殺し屋シュウ

著者 :
  • 幻冬舎
3.36
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  • (2)
本棚登録 : 134
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344003446

作品紹介・あらすじ

首都大学文学部の研究室に真面目に勤めるシュウ。ひとたび依頼があれば、「人殺しの芸術家」に変わる。だけど傷つきやすいのが悪い癖。最初の殺しは自分の肉親だった。気鋭の作家が放つスリリングな新シリーズ。

感想・レビュー・書評

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  • 目次
    ・ファーザーズ・デイ
    ・マーシー・オブ・サムライ
    ・シュート・ミー
    ・ショットガン・スコール
    ・スーサイド・ヒル
    ・ナイト・フラッシャー
    ・キル・ゾーン
    ・ニュー・ファミリー・デイ

    悪徳警官だった父に暴力で押さえつけられた家に育った主人公のシュウ。
    大学進学をきっかけに家を出たが、子どもというおもりがなくなった母が自由に生きようとしたことから家庭が壊れていった。
    愛人と逃げようとする母と、それを知りながら追い詰めていく父。
    見かねたシュウが一計を案じ…。
    そして、彼は殺し屋になった。

    人に殺されても当然といったターゲットよりも、事情を抱えたターゲットの心に寄り添いながら殺していくというスタイルが目新しいような気がする。
    もちろん、とんでもなくゲスな奴らもきっちり殺しますが。

    私立大学の文学部で助手として働きながらの殺し屋稼業。
    悲惨な過去と殺伐とした副業(殺し屋)のわりに、シュウは普通の人の感覚を失っていない。
    最後の章は、希望すら感じさせらる。

    が、どことなく石田衣良っぽく感じてしまうのはなぜだろう。

  • ★1.5

  • 何年か前に同作品の舞台を見たので。主人公の家庭環境劣悪というのと怒り演技怖かったという印象ばかりが残っていて、中身見てもこんな話だっけ…という初見感。殺し屋になる話となってからの仕事の話を幾つか。起伏は少ないけどシリーズ短篇集という感じで表題のわりに小奇麗なまとまり方。

  • 阿沙子の性格がつかみきれなかったな。耐える女と、肝っ玉母さん、の部分があって。

  • 大学で助手として勤めるシュウは、依頼があれば「人殺しの芸術家」に変わる。優秀だけど、仕事のあとはいつも鬱になる。

    人殺しをこんな視点で書いた人がいるだろうか、という作品です。人殺しなのに優しい。人殺しなのに、生について考えさせられる作品でした。

  • 父親は狂犬と呼ばれる殺しも厭わない悪徳警官、不良少女だった母・阿沙子は家に閉じ込められ隣室で陵辱される日々。そんな二人と青春時代を過ごした匠も父とつるんで裏社会でのし上がった人物。19歳でやっと家を出たシュウは阿沙子が父の後輩刑事と一緒になるつもりだったのに、相手を感づいた父に銃殺され復讐しようと家を出たことを知り、彼女がやる前に父を殺した。
    代わりに服役した母、彼の資質を見込みベガスの砂漠地帯に送りライトフットの下で訓練をさせた匠...帰ってきたシュウは様々な依頼を受け殺す傍ら、表向きは大学の助手、風俗嬢の美加との愛をはぐくんでいくが...。

    砂漠の卒業試験、ロックシンガーの自己依頼(椎名ゆかという名前からなんか椎名林檎を髣髴とさせる)、アルツハイマー病の大学教授の依頼、高級娼婦かれん、マンハンティングなど一風代わった依頼と感覚的な文で結構すらすら読め楽しかった。
    ただ10年ぶりぐらいに野沢尚を読んだけど、こんなに中二っぽいというか軽い小説家だったっけ...ラストでカタルシスは感じるものの、匠がシュウを送り込むのとかちょっとリアリティを感じる文章力ではなかったな。

  • タイトル通り、殺し屋を主人公としたストーリーです。 殺人を犯してしまった主人公は、知人の勧めで、 殺し屋家業を始めます。 殺し屋といえば、一見、血も涙もない冷酷な人間に思えますが、 涙は流さないものの、殺めた人間を思い弔いの儀式めいたことをする 人間くさい殺し屋です。 人を殺めるストーリーは血生臭く、娯楽小説とは言いにくい部分もありますが、 死と言う、人が生きるうえで最後に訪れる最大のイベント。 例えその”死”が殺されるとしても、 死に方に人生が凝縮されていると考えさせられる小説です。

