- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344031005
感想・レビュー・書評
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一人のルポライターによる、合計「六人」の取材記。○ルトラマン≠正義の味方とか、チェーン店のごときチェーン・ピープルとか、三崎亜記独特の視点が面白い。笑える面白さではなく、じわりとくる風刺というか人間の怖さ愚かしさというか…あぁ、三崎作品だな、と。特に『応援』は、私が知らないだけで今すでにあるような案件に思えて、もし自分がターゲットにされたらと思うとすごく怖い話でした。☆3.5
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ひさしぶりに三崎ワールドにどっぷり浸かった感じ。
「ナナツコク」が一番好きかな。
この人の本は、時間がたっぷりあるときに、家でじっくり読むに限る -
読み終わってから気づいたけど「となり町戦争」の作者なんだね。(となり町戦争、私は本しか読んでない)
目にみえないじわじわとした人間の本質を描くのが得意のようだ。着眼点がユニークかつリアリティがあって、なるほどと思わせる。 -
正義の味方は誰しも考えたことがある題材では?チェーンピープルの発想は面白かった。どこのお店も同じチェーン店と同じく、性格・行動などマニュアル化されたある人物になりきり生きる人々。似叙伝も面白かった。
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着ぐるみじゃない着ぐるみとか、頭の中だけにある国とか、アイデアが秀逸。
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ルポライターによる6話。一話目の「正義の味方」が面白かったので期待したが・・マスコミ、世論を風刺した内容が多いけど、暇つぶしレベル。現代社会の風刺って感じでもない。三崎作品は少し違う世界を描いた作品が多いけど、短編だとアイデアのみになるようだ。人物が生きていない。まぁ、一番の欠点は、読んで楽しくないことかな?似た事案が今もニュースになってます(笑)
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2017 8/27
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揺るぎないと思っていたはずの、正義と悪
道徳と不道徳の基準が
簡単にコントロールできて、しかもコロッと逆転することを知ってしまったからには
この小説をユーモアたっぷりの絵空事と笑うことはもはやできない。
嘘八百の自叙伝を書く男の話『似叙伝』や
記憶の中にしかないはずの国で起こる出来事を描いた『ナナツコク』、
次々と登場する突飛もなく、でもどこか生々しさを感じる物語は
日常的に感じている、リアルな世界の不確かさと、バーチャルな世界で感じる強烈なリアリティを思い出させる。
違和感を感じていることにも、まだ気づいていないような些細なひっかかりを
三崎さんに、『こんなんなってますけど?』と
そっと耳元で囁かれたような気がしました。 -
チェーン店ならぬ、ひとりの人間の性格や癖を模倣する「チェーン・ピープル」について取材した表題作を含め、なんとも言えない三崎節な「架空のルポルタージュ」が集められた一冊だ。
円谷プロダクションのヒーローを彷彿とさせる「正義の味方」の話からはじまり、ある女性の脳内にしかないナナツコクの話、人を追い詰めていく応援の話など、どこからこれ考えたんだ・・・と相変わらずこの作家ならではの世界観がすごい。
完全なフィクションでありながら現代の世風に対しての皮肉も感じる。