ガウディの遺言

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569853918

作品紹介・あらすじ

サグラダ・ファミリアの尖塔に遺体が吊り下げられた!? 前代未聞の殺人事件の裏には「未完の教会」を巡る陰謀が渦巻いていて――。

感想・レビュー・書評

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  • 1991年、バルセロナ。

    佐々木志穂25歳は13年前、サクラダ・ファミリアの石工となった父に連れられてバルセロナにやってきます。
    母は志穂が小学生の時にバルセロナのグエル公園で強盗に刺されて亡くなっているので、志穂にとっては忌むべき土地でした。
    志穂には恋人のホルヘがいて、結婚を望まれています。

    父の仲間で伯父のように慕っていたアンヘルが、アントニオ・ガウディの先端で首を縛られ吊られて殺されているのが発見されます。
    ちょうどその頃志穂の父は行方不明になり、刑事から、犯人は石工である可能性が高く、父には当日のアリバイがないとされ、殺人犯ではないかと糾弾され追われてしまいます。

    志穂は父から秘密の連絡を受取り、父は犯人から逃げているだけで犯人ではないと知らされます。
    父はガウディの遺したサクラダ・ファミリアの幻の設計図を持っていたのです。


    出てくる人物名が志穂と父以外、外国人であり、ガウディにも詳しくないので読みにくかったです。
    最後に犯人らしき人物が挙がったときは「あっ」とは思いました。
    でも、結末は予定調和的でいまひとつだと思いました。
    ガウディやスペイン語などに興味がある方は面白く読めると思います。

  • 未完の建造物であるサグラダ・ファミリアで起こった殺人事件。

    1991年、バルセロナで暮らす佐々木志穂は殺人事件があった日に父が行方不明になっていることから事件に関わっていると考え、手がかりを求めて奔走する。
    恋人を巻き込んで、危機迫る中ひたすら真相を突き止める姿に逞しさを感じる。

    すべてが解明されたとき、10歳で母をその地で亡くした原因まで知ることとなる。

    罪からは決して逃れられないが、人間、罪を負う者を赦すことはできる。

    この一言に意志の強さと重さを感じた。

    この物語は壮大でありガウディについても深く知ることができ、バスクとスペイン内戦のことなど歴史的なこともわかり、より一層バルセロナという地にそしてサグラダ・ファミリアに興味が湧いた。


    ガウディ没後100年である2026年は近い。

    いつ完成するのだろうか。





  • ガウディの建築物など、遺された物が多いのだなと、歴史も語られ、興味深かった。
    殺人事件というよりは、謎解きよりだった。
    建物を検索してみつつ、読み進めて面白かった。
    いつかは行きたい所だな、と思う。

  •  スペインの都市、バルセロナ。歴史的建造物のサグラダ・ファミリアを舞台にしたサスペンスミステリー。
             ◇
     サグラダ・ファミリアの尖塔に吊り下げられた死体が発見された朝。聖堂建設のため石工として働く父親が失踪したことに志穂は気づく。

     吊られた死体がアンヘルという父親の友人だったことから警察が父親を容疑者として捜査しているのを知った志穂は、自らも聖堂建設の関係者への聞き込みを開始。

     自分の行動も警察からマークされることは想定していた志穂だが、あるとき警察以外に自分を尾行する男がいることに気づいた。そして、図面は残さないはずのガウディが、ある石板を残していたことを知る。

         * * * * *

     失踪中の父親が危険を冒して志穂にかけてきた電話。それは「サグラダ・ファミリアとガウディには近づくな」という警告でした。

     ここからはハラハラの連続で、刑事からはあからさまに敵意を向けられ、正体不明の男からは身の危険を感じるような追跡の仕方をされる志穂。それでも一連の謎の解明に向けて、志穂はグイグイと突き進みます。なんと逞しい。

     でも、いかに恋人のフォローがあるとはいえここまで強いメンタルを持つ一般女性がいるものでしょうか。少しリアリティに欠ける気がしました。

     また、当時の建築についてやガウディ自身についての読み物としては実に興味深かったし、バルセロナにおける民族紛争の根深さについても勉強になったけれど、それでもなぜか物語に入り込みきれませんでした。

     殺害死体を塔から吊るす猟奇性や、ガウディの遺言にまつわる事件のスケールに比して、志穂を襲う悪意のお粗末さが気になって仕方なかったからだと思います。

     さらに、母親の死の真相を知った志穂の淡白な反応も腑に落ちなかったこともあって、物語終盤の尻すぼみ感が大きかった。

     個人的には少し残念な気がしました。

  • キリスト教、ギリシャ神話、世界遺産については今までに少しは知識を得ていたので話になんとかついていけた。

    スペイン内戦については私は詳しくない。
    フランコ政権とか、カタルーニャは現代でも独立したがってデモとかあったようなことくらいしか…
    本書で「悲劇の一週間」とかいう説明があったが、めんどくさくて読み飛ばした。

    主人公の志穂に好感が持てなかった。
    全く面白くなかった。

  • 今までの著者のテイストとは違った印象のミステリー。

    コロナ前に行ったバルセロナの思い出がよみがえり、サクラダファミリ、ガウディとスペインの風景や歴史をあたらめて知ることとなる。

    とはいえ、ミステリーの部分は、あまり納得がいかないというか、ガウディにこだわりすぎて、ミステリー要素は薄まった感が強い。

    完成がコロナ禍で未定となったこと、はじめて知る。
    残念でもあるような、未定のままでもロマンがあるような気がする。

  • サグラダファミリアに遺体が吊るされていたというとんでもない殺人事件。
    緻密に組まれた伏線が見事。
    ガウディや、サグラダファミリアをはじめとする彼の作品について、またカタルーニャの歴史について、深く学ぶことができておもしろかった!

  • さすがの下村さんですね。
    今回もかなり下調べをされて書かれてあるのがよく分かりました。情報量がとても多かったですし!
    サクラダファミリは見たことのない私にも興味そそられる説明には夢中になりました。
    少し終盤が軽かった印象だったけど、楽しめる作品になってた。

  • ガウディの建築物が大好きなので、タイトルに惹かれました。
    サグラダファミリアで起こった殺人事件。
    サグラダファミリアで石工として働く日本人の父がガウディの遺言にまつわる謎に巻き込まれ逃亡。父の無実を証明するため、またガウディの遺言の謎解きをすることになる娘。
    物語途中でガウディの情報を集めるため、いろんな関係者に話を聞く形で、サグラダファミリアや他の作品やガウディ自身にについて、知識も得られてしまうおまけ付き。

    サグラダファミリアの建築の行方もを左右されてしまうほどの壮大なスケールの話で、これは実在する世界的に有名な建造物であるだけに、どうやって収拾するのかとハラハラしながら読みましたが、きちんと落としどころがあってホッとしました。

    完成したら、計算され尽くした素晴らしい鐘の音色が街に響くだろうとありましたが、これは本当のことなのでしょうか。
    是非とも聴いてみたいものです。
    完成時期がどんどん先に延ばされていますが、本当に完成する日が来るのでしょうか。

  • ガウディの作の建物や公園について知ることができました。地中海性気候の青空に映えるガウディの建物や公園に行ってみたいな。

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著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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