- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334043186
感想・レビュー・書評
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筆者自身の言葉で語りきれていない感が若干。筆者の感性が好きなのに。メインメッセージは響いた。
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トランプ現象とEU離脱は違うんだな。
労働者階級というもう一つのイギリスを知る。
臨場感には乏しいが、労働者階級の歴史は詳しい。
男性同性愛者と妊娠中絶の合法化(1967年)、姦通がなくとも離婚できる(1969年)のはそんなに昔の話ではない。
イギリスが財政破綻し、IMFから救済を受けていたとは。
いい意味で、英国労働者階級の激しさの伴ったバランス感覚の良さを感じた。 -
明治、大正時代の日本のような、出自主義な階級社会のままなのか…
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イギリス人と結婚し、イギリスに住む著者が描く、イギリスEU離脱投票の背景。
実際に離脱に投票した知人へのインタビューや、現地のテレビ番組、新聞記事、論説などが多数引用されており、臨場感のある本。
外国人を排斥して、知性の低い、エゴイスティックな過激な人たちが離脱票を入れた と外側からは解釈されがちであるが、実際にイギリス人として自国がどんどん移民を受け入れグローバル化、ボーダーレス化する中、下手すれば自分の仕事も奪われ、社会福祉も彼らに持っていかれるとなれば、誰しも寛容ではいられないだろう。
インサイダーからの実感こもったボヤキには共感も覚える。
また、歴史的な概観理解のために添えられた、労働党と労働者階級がいかに現代のイギリスの社会制度を作って来たかの簡便な通史が、秀逸である。
自分は文学作品や映画、音楽などを通じてイギリスの文化に触れてきたが、この本のイギリス労働者通史を読んでものすごくいろいろなことが分かった。
戦争、工業の発達、階級社会の崩壊、社会主義思想、男女同権、ワーキングクラスカルチャー、アングリーヤングメンやパンク、モッズ、ロックカルチャー etc.
今度は過激な男女同権活動家 サフラジェットについて知りたいなと思った。
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ブレグジットで揺れるイギリスで、なぜ多くの労働者階級がブレグジットに賛意を表明したかという背景にあったのは、緊縮財政による経済的な問題であった。
労働者階級が歴史的に果たしてきた役割を明らかにしながら、今もある意味ではエスタブリッシュメントに搾取されつつある労働者階級の現状を、移民との関わりも視野に入れつつ考察した著作である。 -
2章のインタビューだけでも本書を読む価値がある。
教養の低いと見られがちな労働者階級の人々がどれだけ確固とした自分の意見を持っていることか。
これを読んでしまうと、ハードブレギジットもやむを得ないと思えてくる。 -
ブレグジットの背景を学ぶには良い本だと思います。
1.この本を一言で表すと?
・イギリスのEU離脱とその背景をリポート、分析した本。
2.よかった点を3〜5つ
・少なくとも私の知る範囲では、ブレグジットに多大な夢や希望を抱いていた人はいない。(p31)
→トランプ現象とブレグジットの大きな違いだと思う。
・第?部 英国労働者階級の100年
→自分の知らない歴史だったので勉強になった。
・90年代以降,歴代政権は,階級の問題を人種の問題にすり替えて,人々の目を格差の固定と拡大の問題から逸らすことに成功してきたのだ。これは経済的不平等の問題に取り組みたくない政治家たちによるシステマティックな戦略でもあった。(p263)
→「労働者階級の反乱」というタイトルは最初意味がわからなかったが、上記の政治の欺瞞への抵抗反乱という意味だというのが理解できた。
・日本の多くの人は「欧州の危険な右傾化」と「ポピュリズムの台頭」が原因であるというところで止まってしまい、「緊縮が理由などと書くのは、右傾化した労働者階級を擁護することになり、レイシスト的だ」と苦情のメールもきた(p273)
・「他者の立場になって考えてみる、異なる意見を持つ人間に感情移入してみる」努力ができるということこそが、想像力という知性を持つ人間の特性なのだ。
そもそも、EU離脱を招いた「政治と地べたの乖離」が、その知性の欠如に端を発していたことを思えば、わたしたちはそのことを再び思い起こす時代に来ているのだと思う。(p284)
→今後社会の壁を乗り越えるには我々はどうしていけばいいか、この文に集約されていると思う。
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・p25の表
→米国大統領選では中間層や富裕層のトランプ支持・クリントン支持は数が拮抗しており、一概に富裕層だからトランプ支持とは言えないのではないか?
4.全体の感想・その他
・イギリスの労働者階級の人たちがどのような考えをもってEU離脱に賛成したのかということを的確に伝えていると感じた。
・第?部のインタビューは、現場の生の声がよくわかったので面白かった。
・緊縮財政の負の面がブレグジットの背後にあることから、緊縮財政に懐疑的になった。
・離脱派の人たちは排外主義や不寛容といった単純な発想から離脱に票を入れたわけではないということが分かった。
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英国労働者階級に身を置く著書がブリグジットの中心となった彼らの思いを掘り下げてトランプ現象と違いを語ります。「離脱派と残留派のように全く違う見解や信条を持った人の中でもオープンにそれを語り合う。「英国的」というのは、まさにそういうことだ。」との一節がとても印象的でした。
ちなみに、著者はトランプ現象を「ヒルビリー・エレジー」などで語られている貧しい労働者がトランプを支持したのではないと解説してます。
また、終章での「英国労働者階級の100年」は世界で最も早く労働者が登場した国だけあって読み応えがあります。 -
イギリスのワーキングクラスの人がどんな人たちなのか何となくわかった気がする。
言いたいときは言うし、やりたい時は本気でやる。
EU離脱の国民投票がとんでもないパンドラの箱が空いてしまって今後どうなるんでしょうかね?