同姓同名

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344036789

感想・レビュー・書評

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  • ころころと変わっていく展開に
    先行きが気になり最後まであっという間に読み切った。
    同姓同名、今まで生きてきてそこまで気にしたことは無かった。
    しかし、今回は考えさせられるものがあったのは確かだ。
    自分の名前を好きで、誇りを持ち、素敵な命名に感謝をしながら生きていきたい。

  • 文字の醍醐味とは、まさにこのこと。

    名前という曖昧なものに、普段いかに影響され支配されているかに気付く。
    そしてまた、小説においても、どれほど名前で判別し、先入観で読んでいるかを思い知らされる。

    これだけ登場人物が同じ名前だと、それが一人称で語られる時も、二人称・三人称でも、先入観で読みたいように読んだ後、ふと冷静になって、また読み返す…
    その繰り返し。
    その一連を含めて、秀逸の一言。

    そしてSNSの社会問題への、、大きな提起。
    本で先入観に振り回される度、現実と重なる。情報に振り回されていないか…。

  • 騙されるんであろうなあと警戒しながら読みましたがやっぱり騙された!でも好き!
    小説ならではだと思いますが、ひょっとすると映像化もコロナの時代ならではの諸々で可能かもしれませんね。マスクでなんとかなりそう…かしら?

  • 登場人物全員、同姓同名。
    なんとも興味を惹かれるじゃないか!
    下村さんらしく社会派ミステリー。
    そして、二転三転する場面が多々あり何度も騙させれた!

    SNSの問題は自分も思う所があり、非常に興味深かった。
    炎上や正義。
    なんとも生きにくい世の中って思うけど、現実世界はSNSとかワイドショー的なテレビなんか見なかったらあんまり関係がないような。

    ラストは、もう何がなんだか訳分からなくなった。
    再読すべし!

  • ”大山正紀”を死なせたと自首してきたのは”大山正紀”・・・。
    冒頭の新聞記事から始まるこの作品、登場人物すべて”大山正紀”。主たるメンバーだけでも11人。この章はどの大山正紀のことなんだ?最初の1章から気が抜けない。名前という記号の不確かさに踊らされ、メモを取りながら読む私でも、ミスリードに継ぐミスリードの罠にかかり絡まる、絡まる。

    女児惨殺事件の犯人”大山正紀”とたまたま同姓同名であったがために、不幸にも人生を変えられた名もなき”大山正紀”たち。彼らは大学の推薦を取り消され、就職内定を破棄され、学校で虐められ、会社でネタにされていた。ネットに溢れる”大山正紀”への罵詈雑言、名前を聞いた途端にぎくしゃくする人間関係、そんなことを分かち合いたいと立ち上げた「”大山正紀”同姓同名被害者の会」。
    最初はそれぞれの体験を語るだけだった会に、名前を騙って潜り込んでいた記者がいたために、会は過激に方向性を変えていく・・・・・・。

    アクロバティックな設定を見事に操って、最後まで飽きさせずに読ませる手腕は凄い。そんなトリッキーな構成でありながら、訴えかける内容はとても深刻で重い。
    ネットに溢れる正義づらして他人を非難、糾弾する匿名の者たちと、それに同調して誹謗中傷をくり返す者たち。人々の”悪意”が充満する社会。
    重大事件が起こった時、加害者の家族もさらされ、容赦なく攻撃される現実。被害者家族もまたしかり。そして、今まで思いもよらなかった犯人と同姓同名の者たちの苦悩・・・・・・。
    「名前というものは、早い者勝ちの争奪戦なのだ。
    悪名だろうと何だろうと、先に有名になった者がその名前を我が物にできるのだ。」という名もなき”大山正紀”のことばが響く。

    終盤はまるで神経衰弱をしているような展開。1枚カードを捲れば、ずっと前に出てきた見落としていたエピソードのカードが捲られ、連鎖して次々にカードを取られていくようなやられた感。どんでん返しの波状攻撃に脳が疲れ果てる。
    ラストはちょっと爽やかに上手くまとまって・・・と思いきや、エピローグでまた落とされて・・・。
    疲れました。

  • ミステリーとしての面白さはもちろん 現代社会の危うさや 若さが持っている残酷さへ向けられた視点に引き付けられ 一気に読み終えてしまった

    コロナ禍の今 なおさら リアルとリンクする部分も多い
    今だからこそ 響く
    広い世代に 今 読んでもらいたい
    そして どう感じたかを聞いてみたい

  • 女児惨殺事件の犯人の名前が一部マスコミにより暴露されてしまった。インターネットや人々の記憶に刷り込まれた、同姓同名のその名前を持つ人間たちはそれぞれが辛い運命を抱えることになり…

    同じ名前ばかり出てくるので、多少読みづらいとは思ったが、その意図を知った時、感動さえも覚えた。純粋なミステリーとしても楽しめたし、SNSをはじめとするネット社会の暗部を考えるきっかけにもなった。まさに今の時代ならではのミステリーだと思った。
    そして、なにより最後の最後まで読まないと真相に辿り着かない、という点が素晴らしかった。エピローグを読まなければ、物凄くいい話で終わったのになあ(笑)

  • 登場人物ほぼ全員が同姓同名という面白い設定の、下村敦史さんの新作ミステリー。主人公は大山正紀という名前でなおかつ同姓同名人物が10人くらい登場する、身体的特徴で判断するしかないので、中盤からは(これはどの大山正紀だろう?と)混乱してくる。テーマは「人の思い込み」で途中何度も騙されたが、よく考えて読めば真相は途中でなんとなくわかるはず。あと、ネット炎上の描写がすさまじくリアルで怖いくらいだった。映像化したら面白いかも。

  • え!?え!?え!?え!?
    って感じ
    ねじれてねじれて、どの人!?って思いながら読みました
    感情移入しては裏切られて、わたしも自分の都合の良いように物語を解釈しているんだと思わされた
    ネット社会や情報社会へのメッセージも強く感じた
    おもしろかった

  • ちょっと間延びしたけれど、メッセージ性もどんでん返しもあり楽しめた

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著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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