サイレント・マイノリティ 難民調査官

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911614

感想・レビュー・書評

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  • 難民調査官の玲奈とその部下の高杉にシリアからテロリストと内戦の迫害から逃れ難民として日本に保護を求める親子。
    シリアの情勢と難民として日本に保護を求める父親、それとは逆に父親は日本に住みたくて嘘付いていると証言する娘、シリアが抱える情勢を背景に物語が進む。
    テロリスト、ジャーナリスト、難民捜査官、シリア国民、日々殺戮が繰り広げる情勢とは無縁で暮らす日本では無縁な様々な人道があり、その中で暮らす人達の背景が‥
    真実を追求していく難民調査官としての気概に感動と敬意が伝わるストーリーであった。この物語はまるでドキュメンタリーだ。

  • 面白かったです。
    サスペンス?社会派?

    偏らずに見ることの難しさ、大切さについて考えさせられます。
    主人公の如月さん、元難民調査官の先輩、タレント、女性フランス人潜入官(名称忘れました)、それぞれの主張に自分の非合理性、偏りに気付かされドキリとすると同時に、彼らの主張に納得し、学びました。

    難民受け入れ反対運動してる人、それを非難する記者、シリアのテロリスト、迫害されて立ち上がってる国民、それぞれ一方的で浅はかで偏っていて合理的ではない…
    どれかを絶対悪にすると必ず矛盾が生じるんですよね。

    それらしいことを並べられると、何か違う気がしても反論する言葉も浮かばず腑に落ちないまま流されたり、うやむやにしがちな自分に気づかされました。

    ドラマ化しそう!
    映像化するなら如月さんは竹内結子さんにしてほしかった…と叶わぬ思いを馳せてしまいました。

  • 面白かった。いろいろ考えさせられた。心に刻んでおきたい言葉もたくさんあった。だけど、私は読書に現実逃避を求めてるんだと痛感した。難民・内戦・テロ、正しさや情報の取捨選択。息苦しくなるほど真っ当な主張がちりばめられてて、のほほんと何も知らずに生きててごめんなさい、て気持ち。

  •  前作よりもさらにスリリングになり、おもしろくなった。前回はクルド人であったが、本作はシリアの難民の認定調査。食い違う親子の証言、宗教がらみの殺人、誘拐、外国人排除のサークルに、レイシストを糾弾する記者。日本の当たり前が、この文化でのみ通用する常識なのだとトリックを介して思い知らされる。難民に関しての知見は薄いが、興味がわいてくる一作。

  • 移民調査官の女主人公もの。今回はシリア難民がテーマなのでシリア情勢について知ることができます。こういう女主人公ものにありがちな美人で芯のある主人公。部下の男は当然恋心を抱く。その関係とか、外国人の殺人事件誘拐事件のなぞ解きを楽しむ小説。サクッと短時間で読めて、終わり方もスッキリ。

  • シリアから逃れてきて難民申請を行った親子の調査を請け負った如月と、その部下高杉。
    不法滞在になっているナディームと娘のラウアへのインタビューは食い違っていた。
    シリア問題を追うジャーナリスト二人、シリアに飛んだ長谷部や国内で差別主義反対の山口。

    読み進めてくと、?と思うところがあって、それが後々の伏線になってて、良かった。
    ミスリードと言えばミスリードだけど、そのことを知識としては知ってたけどそっちかーとちょっと驚いた。
    如月と高杉の互いに違う立場に立って話し合いをするというのが良いかも。
    ブーメランになる発言には気を付けろと言うのもわかるーって思ってしまった。

  • 難民調査官シリーズ。日本で起こったシリア人の殺害事件。そしてシリア人親子の難民認定。食い違う親子の証言に誘拐事件、そしてシリアの息詰まるような国際情勢。シリアスで重厚な題材を存分に取り上げながら、サスペンス感もあるミステリです。
    つくづくこういう面では日本が平和で良かったと思えるのですが。一方でそんな平和に安穏として、無知なだけならともかく、責任感の欠如した正義を声高に叫ぶ人がいるのは残念に思えてしまいます。たしかに正義というのは必ず正しいと限らないのに、一方の立場から信じ込んでしまうのは危険だし、それこそテロと変わらないのかも。
    事件の真相は、平和ボケした日本人には想像もつかないものでした。でもこの結末はきっと正しいのだと思います。誰も不幸になるわけではないと信じたいです。

  • 難民調査官という仕事と難民申請の難しさを下村さんならではの飽きない、スマートな書き方で引き込まれました。記者の山口にイライラ(笑)伶奈はキレッキレ!下村さんの難しい題材を深いんだけど簡潔に纏めて無駄な描写のない所が、本当にいい!また一つ、知らなかった職業と深く考えた事が無かった難民について知れた良い作品でした。

  • ちょっとキャラ立ちすぎ

  •  前作のオルタナティブな雰囲気は、かなり整理された。それは二人のジャーナリストの分かりやすい極端さゆえ。
     

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著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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