4-2-3-1: サッカ-を戦術から理解する (光文社新書 343)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034467

感想・レビュー・書評

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  • 目的と手段、戦術と布陣。日本の研究が足りない。サッカーは文化で、文化を理解するのは容易ではない。

  • ロシアW杯を前ににわか勉強でこの本を手に取りましたが、私のようなシロートには、こうした布陣の解説はとても勉強になりました。

    どの布陣を採用するのかの前提には、守備的または攻撃的サッカーを目指すのか、特にサイド攻撃を重視するのか、ポジションに拘らない流動的なサッカーを目指すのかなどによって、システムは変わってくる。

    また、相手の布陣によってより機動的なシフトを可能にする戦術的交代(交代する選手のポジションとは違う選手を投入する)は、ユーティリティプレイヤーがピッチ上にいなければ成立しない芸当であるが、今回の日本代表の選出に当たって西野監督がこだわったのはまさにこのユーティリティでした。

    ただし、このウルトラCが成立するには、監督の先を見越したゲームプランと選手たちの臨機応変に対応できる高い能力が必須ですが、ワンポジションでさえ四苦八苦している日本代表には自滅を呼び込む危険な選択肢なのかもしれません。

    本書では、成功事例としてポルトガルvsイングランド(ユーロ2004)でのゲームを使って解説していますが、確かに華麗で監督冥利に尽きる采配ではあります。(0-1でリードされていたポルトガルのスコラーリ監督は後半18分、30分、34分と次々と投入選手とポジショニングを変更し、イングランド選手がマークすべき相手を混乱させました)

    日本代表にとっては、それよりももっと素朴に、交代選手が監督の描くゲームプランの中で確かな意図をもって投入されているのかが怪しい方が問題です。

    そもそも、監督にゲームプランはあるのか(均衡、逆転、リードという各場面での具体的なゲームプランと相手チームの交替に連動できるだけの2の矢3の矢の対策)、特に交替が終了5分前とかの交替は、単に負傷交代要員の消化にしか思えず、もったいない選手交代の最たるものです。

    さて、では日本チームにとって、最もよい布陣は何なのか?

    残念ながら、この本(2008年出版)では書かれていませんし、試合前に自軍フォーメーションを発表するのは愚の骨頂です。(この意味で、西野監督は対戦相手が日本のフォーメーションを事前に研究できないように、親善試合では様々な布陣を試して煙幕を張っているのかもしれません・・)

    ハリル監督は、4-3-3が基本でしたが、西野監督は3-4-2-1が本命なのかな?

    ってことで、今回の32か国チームの発表されているフォーメーションをまとめてみました。

    3-5-2 ロシア
    3-4-2-1 英国、ベルギー、日本

    4-2-3-1 ドイツ、コロンビア、アルゼンチン、クロアチア、スイス、オーストラリア、エジプト、ペルー、イラン、サウジ
    4-3-3 ブラジル、メキシコ、モロッコ、デンマーク、ナイジェリア、チュニジア、セネガル
    4-4-2 フランス、アイスランド、ウルグアイ、スウェーデン、韓国
    4-1-4-1 スペイン、セルビア
    4-1-3-2 ポルトガル
    4-4-1-1 ポーランド

    5-2-3 コスタリカ
    5-4-1 パナマ

    一応3バック、4バック、5バックで分けてみましたが、一番人気は4-2-3-1で10か国、4-3-3が7か国で続きます。

    3バックは4か国、5バックは2か国のみです。

    ちなみに、3バックよりも5バックの方が、守備的布陣のように思えますが、ポイントはどこまでディフェンスラインを高く上がられるかによるとのことで、単純には言えないようです。

    そして、本予選から負けなしなのが、スペイン(4-1-4-1)、ベルギー、英国(3-4-2-1)、チュニジア、セネガル(4-3-3)でしたが、フォーメーションと国民性との相性もあるのでしょうか?

    果たして日本が奇跡を起こせるか、応援しましょう!

  • 2017/01/27

  • へー、こういう見方もあるんだ。
    サッカーに興味がない自分でも読み通せた。

    1-0で勝つことを美しいとするイタリアの守備的サッカー

    個人技で勝るブラジルに、対抗する欧州サッカー
    ブラジル人は低い位置でボールを取って
    ドリブルでゴールまでつなげる。
    欧州人は高い位置でボールを奪って対抗するしかない

    自分がボールを真追っているときは強い
    中村俊輔、ロナウジーニョ、ロベルト・バッジョ
    相手がボールを持っているときの守備力は弱い

    ドイツ人は走るの好き。
    イタリア人は守るの好き
    オランダ人は攻める、攻める

    複数のポジションをこなせるユーティリティ型の選手が重宝
    個人技を重んじるファンタティスタとの違い

  • ☆身勝手な振る舞いをするスターは必要ない。わがままな選手がいないのがアヤックスの強さだ(p104)

  • サッカーの戦術を基本から理解できる本。日本代表のサッカーに対して批判的といわれている著者だが、この本を読めばそれだけのことを言いたくなるのは分かる気がする。
    EURO2004のチェコVSオランダの試合は当時オンタイムで見ていてすごく熱くなった試合だったが、このような解説がつくことでより深く理解することができた。
    サッカー好きな人は一度は読むべき本だと思う。

  • サッカーは布陣で決まる、という視点でいろんなことを解説してる本。
    でもまったくそうは思えなかった。その考えにこじつけていろんな試合を解説しただけ。数字の並びだけで試合の内容は決まらないと思う。ネットでの評判がよくわかる内容だった。

  •  ただ漫然と見ているのではなく、セオリーを知ることによって、スポーツ観戦はあきらかにおもしろくなる。この本、たんに選手のポジショニングについて解説しているのではなく、その意図まで踏み込んで解説してあるので、すごく頭に入ってわかりやすい。
     ジャイアントキリングは戦術の工夫なしには生まれないこと、そもそもブラジル人の個人技に対抗するために戦術を磨く欧州という図式があること、個人技に劣る日本人が世界で戦うためにブラジル的なアプローチをとる愚、「プレスが効く」とか「効かない」とかいうのは布陣と切り離せない話なのだと言うこと、中村俊介がトルシエのとる3バックシステムの左サイドで火だるまになった理由……いろんな種明かしがつまっている。これ読むと、テレビ中継のカメラに「もっとバーンと引け! アップいらねーからフィールドをひろーく映せ!」と文句を言いたくなってくるという本。

  • サッカーがわからなくても読み進んでいける良本。読み終わった後にはサッカーがわかった気になり、チャンピオンズリーグが見たくてうずうずする。

  • 語り口が鼻につく感は否めないが(笑)サッカーをシステム・戦術面から理論的に見ようという趣旨は面白い。試合を見ながら「◯◯選手の出来が良い/悪い」という話を個人の能力ではなく本書で扱われているような部分に原因追及してみるとサッカーの楽しみ方がまた一つ広がるのではないでしょうか。

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著者プロフィール

スポーツ・ライター

「2015年 『攻撃的サッカー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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