  • シュウ(修)が警官だった父を殺し、母がその罪をかぶって懲役
    その間、息子のシュウは大学講師と殺し屋の2足のわらじ
    ほかの殺し屋から恋人を守ることになる

  • もしシュウが実在したら野沢さん自身が自らを殺すよう依頼したりしただろうか…。

  • なんだか泣きたくなる。この人の話は時々生臭くて人間のどうしようもない醜さが見えて吐き気がする瞬間があるけど、全体を通してどこかに救いがあるからいい。ああ捨てたもんじゃないな、と思える優しさが漂うラストが好き。

  • 表紙がお気に入りで図書館で借りました。エロティック。だがそれがいい。単行本を買おうかどうしようか迷っていたところにハイ名探偵コナンの脚本だと――!!!迷わず買いました。

  • 今までの作者とイメージが違うね。

  • うたかたの日々。

    一番好きだったのはスーサイド・ヒル。

    もっと長編にしても良かったんじゃないかな?
    そしてもう少し細かい描写を読みたかった。

    今度は美加と阿沙子と3人で幸せな日々を送ってほしい。

  • オサムなんだけど。
    ハードボイルド!と読後思わず叫んでしまう一冊でした。浅田先生曰く「ハードボイルドとはまさに拳銃のロマネスク化である」とのこと。まさにこの殺し屋はハードボイルドな殺し屋でした。野沢先生の文章はかっこいいのにさらりとして読みやすいので、あっという間に読んでしまいました。シュウのことが気になって先へ先へ!スパイは華麗、殺し屋はロマン。

  • 若い殺し屋シュウの短編集。

    ターゲットに極悪人がほとんどおらず
    何かしらの事情をかかえていて
    スイスイと読み進めてしまった。

    サクッと読めてとても楽しめた小説。


    <参考・引用文献>
    カクテルズ
    アメリカ文学史入門
    モルトウィスキー大全
    ミステリーが語る銃の世界
    最新軍用銃事典
    ザスコットフィッツジェラルドブック

  • タイトルどおり殺し屋の物語、なんだけどタッチが軽くて読みやすい作品。随分あっさり殺しちゃうわりにけっこう人情もの。ただ単に殺しまくるだけの話ではないな。特に「シュート・ミー」や「スーサイド・ヒル」なんかは「死ぬこと」についてひどく考えさせられる作品だったと思う。
    しかし残念なのは、「もうひとりの殺し屋」の影が薄すぎたこと。もうちょっとキャラクターが作られた状態で対決、とかになったほうが面白かったんじゃないかなあ。

  • ■読了

    『殺し屋シュウ』 (野沢尚:幻冬舎)
    浮気した母親を殺そうとした父親を殺害し、闇組織に引き取られたことをきっかけに殺し屋となった男・シュウ。短編集形式で、毎回その時に使用する銃器の蘊蓄が披露され、主人公は殺しの後はその仕事内容をイメージした酒を飲む。このような職業を選んだ人間がさまざまな葛藤から逃れるために「様式(スタイル)」を確立させるというのは、わかる話ではある。


    著者の野沢尚(のざわ ひさし)は元々シナリオライター。『その男、凶暴につき』の脚本家であったが、制作に際して大きく変更されてしまっい、改稿前の脚本を元に小説『烈火の月』を書いている。こちらは北野武が扮した主人公・我妻刑事に女性の麻薬取締官のパートナーが登場し、彼女が敵組織に拉致されてクスリ漬けにされるなど、かなりキツイ内容。

  • 悪徳警官の父親を殺した後、殺し屋になったシュウ。人を殺した後は、バーで相手の最期にちなんだカクテルを飲み干す。父親殺しの時は、母の作ってくれたブラッディ・マリーだった。。。

