後悔と真実の色

著者 :
  • 幻冬舎
3.60
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本棚登録 : 791
感想 : 169
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  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344017382

作品紹介・あらすじ

あの強固な呪縛から、いつか解き放たれたかった。若い女性を襲い、死体から人指し指を切り取る連続殺人魔「指蒐集家」が社会を震撼させている。警察は、ネットでの殺人予告、殺害の実況中継など犯人の不気味なパフォーマンスに翻弄され、足がかりさえ見えない。その状況下、捜査一課のエース、西條輝司はある出来事を機に窮地に立たされていた-。これは罠なのか?被害者たちにつながりはあるのか?犯人の狙いは何か?緻密な構成で不器用に生きる男たちを活写する傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • なんか、書き方が思わせぶりなので、随所で、犯人はこの人じゃないのかって思ったけど、最初からそこだけは否定するように作ってあったから、ずっと確かに無理だよねっと思ってたのに。

    主人公の転落度合いが急降下なのが、少し無理があるような。

  • 揶揄の意味合いが込められつつも、"名探偵"と渾名される捜査一課のエース刑事・西條輝司と、ネット上で"指蒐集家"と呼ばれる、被害者の指を切り取る、女性ばかりを狙った連続殺人鬼の闘いが描かれます。
    「慟哭」、「空白の叫び」に続いての貫井作品三作目でしたが、どうも読んでて既視感がと思ったら、主人公の設定が「慟哭」の主人公・佐伯とそっくりなんですよね。
    頭はキレるが、仲間と群れずにむしろ孤立気味な捜査一課の若手エースで、家庭生活はうまくいっていないどころか、ほぼ破綻状態で愛人がいる。その愛人のことがバレて、世間や警察組織からバッシングをうけ窮地に陥る。
    ここまで似通ってると、ともすれば興醒めしそうなものですが、時に大胆な「劇場型」の犯行を起こしながらも、容易に尻尾をつかませない狡猾で不気味な"指蒐集家"との息詰まる攻防が、ページをめくる手を止めさせてくれません。
    後味スッキリとまではいかないものの、これまで読んだ作品の中では、比較的心穏やかに読み終えられた方かも知れません。
    なんと続編があるそうで、次はその「宿命と真実の炎」に挑みます。

  • 西条が人生から転落する様は、読んでいてつらかった。ただし、エリート警察官がすぐにホームレスになるとか、犯人の殺人動機はそれでいいのかなどツッコミどころも満載の面はある。長い小説だが、組織の在り方など考えさせられるものあり、読み終わった後の虚脱感が尋常ではなかった。

  •  西条の落ちっぷりが見ててつらかった

  • 初めから最後までダレることなく、緊張感のある展開。
    犯人も気が付かなかったし!!
    ただ、何を表したいのか、よくわからない。ただ面白いってだけではないんだろうし。
    題名の意味も何だったのかなーー。

  • 次作の「宿命と真実の炎」を読んでから、この作品を読破。
    個人的には西條の過去として捉えて読みました。西條に何があったか興味があったので、購入。

    次作と比較すると、登場人物が多くいて、慣れるのに時間がかかったように感じました。前半はゆっくりでしたが、段々と展開が早くなっていき、とんとん拍子でスラスラと読めました。
    ミステリー小説を多く読んでいる人は、なんとなく犯人が分かるかもしれません。
    個人的には、西條はハッピーエンドでほしかったのですが、次作を先に読んでいたため、切ない感じがありました。
    次作の方が面白かったということで、一つ減らしました。

  • 慟哭に似たような流れだったかな。男達の嫉妬、スピード感ある内容に一気に読み終わりました。一線で活躍してる有能な男が、些細な事から転落して行く姿を書くのは貫井サン、得意ですね。慟哭の衝撃が抜けきらずに読んだので、つい重ねてしまいました。

  • 刑事小説久し振りだな~~~~相変わらず専門用語が難しい・・・

  •  なんとも哀しい物語。読んでいて長く感じたのは、事件が矢継ぎ早に起こらないからではなく、事件に関わる人物を丁寧に描いているからだとわかる。

     事件が起こる。女性のめった刺しの遺体が発見される。ただ、その遺体は指が切り取られていた。
     事件にあたったのは捜査一課のエース、西條。西條とコンビを組むのは交番勤務の大崎。西條を目の敵にしている機捜の綿引。他、個性豊かな9係の面々。
     そして第二の事件。同じく若い女性を狙ったもので、やはり指が切り取られていた。やがて犯人は警察組織をあざ笑うかのように『指蒐集家』としてネットで犯行予告を行った。西條は犯人を捕まえることができるのか・・・。

     この物語は、事件やそのトリックも素晴らしいが、その人物描写にこそ読み応えがある。絶対的なエースである西條にしても人間的に弱い部分があったり、勝手に西條を目の敵にしている綿引にしても、どうしてそうなったのかを丁寧に描きこんでいる。また、脇役にしてもそうだ。人間の暗闇であったり、卑しい部分であったりを見事に描いている。

     それにしても哀しい物語だった。事件を解決しても虚しさだけが残る。そして、一番虚しかったのは、読んだのを忘れて再読してしまったこと(T_T)
     でも、『宿命と真実の炎』を読む前にしっかりと人物像を頭に叩き込めて良かった(笑)

     

  • 様々な人間が、それぞれの背景に囚われながら入り組んだ感じで進められていく。事件はともかく人の複雑な思いがたくさん描かれている。
    それにしても美叡さんが殺されてしまったのは衝撃だった。幼い時に母親を殺されたという過去は途中で記述があったが、そこが伏線とは。詳しい状況は凄まじい。

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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