同姓同名

著者 :
  • 幻冬舎
3.48
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感想 : 166
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344036789

作品紹介・あらすじ

登場人物全員、同姓同名。
大胆不敵、ノンストップミステリ。

これは、乱歩賞作家からの挑戦状。

感想・レビュー・書評

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  • 「大山正紀」がとにかくたくさん出てくるので、何度も混乱した。
    装画のように番号をふっておいてもらいたいくらい。
    予想を裏切られまくって、最後はそうなっちゃうのか…という結末。こんな同姓同名いやだなぁ。
    自分の名前を検索してみると、社会で活躍されている素敵な方々がたくさん。
    関係ないけど、嬉しくなった。

  • 社会派ミステリの一冊。

    登場人物全員同姓同名の"大山正紀"が頭の中に整列。

    その名に一度でも誰かが罪の汚点をつければたちまち影響される他の同姓同名の人生。

    考えたことがなかっただけに何人もの"大山正紀"の叫びに心が痛み、いくつもの心の問いかけにその都度足を止めたくなるほど。

    ネット社会問題を巧みに織り交ぜながら読み手の心を掴み刺激する社会派ミステリが下村作品らしい。

    終盤は円陣を組んだかのような大山正紀が目まぐるしく追えないほど散り散りに。誰がどこにいった⁇っていうぐらいの目くらまし。

    巧い、でもややこしい。

  • 同姓同名に着目したイヤミス。確かに犯罪者、芸能人、同級生に同姓同名がいた場合、比較対照となったり、同一視されたり、面白おかしく話が独り歩きしそう。今回は女児わいせつ誘拐殺人により逮捕された大山正紀と同姓同名の複数の大山正紀、大山正紀であるがために人生が狂っていった。また高校生の悪質な誹謗中傷、さらにネットいじめ、日本の社会病理がクッキリと浮き彫りになる。「名前」は不思議な存在で、ある意味運命が決まってしまう怖さがある。さて、自分の同姓同名に同業者がいますが、とっても頑張っているご様子!嬉しい限りです。

  • No. 24は035J,7
    読了日:2024年 3月17日

    公園の公衆トイレで少女の遺体が発見された。犯人は16歳で名前、写真等は報道されなかった。しかし、暫くすると週刊誌が「大山 正紀」と犯人の名前を報道する。名前が発表されたことにより全国の大山正紀の運命が狂いはじめる。被害を受けた大山正紀は、"大山 正紀"同姓同名被害者の会が設立する。会を開催すると、大山正紀が襲われはじめ。
    ------
    同姓同名の特設サイトがあり、自分の名前を入力すると「同姓同名」の世界を体験できるとのことで、自分の名前を入力し体験してみました。読んでいくと自身との境界線が段々曖昧になり暗示にかかったような感覚になりました。

    本を読んだ感想ですが、ネットの怖さ、誹謗中傷の怖さ等、色々と考えさせられる内容でした。

  • 世間を騒がせた、猟奇殺人犯。
    同姓同名の人物たちは、いわれなき扱いを受け……。

    誰もかれもが〈大山正紀〉。
    はっきりしたキャラクターから、いまひとつ特徴の薄い人物まであり、ややごちゃごちゃ。

    この状況でミステリに仕上げたのは、意欲的。

    ネットの炎上や、何を言っても批判される状況はリアルで、読んでいてきつかった。

    犯人が出所して以降のトラブルは、大いにありうると思った。

  • なかなかおもしろかったです!これまで殺人事件の話しは読んでるけど「同姓同名」を題材にした話しは斬新でとても良かったです!!
    猟奇的殺人者と同じ名前を持つことの苦しさや悩み、周りからの視線、SNSの炎上や差別などが表現されていたので読み手になるこちら側も「同姓同名」の人たちの気持ちが理解できた。
    私自身、自分の名前の名字だけでも犯人と同じ名字は不愉快ですし、、、
    今現在の話と過去の話しが合わさって進んでいくストーリーで、しかも名前も大山正紀しか出てこないので途中頭がこんがらがりました(^_^;)笑 

  • ある幼女惨殺事件で逮捕された未成年犯人が週刊誌で「大山正紀」と名前だけ報道された。これが原因で同性同名の「大山正紀」達の人生が狂わされる。7年後犯人が出所した際にまた名前だけが拡散される出来事が起き同性同名被害者の会が発足。10人の「大山正紀」が集まり対策を検討するが中には裏がある人物が混じっており…。ネット社会での炎上とそれによる現実世界での被害の甚大さ。燃やす側の認識の軽さと立ち位置の曖昧さが存分に描かれていて怖い。何時どの立場に陥ってもおかしくない社会だし。10人の裏が明かされていく過程でのどんでん返しがまだあるか!で最後まで気が抜けず堪能。しかしそれが手法とはいえ登場人物の認識大変だったよ。

  • 表紙にいる「大山正紀」に振られた番号2を見て、「2巻から読んでるの??」と夫から言われました(笑)
    いえいえこれは、「大山正紀」という同姓同名がでてくる、というかほぼほぼ大山正紀しか出てこないミステリーなんです。
    なので表紙にいる同姓同名の大山正紀たちに、番号が振られているわけです。

    大山正紀たちを識別する手がかりは、外見と生い立ちだけ。
    でもなかには明らかに脇役の大山正紀もいるわけで…その人の描写は少なめのため、印象が薄く、たまにぽんとクローズアップされたときに「ええと、これはどんな人物だったっけ…??」とはなりました。
    とはいうものの、真相はちゃんと腑に落ちましたし、ミステリーのしかけとしては、「同姓同名」のミスリードをうまく利用しているなあ…という感じでした。
    ミステリーをさらっと一気読みしたい方には向いているかな??とおもいました。

  • SNSやらAIで真実か嘘かがわかりにくくなった今、自分っていうものをしっかり持っておかないと、こんな風に人生を振り回されてしまうこともあるんだろうなぁと想像する。
    SNSに依存しない昭和な人間で良かったと心から思う。

    色んなトリックが散りばめられてて、えっ?!てなることがしょっちゅうなんだけど、そのトリックは自分の中の思い込みが原因で起きる。
    自分は普通の人間ですって思ってる人でも、多かれ少なかれ自分の考えの偏りに気づける小説です。

  • 初読みの作家さん。
    いや〜凄かった!
    破綻の無い見事な書き方。
    騙されまいと、注意深く疑いながら読んでいても、ある人物に関しては先入観から完全に間違った脳内映像で読み進めていた。
    その部分を後から正しい脳内映像で読み返してみても、少しの綻びも無い書き方にまた感心する。

    このように、真相を知って後から読み直して確認作業をしてみる作品は今まで読んできた小説の中にも数々有ったが、それは「ん?これどういうこと?」と「?」でいっぱいになってしまい、本当に確認しないとわからないから戻って読み直しただけ。

    それに比べ本書は、同姓同名の人物ばかりなのに(実際何人だったかを書くとネタバレになるので書かないが)混乱はせずに読めた。
    一度目に読んでも「?」とはならずに読み切り、どのように書かれていたから騙されたのかを確認する為に読み直し作業をした。
    今までの他の小説での読み直しとは違って、二度美味しいという感じで、高度な技術をかなり楽しめた。
    本書は、映像ではなく読書でこそ味わえる醍醐味があると思う。

    もちろん美味しいとか面白いとか楽しいというのはミステリーとしての書き方に関してである。
    著者の書きたかった(であろう)テーマは、社会問題に深く切り込んだ、とても意義深いものであった。

    ただ、本書を読んでいる間中、気になって仕方なかったのは、「大山正紀」さんという読者の存在。

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著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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