  • 強くあり、されどやさしく弱い、殺し屋シュウ。あっという間に読み終わった。

  • 修っておさむなんだーへーみたいな。最初の話が一番よかった。ってか敵の殺し屋の目的が分からない。

  • ■あらすじ■
     
     初めて殺したのは、実の父親だった。
     母はその罪を被り服役中。
     主人公は父母の友人により殺し屋となった。
     日中はしがない大学研究室の助手、夜は殺し屋の生活を送る主人公は、殺しを終えた後に被害者に似合うカクテルを飲む。


    ■展開■
      
     各章、ターゲット(被害者)が変わり、独立して読むことも可能。
     また、被害者と依頼者が同一人物であったりと、殺し屋としては珍しい仕事内容が多いように感じる。
     夜の街で働く彼女の登場、仕事中に同業者の邪魔が入るなど、章が進むごとに新しい展開もある。 

     
    ■感想■

     正直、野沢尚の作品としては、物足りなさを感じた。
     途中までは、文章も面白く、殺し屋の仕事内容も意外というか、殺し屋らしくないものもあり、楽しく読めたが、最後のオチ(というか)が物足りない・すっきりしない。
     もしかして、続編があるのだろうか…?はたまた、この話自体が何かの番外編的なものなのであろうか…?と感じてしまう。

  • タイトル通り殺し屋の話。人間の心を捨てきれない、殺し屋の話。短編いくつかで成り立っていて非常にサクサク読める。内容もおもしろい。でも最後の事件はいらんかな。あれでドン引き。100点満点!と意気揚々とラストの話へ進んだら、なんじゃこりゃーと50点マイナスですよ。なんか無理やりラストで流れを捻じ曲げた感じで惜しい。でも終わり方は好き。

  • クール
    スタイリッシュ
    シンプルに・・・

    かっこいい!!

  • 図書館

  • 続き物にしてほしいな、なんて…切ない願いを抱いてしまいました。

  • 素朴すぎる殺し屋。依頼が平和。

  • このての展開にはなんだか飽きてしまって、私はあまり楽しめませんでした…。

  • 淡々と読めるのに対して、内容は濃やか。
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  • 野沢さんの本は本当にはずれがないです。

  • これはもう、本屋で一目惚れして「読みてー!」と思っていた本です。
    まず題名に惹かれました。
    そして、紹介文の『優秀だけど、仕事のあとはいつも鬱になる…。』というフレーズに、惹かれました。一目惚れ。

    何か、スタイリッシュな印象を持つ小説でした。
    文章のスタイルやら、各章の題名やら、やたらカッコイイ。
    本を開いて、目次に印刷された各章の題名を見ただけで、「うわーかっこいい!」となる。
    私が特に好きだった題名は『ナイト・フラッシャー』でした。全部良いけど、特にこれは良い。

    そして、文章は、二つの時間軸が交互に展開されるという形式になっています。
    (例えば、殺しの依頼があった時間軸と、実際任務を行っている時間軸が交互に展開する…など)
    それがまた、色々な効果を生んでいてとても良かった気がする。
    この効果によって、私が一番引き込まれた展開は『スーサイド・ヒル』と『シュート・ミー』という章です。
    殺すまでの経緯と、その標的との交流が交互に展開していくから、ラストに、切ないような人間関係が発覚しつつも、永遠の別れが来るという仕組みなんです。
    せ・つ・ねー!!
    だから必然的に、私がこの本で一番好きだった章も『スーサイド・ヒル』と『シュート・ミー』。
    この二つはもう…やばいくらい好きでした。切なくて。

    どの章も、粋な展開が隠されていたり、すごく切なかったり、それぞれに見所はあるのですが、私はやはり上であげた二つです。


    しかし、帯の紹介文を読んだだけではさっぱり予想できないような、残酷な展開が待っています。
    ラストに近づくにつれて、より血生臭さと陰惨さが増していくのです。物語の山場ともいえる『キル・ゾーン』という章は…もう…。
    とにかく、悔しいやら哀しいやら…。
    人間って、どうして残酷なことができるんだろう…と思える話です。

    ラストはハッピーエンドだったので、本当に良かったです。
    ラストシーンすごく良いんです。憎い!素敵!

    途中『眠れる森』のラストのように、谷底に突き落とすかのようなどんでん返しがあるんじゃなかろうか(野沢尚さんなだけに)、と気が気じゃなかったのですが、ハッピーエンドで良かった…。

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