クロスファイア (上) (光文社文庫 み 13-12 光文社文庫プレミアム)
- 光文社 (2011年7月12日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334749736
作品紹介・あらすじ
青木淳子は常人にはない力を持って生まれた。念じるだけですべてを燃やす念力放火能力-。ある夜、瀕死の男性を"始末"しようとしている若者四人を目撃した淳子は、瞬時に三人を焼殺する。しかし一人は逃走。淳子は息絶えた男性に誓う。「必ず、仇はとってあげるからね」正義とは何か!?裁きとは何か!?哀しき「スーパーヒロイン」の死闘を圧倒的筆致で描く。
感想・レビュー・書評
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鬼畜の所業としかいえない犯罪をやっておきながら、逃げおおせた犯人に鉄槌を!
とは、考える。
宮部みゆきさんがその感情を料理するとこうなるわけかー。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
上下巻読み通しての感想。
主人公・青木淳子には念力放火能力がある。
強い正義感を持ちながら、同時に人を殺す能力を持っている淳子。
法によって裁かれない犯罪者たちを、淳子は自らの意思と能力で罰しようとする。
一方、「ガーディアン」は同じように犯罪者には罰が必要だと思っているが、「正義のためには多少の犠牲は仕方がない」と考えている。
偶然か、運命か、この多少の中に不幸にも含まれてしまった人にとってはとんでもない考え方だ。
「正義」とは何か?
人が人を殺していいのか?
能力はいったい何のためにあるのか?
「あたしは装填された一丁の銃だ。
常に標的を探している。」
自分を銃に例える淳子は、そう思うことでどうにか自分を保ち、自分の存在を許そうとしているように感じた。
能力者は必ず一度は自問自答するのだろう。
この力は何のためにあるのか?と。
子供の頃から能力を持つがゆえに普通の暮らしが出来なかった淳子。
人との関わりが薄かった分他者への共感力が著しく乏しく、そのために歪んだ正義感が淳子の中で正当化されてしまったのだろう。
淳子の孤独と哀しさ、突き刺さるような胸の痛みを感じさせる物語だった。 -
超能力を使い火を放つ能力を持った青木淳子。ある夜4人の若者が一人の男性を殺そうとする現場を目撃してしまう。淳子は三人を焼死させるも、一人逃がしてしまい男性も死んでしまう。淳子は男性の復讐を誓い、逃げた一人の足取りを追い始める。
淳子の暴走ぷりが読んでいて痛々しい…。正義を実行しているのか、ただ自分の力を解放するためのはけ口として、悪人たちを殺しているのか、読めば読むほど分からなくなってきます。そのためか淳子の静粛の場面はとてもモヤモヤしてしまいます。
モヤモヤの原因としてもう一つ思うのは、淳子が事件に対しては基本的に部外者だということです。確かに被害者には同情しますし、加害者は少年のため大した罪にも問われない可能性は高いです。
また犯人グループは死んだ男性の彼女を人質に取っていてそのために手段を選んでられない、という事情があるのもわかります。
それでも事件に対し完全に部外者である淳子がここまでやることは正義なのか、当事者以外の人たちも巻き込む必要はあるのか、そうした苦悩があまり描かれておらず、ひたすら怒りにまかせて人を焼殺してしまうのが、とても違和感があります。彼女の正義は本当に歪みがないのでしょうか。
犯人を追う物語から、謎の人物、謎の組織が出てきてまだまだ波乱は起こりそう。また警察側の動きも描かれていて、警察は淳子にたどり着けるのかも気になるところ。
そして何よりも気になるのは淳子の正義の行方。このあたりもしっかりと下巻で描いてほしいです。 -
面白かった!最後まで。
ドラマ見てるのと一緒! -
約20年振りくらいに再読。
宮部みゆき作品で一番最初に読んだ本。
安定のおもしろさですね。下巻が楽しみです。 -
3年ほど前に、旅行中に読んだ本で、この前図書館で、珍しく文庫本を発見し、読んでみました。
このクロスファイアでは、念力放火能力を持っている青木淳子が、たまたま、溜まっている力を放出させようと訪れた廃工場で、若者たちがやってきたことから始まります。また、おっかさんと呼ばれる石津ちか子刑事視点と、交互に物語が進んでいき、どちらもどんどん進んで行き、目を離すことができず、どんどん読んでしまいました。
宮部みゆきさんの作品は、時代物以外は、ほとんどすべて読ませて頂いているのですが、多彩なジャンルを書いていらして、どの作品も外れがないです。また宮部みゆきさんらしい作風がいいですよね。
この調子で、下巻も読んでみたいと思います。 -
ダークヒーロー(能力持ち)である青木淳子が悪を裁く。それを追いかける婦人警官、キーパーソン変わり者刑事。
宮部さんの長編は魅力的なキャラクターがいっぱい!今回では特に牧原さん。冴えない感じなのかも知れないけれど、カッコいいです。上巻では起承転結の「承」途中くらいまでだったので下巻が楽しみ。