崩壊 (光文社文庫 し 42-1)

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  • 光文社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334769499

感想・レビュー・書評

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  • バブルは、経験してるんやけど、恩恵に預かる事もなければ、その逆の悲惨な経験もない。
    何か仕事忙しくて、な〜んもしてなかったって感じ。何か景気ええ事言うてるわ的な。

    相変わらずのええ感じの関西弁は心地よいけど、タイトルの如く、バブルで大変な人らとか、崩壊してる家庭がチラホラ。犯人側にも、追う方にも。
    警察小説になるんかな?
    はじめに登場人物が記載されているように、少し関係がややこい。
    犯人は、途中で明らかになっていくんやけど、動機がイマイチ…
    後半は、それを追っていく感じになる。最後に分かるけど、何かしんどいな…
    正義感があるのはええ事なんやけど、その正義感のせいで…
    決して、それが悪いとは思わんけど…
    起こった事考えると当事者は、いたたまれない…(T . T)

  • 背景にあるのはバブル経済の破綻に巻き込まれた人達の末路で、とても憂鬱な気分になる。犯人にも意外性がなく、中盤から浮上した容疑者がそのまま逮捕される展開で、犯人の動機もイマイチ理解できず、親しみのある主人公である刑事について深掘りしてほしかったが娘との喧嘩だけが印象に残るかんじで、相棒の女性刑事についても同様で二人の暗い過去が現在にどのように繋がるのかを読みたかったかも。
    作者にはやはりユーモア満載の小説を期待します。

  • うーーーーん、面白かったんだけど、せっかくここまで種明かしするならちゃんと動機を犯人に語らせて欲しかった。自分が父を陥れた事が明るみに出るのを恐れての犯行、って俺は解釈したんだけど、解釈が分かれるラストにしないところを塩田武士のいい点だと思ってたので、星3つ。ミステリーと考えるとトリックも特に面白くはないのだけど、登場人物がなんとも良い。主人公の本宮もいいし、何しろペア組んだ優子が魅力的なので彼女が出てくる続編が読みたい。この刑事二人の崩壊しそうでしなかった家族像と対比して読ませるのもうまいとは思った。それにしても警察官を主人公にしておいて「本宮」は駄目だろう。何度も「本官」って一人称に読み間違えたよ。

  • 好きな作家塩田さんの本。
    新聞記者出身ということもあり、
    年代ごとの社会描写が上手く描かれている。
    バブル期を生きた人々の感情、背景など
    当時はそんなん人ばっかりやったんやろなぁと思う。

    ストーリーに関しては、
    あまりすっきりする解釈ができず、
    不完全燃焼な感じ。

  • 登場人物が多い…のかな。
    多くないのかもしれないが、似たような人が出てきて頭こんがらがって前のページに戻ったりして面倒くさい。
    罪の声を先に読んじゃったからか、ハードルが上がっちゃってね。初期の作品とはいえ。

  • 色んな人が出てくるのにめちゃくちゃにならずにスッと読めて、凄い本なんやなぁって思った。
    1人の被疑者からこんなに沢山の人との関わりや人生が出てくると思うと凄すぎて目眩しそうになる。
    バブルがもたらしてしまった取り返しのつかない人生。それに振り回される家族。
    終始切ないけど、読み応えたっぷりやった。

  • 市議会議長の殺害。ベテラン警察官、本宮はパートナーの若手女性警官、優子と事件を追う。警察官を主人公とするよくある殺人捜査ミステリーかと思いきや、ストーリーの軸となるのは推理ミステリーではなく、登場人物たちの人間ドラマ。

    捜査の進展とともに明らかになる本宮、優子、容疑者、被害者の家庭環境。そんな4人の過去が微妙に絡み合い、最後にピタッとはまり合う。彼らの人生には経済力や男女関係、家族の死など「崩壊」のターニングポイントがあった。それを乗り越えた者と乗り越えられなかった者の差が殺人につながった。

  • 上手い。向田邦子か、松本清張かって感じ。

  • 関西の市議会議長殺人事件をきっかけに浮かび上がる、80年代バブル経済に呑み込まれた人々とその子どもたち。ある家族の崩壊と殺人事件を通して、時代に翻弄された人間を鋭く描く刑事小説。
    グリコ森永事件を舞台にしたミステリー小説「罪の声」が話題の作者だが、初期作品である本書はまだまだ文体が固い。登場人物たちの沢山のエピソードを詰め込みすぎて、途中から誰の出来事だったのかが分からなくなってしまう。枝葉を剃ることができたら傑作になったと思う。

  • 『女神の〜』に続き、塩田作品三作目。バブル時代を題材にした刑事モノ。素直に面白かった!優子の本宮に対する態度の変化が個人的には良かった。初めはブスーっとしてたのに、後半なんて仲良くお酒を呑む仲までなって—— 。輝の犯行動機については最後に手紙が提示されたが、個人的には「?」でしたね。何故この時に殺したのかはよく分からないな、と。次作は『氷の仮面』か『雪の香り』あたりを読みたい^^

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著者プロフィール

1979年、兵庫県生まれ。神戸新聞社在職中の2011年、『盤上のアルファ』でデビュー。2016年『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞し、“「週刊文春」ミステリーベスト10 2016”国内部門第1位、2017年本屋大賞3位に輝く。2018年には俳優・大泉洋をあてがきした小説『騙し絵の牙』が話題となり、本屋大賞6位と2年連続本屋大賞ランクイン。2019年、『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞受賞。2020年、21年には『罪の声』『騙し絵の牙』がそれぞれ映画化された。

「2022年 『朱色の化身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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