- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334745301
作品紹介・あらすじ
現代社会崩壊後、陸地の大半が水没した未来世界。そこに存在する魚舟、獣舟と呼ばれる異形の生物と人類との関わりを衝撃的に描き、各界で絶賛を浴びた表題作。寄生茸に体を食い尽くされる奇病が、日本全土を覆おうとしていた。しかも寄生された生物は、ただ死ぬだけではないのだ。戦慄の展開に息を呑む「くさびらの道」。書下ろし中編を含む全六編を収録する。
感想・レビュー・書評
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上田早夕里も私の好きな作家だ。
ホラー、SFはたまた現代への警鐘を鳴らすディストピア小説。奢った人類の行き着く先を暗示しているような小説たちに、背筋を凍らせながら引き込まれる魅力を堪能した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ずっと気になっていた上田早夕里さんのオーシャンクロニクル・シリーズ。いきなり「華竜の宮」といきたいところだけど、まずは順番通り中短編集の本作から。とは言えリンクするのは表題作の1編だけ。ほんのさわりだけという感じながら、陸地の大半が水没した未来の地球を舞台にした独特な世界観は味わえた。他も妖怪探偵シリーズに繋がる「真朱の街」、デビュー長編「火星ダーク・バラード」の前日譚という読み応えある中編「小鳥の墓」、ゾッとするバイオ・ホラー「くさびらの道」など粒揃いで、様々な形態のSFを楽しめた。
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表題作が読みたくて購入。短編集だが、表題作以外も秀作揃い。
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上田早夕里さんの短編集。ジャンルで言えばSFホラーということになるのかな。
やはり、表題の『魚舟・獣舟』と『くさびらの道』が良かった。
読後に感じる一抹の喪失感とちょっと背中が寒くなるような感じ。嫌いじゃない。
この短編集の全体の雰囲気として遺伝子操作された人間が普通に暮らし、アンドロイドが人間の代わりに危険な仕事をし、そのような中でも妖怪や異形の者が当たり前のように存在する。非常にダークな未来観でありながらも何となく古風な日本の雰囲気も醸し出している。映画『ブレード・ランナー』のような猥雑な感じでもなく、すべてがクリーンで管理された未来都市とまでは行かない。このどっちつかずなリアルな雰囲気、すごく好きですね。
上田早夕里さんの著書はかなり前に『火星ダーク・バラード』を読んだ記憶があるのだけれど全然覚えていない。本書の約半分を占める中編の『小鳥の墓』が『火星ダーク・バラード』の前章譚らしいのでいつかもう一度読んでみよう。
次は、『魚舟・獣舟』の世界観が引き継がれている『華竜の宮』をじっくり読んでみたい。 -
どれもはっきりスッキリ終わるという感じの話ではなく、なんとなく物悲しいのが印象的だった。
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「深紅の碑文」を読んだら、つい再読したくなって。
表題作「魚舟・獣舟」は、やはり傑作です。
陸地の大半が水没した近未来。
初めて読んだ時も、特殊な設定にも関わらず、
すんなりと受け入れられたのを覚えています。
ここから「華竜の宮」「深紅の碑文」が作られたんだなぁ…
寄生茸が増殖する「くさびらの道」も好き。ホラーですな。
「真朱の街」も、恒川光太郎さんを思わせる奇妙な味で好き。
中編「小鳥の墓」も傑作ですね。
改めて暗い雰囲気の短編集だなぁと思いました…(笑) -
かなり上質のSF短編集。ホラー色が強いものもあれば人間心理を深く抉る作品もあり、どの話も読者を休ませず楽しませてくれる。表題作は別格。中編「小鳥の墓」も読み応え有。