昔はおれと同い年だった田中さんとの友情 (ブルーバトンブックス)

著者 :
  • 小峰書店
4.16
  • (36)
  • (27)
  • (17)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 318
感想 : 45
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338308052

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 令和2年度の埼玉・夏休みすいせん図書、高学年向け。
    どこかでおすすめされていたので気になっていたし、9月に入ったので借りて読んだ。

    おれ・拓人と、忍と宇太佳(うたか)は、六年二組のしらけチーム。
    おれたちが花林神社の前の通りでスケボーの練習をしていると、神社の管理人のおじいさん・田中喜市さんが話しかけてきた。
    おれが田中さんにスケボーを貸すと、田中さんはころんで右手首を骨折してしまった。
    それから、おれたちは田中さんの手伝いをすることになった!

    いいお話でした。
    年をとってきたので、涙がぽろぽろ出てきます。
    会話文の言葉がほんとの話し言葉で乱れがちですが、そういう表面的なところはあまり関係ないのかもな、と思えました。
    物語のなかにある思いが大切で、このお話にはその思いが詰まっています。
    三重奏の三人は、それぞれの個性がきちんと描かれています。
    拓人はその中でいちばん普通で、でもとても心がやわらかく、物語の語り手になっています。
    85歳の田中さんもとてもすてきで、なぜそんなにも穏やかで優しいのかにも理由がありました。
    自分とは違う世代と触れ合う楽しみ、周りの人の違う面を知る驚きなど、人と関わることの良さがわかります。
    大人ですけども、日常も捨てたもんじゃないな、と思えました。
    早川世詩男さんという方の絵がいいなぁと思ったので、調べてみようと思います。
    『12歳』や『14歳の水平線』も読んでみたい、読みたい本がいっぱい!

  • なんて爽やかな話だろう。
    小学6年の拓人、忍、宇太佳の3人と85歳の田中さんとの友情物語。
    お祖父ちゃんでも親戚の叔父さんでもない大人、70才以上の年齢差を越えて友だちになれたことが素晴らしい。

    タイトルが絶妙だ。
    拓人たちは、田中さんが小学6の時に、この場所で起きた戦争の体験を知る。
    「おれと同い年だった田中さん」
    その時、田中さんを身近に引き寄せ、自分のこととして共感できたのだろう。
    戦争の話から始まる学校での出来事がなくても、友情の物語として十分に良い話だと思うが、それは必然だったのだろう。タイトルからもわかる。
    ラストがなんともいい。

  • ものっすごい良かった!
    母ちゃん兄ちゃん、いいね!
    チョコバナナがもうね、いいんです

  • 小6の拓人、忍、宇太佳の3人はスケボーにハマっていた。色んな技が繰り出せるようになってきた頃、いつも練習していた公園がスケボー禁止になってしまった。スケボー専用の練習場はあるにはあるが、ここから電車で1時間半かかる。困った3人は人通りもない神社の前の道路で練習することにしたが、神社の管理人のおじいさんを怪我させてしまい、しばらくはおじいさんの面倒を見ることになってしまったのだった…


    誰にでも11才の頃があったはずなのに、もうみんな大人になってしまったし歳をとってしまった。今現在の11才の子どもたちから見れば、最初から大人だったし、自分と同じ歳だった頃があったなんて考えもつかないんだろうなぁ。


    しかし、田中さんはいい人だった。ずっと1人で神社を管理して寂しく暮らしていたときに、元気な小学生男子3人組があれやこれや世話を焼いてくれた。この3人の男子もいい子たちだったしなぁ。でみ、最後の田中さんの家が他人の家の匂いになってしまったのは少し寂しいな。それは、拓人が成長したということなのかもしれないけど。


    なんだか夏休みの課題図書になりそうな、なっていそうな物語だったなぁ。


    2020.2.23 読了

  • これは4人の友情物語だった。
    幻夏を読んだ後だったので、3人の少年にも、“拓人”という名前にも敏感になってしまった。
    3人の少年は“成長”という大きなお礼をもらったんだな。

  • 長男がうつのみやこども賞の委員で読んでいて、お勧めされたので読んでみたのだけれど、確かに良かった。子どもがすっごいリアルで、そうそうこういうこと言うよねぇ、と妻とおんなじセリフで笑った。
    終わりの方も、子どもが成長していく中で過ぎていく時を共有している感覚がとてもよく伝わった。そういう意味では、大人が読むといい本なのかも。

  • やっぱりいいなあ、椰月美智子さん。
    おとなの着ぐるみ着た子どもか!とツッコミたくなる。
    思春期にさしかかった拓斗のココロの描写もいいが、6歳上の兄の言葉が鋭くてぐっと来る。
    パワフルな母の存在も心強い。
    そして無神経な大人を背景に、田中さんの静かな大人っぷりが心に残る。

    • koharakazumaさん
      ほんとに子どもがよく描けているし、子どもから見たいろいろな大人たちというのもそれぞれにリアルでしたね。
      ほんとに子どもがよく描けているし、子どもから見たいろいろな大人たちというのもそれぞれにリアルでしたね。
      2020/01/11
    • 文海胡さん
      ほんと、その通りです。
      図書館の児童文学棚でみつけた本でしたが、おとなにも読んでほしいお話ですよね。
      ほんと、その通りです。
      図書館の児童文学棚でみつけた本でしたが、おとなにも読んでほしいお話ですよね。
      2020/01/11
  • 児童書。
    今大人の人にも子供時代はあったはず。
    自分と同じ年齢のときに、戦争にあい、家族全員を失っていたら。
    そして高齢者になり一人で過ごしていたら…。

    児童書ですが、大人も考えさせられるとても素敵な作品でした。

  • 神社の管理人をしている田中さんと3人の6年男子の交流…児童書らしい内容だが、本当に良本!拓人たちの成長が清々しい。小学生に読んで欲しいなぁ。

  • 老人と少年の交流ものでした

全45件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2002年、第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』でデビュー。07年『しずかな日々』で第45回野間児童文芸賞、08年第23回坪田譲治文学賞、17年『明日の食卓』で第3回神奈川県本大賞、20年『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』で第69回小学館児童出版文化賞を受賞。『明日の食卓』は21年映画化。その他の著書に『消えてなくなっても』『純喫茶パオーン』『ぼくたちの答え』『さしすせその女たち』などがある。

「2021年 『つながりの蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

椰月美智子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×