力をすれば得られる知識がある、さらに楽しみもある
    そしてどう活用できるかは身につけたもののみに与えられる
    感覚的なものである
    身につけたもの同士は共通の認識があるため
    それ相応の意思の疎通ができる
    それは同じ専門の専門家同士だけではない
    そのレベルに至っていれば関係がないのである

    著者は勉強をしないとこれからの世の中では
    困ることになると自分の反省を込めて強く訴えている
    冷静に客観的な立場で社会を見渡し
    「勉強」「読書」「倫理」「歴史」「自然科学」
    「好きなら伸びるか」について説明している

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著者プロフィール

長山靖生(ながやま・やすお):1962年生まれ。評論家。鶴見大学歯学部卒業。歯学博士。開業医のかたわら、世相や風俗、サブカルチャーから歴史、思想に至るまで、幅広い著述活動を展開する。著書『日本SF精神史』(河出書房新社、日本SF大賞・星雲賞・日本推理作家協会賞)、『偽史冒険世界』(筑摩書房、大衆文学研究賞)、『帝国化する日本』(ちくま新書)、『日本回帰と文化人』(筑摩選書)、『萩尾望都がいる』(光文社新書)など多数。

「2024年 『SF少女マンガ全史 昭和黄金期を中心に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長山靖生の作品

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