- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334751821
作品紹介・あらすじ
1872年のロンドン、謎の紳士フォッグ氏は、"改革クラブ"の友人と金2万ポンドの賭けをした。それは八十日間あれば世界を一周できるというものだった。成功に絶対の自信をもつフォッグ氏は、フランス人の召使いパスパルトゥーを従えて出発。全財産とプライドを賭けた旅が始まった。
感想・レビュー・書評
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初出は1873年。原題は…と書こうとしたら、フランス語だった。あれっ、ヴェルヌはフランス人なのか!知らなかった。
高野優訳。
主人公のフォッグ氏はイギリス人の典型的紳士。典型的、というが、作者がフランス人であることからすると、外国人からみた「典型的イギリス紳士像」なのかもしれない。私にはあまり微妙な差異はわからないのだが。
毎日きっかり、同じ時間に家を出て、《改革クラブ》で新聞を読んだりトランプのホイストをして過ごし、同じ時間に帰宅するフォッグ氏。
1872年の10月2日、新しい召使い、フランス人のパスパルトゥーがやってくる。時間に正確で几帳面な主人に安心したパスパルトゥーだったが、同日、フォッグ氏はクラブのメンバーと、80日で世界一周ができるかどうか、大金の賭けをして帰ってくる。そしてほんの少しの荷物だけを持って、いきなりパスパルトゥーと旅立つのだ。
いつも冷静沈着、成功に自信を持つフォッグ氏だが、旅にトラブルはつきもの。
しかもフォッグ氏のことを五万ポンドの強盗犯と勘違いしたフィックス刑事が執拗に追ってくる。
インドでは電車が途中までしかできてなかったり、象をぼられたり、サティで殉死させられそうな夫人を助けたり、インドで寺社を冒涜したとして捕まりかけたり、香港でパスパルトゥーがアヘンを吸わされて船の時刻までに戻って来れなかったり…
とまぁ、色々なことが起きる。
これがねぇ、当時のイギリス統治下の植民地だったり、交通事情だったり、イギリス人フランス人の性質や習慣だったり、うかがい知ることができるのが面白いんですよ。
さて、香港で横浜行きの船に乗り遅れたフォッグは、別便をチャーターして寄港地の上海まで追いかけるも、目前で出航してしまい…というところで下巻へ!
日本では一体どんなトラブルが起きるのでしょう?
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この作品の作者ヴェルヌはフランス人であるが、彼がイギリス人を主人公にし、フランスではなく、ロンドンをスタート地点にしたのかということを疑問に思わないだろうか?
ロンドンには有名なグリニッジ天文台があり、『八十日間世界一周』が出版された1873年にはロンドンに本初子午線を設定しようという案が既に出されていた(実際に採用されるのは1884年)。
イギリスが当時世界にたくさんの植民地を抱え、確かに世界の中心と言われても違和感はないかもしれないが、子午線という概念も関係していることに注意してみると面白いかもしれない。パスパルトゥーがロンドン出発後、国によって時差があるにもかかわらず一度も自分の時計の時差をなおさず、ロンドン時間を維持し続けたという要素もそれと関係している。
もちろんロンドン時間を維持することが物語のサプライズエンディングに影響するということも関係しているのだが。
また、なぜ単なる世界一周旅行記ではなく、80日のタイムアタック形式が魅力的なのかという話だが、無制限の旅行にすると、主人公たちは長い期間いろんな国に滞在することになり、展開がマンネリ化してしまう。80日という期間がそのマンネリ化を避け、目まぐるしい展開を提供している。 -
著者、ジュール・ヴェルヌさん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。
---引用開始
ジュール・ガブリエル・ヴェルヌ(フランス語: Jules Gabriel Verne、1828年2月8日 - 1905年3月24日)は、フランスの小説家。ハーバート・ジョージ・ウェルズ、ヒューゴー・ガーンズバックとともにサイエンス・フィクション(SF)の開祖として知られ、SFの父とも呼ばれる。
---引用終了
で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
1872年のロンドン、謎の紳士フォッグ氏は、"改革クラブ"の友人と金2万ポンドの賭けをした。それは八十日間あれば世界を一周できるというものだった。成功に絶対の自信をもつフォッグ氏は、フランス人の召使いパスパルトゥーを従えて出発。全財産とプライドを賭けた旅が始まった。
---引用終了 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/742256 -
ただただ面白い。
80日っていうのは「日の沈まぬ帝国」だからこそ出来たんだろうな。 -
これは面白い!世界をめぐる旅!サスペンス!謎!
訳もよいのだろうが、古典的な作品で、ここまで一気に読むことになろうとは!下巻も楽しみ。 -
子供の頃もちろん長編ではないが読んで感動した作品。主人公の物怖じしない冷静さがかっこよかった。2018.12.29
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ヴェルヌを読むなど何十年ぶりであろうか。いま読むとチャチに感じる部分も多分にあるけれど、十九世紀の時代の熱さがそのまま伝わるような気がする。少なくとも子供のころに持っていた冒険への憧れみたいな感覚を思い出す。ストーリーテリングは軽快そのもの。また、無邪気ですらある進歩主義も読んでいて心地よい。
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【展示用コメント】
見えない線×24を踏み越えて
【北海道大学蔵書目録へのリンク先】
https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=2001432245&key=B151607974411725&start=1&srmode=0&srmode=0#