土蛍 猿若町捕物帳

著者 :
  • 光文社
3.41
  • (5)
  • (49)
  • (77)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 261
感想 : 53
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928858

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • シリーズ5作目。連作短編集。
    今回ももの悲しい事件も多かったけれど、表題作の『土蛍』が一番好きかな。
    このシリーズは、同心・千蔭の小者、八十吉の目を通して描かれているので、千蔭が梅が枝のことをどう思っているのかはわからないけれど、二人の関係は相変わらず。今後が楽しみです。

  • このシリーズの新刊でてたのね。

    土蛍、タイトルにもなってる作品が一番好き。
    女の業ってのがちょっと滲み出てるから。
    でもさー、梅が枝さん、あなたが犠牲になって幸せになる人がどれだけいるの、と思ってしまうよね。このキャラ好きだし、どっちかってゆーと自分も姉御肌だからこそ、もう少し自分のために生きてほしい、と思う。

  • いつもの通りの登場人物に、
    いつもの通りに良い意味で淡々とした展開。

    いつもの通りに面白かったから、
    いきなり心を突き刺されたのは、
    全くもってこちらの都合。

    それにしても、
    前作で登場したおろくが、無事、北町奉行所同心大石の妻になれたのは良かったが、
    相変わらず、千蔭は縁遠い…。

  • シリーズ第5弾だとは知らずに図書館で予約しました。途中から読んでも特に問題はなかったのですが、お江戸人情ミステリーという分野では可もなく不可もなしで、宮部みゆきの足元にも及びません。

  • このシリーズ好き。短篇のせいなのか唐突に終わるのがおや?と思う。

  • おもしろかった。
    目にしたら手にするようにしているお気に入りシリーズ。

    冒頭八十吉が足が痛い、痛いと言っていたのが、なにか悪い病気の流行の始まりなのか、と不安な気持ちになったのだが、ただ蟻に噛まれただけ
    だったようで、よかったよかった。
    病気、とかそーゆー話ではなく、痛みに囚われてしまった女への伏線だったか。いやーうまいなあ。

    短編がいくつか。
    どれも、身内に潜むどうしようもない感情が引き起こした結果、といったところか。
    まさか博打を断つために他人の髷を切るなんてことするとは思わなかったが、いやー思いこんだ、とゆーか信じ込んだ人間のすることって、
    傍からみると滑稽であったりもするもんだ。
    痛々しかったのは、小野さんの奥方だな。
    でも雛鶴さん気がついてよかったよー。でも、ここでもし気がついても、
    知らぬふりをする、とゆー強かな女性だっていただろうなあ、実際は。
    修羅の道、か。げに恐ろしきは人の心。
    にしても梅が枝の心はあいかわらずよー分からん。まあ、千陰さんもだが。
    ここは、年季が明けた梅が枝が、千陰の押しかけ女房になるって展開を
    期待したいとこだが、うーん、ムリかなあ??
    そして、梅が枝、どーしても最初梅が枝餅を思いだしてしまう。
    あれ、おいしいし。

    最後のはずれくじは、まさかそんな展開??っとちょっと口あんぐり状態。
    おいおい直吉、それはないだろ、と。
    うーん、まだ杉蔵の心理の方が理解できたぞ。

  • かなり間が空いたので、新刊が出てびっくり!
    近藤さんの時代物好きだなぁ。

  • 猿若町捕物帳第5弾。
    今回は八十吉親分を語り部にして、むじな菊、だんまり、土蛍、はずれくじの四話。
    むじな菊は着物の柄で菊の花びらがむじなの毛並みのようだから名付けたもの。美しい花のような女だが実は・・・。
    だんまりは芝居の題名で暗闇の中で悪人が町人を捕まえようと手探りで追いかけるが、気づかない町人は蹴躓いた拍子に刀をかわしたりとうまく逃げおおせるもの。しかし、話は暗闇の中で髷を切られる事件が続く。真相を千蔭が追う。
    土蛍は蛍の幼虫。泥の中でしか生きられないのに暗闇の中では美しい光を放つ役者とはそんなものかと巴之丞の「生きていくには十分過ぎる金を手にいれ、女には好かれ、客には喝采を浴びる。なのに喉が乾いてならぬ気がするのです。そして、喉の乾きを覚えるものだけが役者として大成できるのかもしれない。」という言葉から八十吉が思う。
    そんな喉の乾きが事件を起こす。
    はずれくじは、はずれくじを引いた男の話だが、近藤さんの騙し。見事に騙された。
    四話を通して吉原の火事、から梅が枝の見受け話が語られている。

  • 「むじな菊」「だんまり」と淡々とした謎解きという感じでしかなかったのだが、「土蛍」も途中までは同じトーンで読んでいた。後半になり人の持つ業とかに気持ちが揺さぶられる感覚になった。
    「はずれくじ」は、どんでんがえしとまでは言えないけれど騙されたな。人は人でしかない。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    吉原で火事があった。青柳屋の遊女・梅が枝は逃げ遅れて火傷を負ったという。同心・玉島千蔭は梅が枝を気遣うが、すぐに見舞いに行こうとはしない。千蔭は梅が枝の客ではないし、深い仲でもないから。行ってどうこうできるわけでもないから。やがて、梅が枝の身請けの話が進んでいるという噂が、千蔭の耳に入る―。

全53件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

近藤史恵の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×