#塚森裕太がログアウトしたら

著者 :
  • 幻冬舎
3.79
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本棚登録 : 225
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344036901

作品紹介・あらすじ

「俺は、同性愛者です」
高3のバスケ部エースがSNSでカミングアウト。彼の衝動は思わぬ波紋を広げ……。   
ドラマ「腐女子、うっかりゲイに告る」の原作者、待望の最新作。


「登場するすべてのひとの気持ちが胸に迫って、読みながら必死に声援を送りました。たぶん誰もが、この小説のなかに「自分」の姿を見いだせるはずです。」三浦しをん氏推薦!
高3のバスケ部エース・塚森裕太は自分がゲイだとInstagramでカミングアウト。それがバズって有名に。
このカミングアウトが、同じ学校の隠れゲイの少年、娘がレズビアンではないかと疑う男性教師、塚森を追いかけるファンのJK、塚森を崇拝しているバスケ部の後輩へと変化をもたらしていく。そして塚森自身にも変化が表れ…。
作り上げてきた「自分」からログアウトしたら、「本当の自分」になれると思っていた――痛みと希望が胸を刺す青春群像劇。

感想・レビュー・書評

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  • スラスラ読めました!
     

  • バスケ部のエースで成績優秀。
    誰からも愛される少年が
    自身の性的嗜好をカミングアウトする話が
    本人も含め周りの様々な人の視点から描かれる。

    生徒から借りなければ
    (面白かったんで読んでください!って子がたまにいる。)
    絶対出会わなかった本。

    複数人からの視点から
    同じシーンが描かれる。
    この時彼女はこう思ってたのかとか
    だから彼はこんな行動に出たのかとか
    徐々に広がってくるカラクリ。
    何度も同じシーンが出てくるのは
    少し飽きちゃったけど
    いろんな人の気持ちが丁寧に描かれていた。

    主人公がアイデンティティの葛藤をするシーンが良かった。
    他者評価と自己評価の乖離。
    言葉に出来ない感情。
    自分も若い時期にはあったのかもしれない。
    本当の自分と周りに見せている自分。
    これが一緒じゃない時期(人)は
    なかなか生きづらい。

    塚森裕太の性的嗜好のカミングアウトを通して
    本人や彼と近しい人たちの
    自己が揺らいたり、確立したりしていく。
    高校生の話なだけに
    少し若々しい感じもあったけど
    感想を書いていたら
    なかなか深い本だったなと
    思い直してきた笑

    初めて出会う作家さんだったけど
    今後も注目してみたい作家さんでした。

  • 高3の男子バスケ部エースが、同性愛者であることをSNSでカミングアウト。その出来事が広げた波紋を、同じ学校の生徒や教師、そして本人の視点から描く。反発、応援、困惑、拒絶…さまざまな思いに揺れ動く彼ら彼女らを瑞々しくもリアルに描く青春小説。

  • 「男だけど、男しか愛せない」
    バスケ部エースがカミングアウトした。周りの人達はどう感じ、どう動く?

    みんなが好きなのは「塚森裕太」。俺じゃない。

  • 2020 塚森裕太は高校3年、バスケ部エースのイケメン

    ある日、インスタでカミングアウトした
    マネージャーの彩夏と同じ部の悟志と一緒の写真とともに

    それにまつわる人々

    第一章
    同族、清水瑛斗
    清水は塚森と同じ高校3年生、同じゲイ

    第二章
    教育者、小山田貴文
    小山田は塚森と同じ高校の教師、娘がレズビアンだとインスタで知る

    第三章
    ファン、内藤まゆ
    塚森のファン、試合のたびに差し入れをしたり、見守っている

    第四章
    後輩、武井進
    塚森に憧れ、この高校に進学し、バスケ部に
    塚森も武井の素質を認めている

    第五章
    当事者、塚森裕太
    俺と塚森裕太との間で揺れ動く


    他、梅澤先生 バスケ部顧問
    塚森のことをよくわかっている

    塚森裕太の両親、妹
    理解し、尊重してくれている


    それぞれの立場を使い、それぞれの気持ちを多角的に分析しながら、表現している
    変わらないテーマに対して

    生まれてこない方がよかったのではないかという当事者の思いを払拭する小山田の言葉に救われる


    アウティング〜まだ理解できていない

    小山田の妻の言葉が真実を突いていて、
    自分がしていることを肯定したいのか
    相手のことを思い遣っているのか
    大事なことは、それだな、と思う。

    わかったようなこと言うなって
    言われてる気がした
    それほどのことなのだ

  • 〇SNSや仮面 のうそ臭さが、5人とそのまわりの人たちの裸の叫びを強く浮かびあがらせる。
    本作ではカミングアウトでしたが、みんなそれぞれの大切なことでぶつかり合ったり、誤解しあったり、壊れてしまったり、思い合ったりしているんだよねと。
    〇2章で、知識だけだと傷付けてしまうのだなとあらためて。頭でっかちになりがちなのだけど。
    〇YAだけど、際どい場面があるので学校に置くなら高校くらいからか。
    読後感よい青春もの。

    プロローグ
    中学1年のときに自分が同性愛者だと気付いた。優等生の仮面が息苦しくなってきた。
    僕というアカウントからログアウトしたら、何があらわれるだろう

    1:同族、清水瑛斗
    学校の人気者、塚森裕太がインスタでカミングアウトした。あいつがカミングアウトできたのは“塚森裕太”だからだ。ふざけるな、“ゲイ”をカミングアウトできる人間ばかりじゃない

    2:教育者、小山田貴文
    娘がレズビアンらしい。私は教師だ。セクシャルマイノリティの子どもたちと向かい合う研修は受けてきたが、実際は真剣に考えてこなかった。それが半年前。塚森裕太のカミングアウトして、もう一度どうしたらいいのだろうと途方にくれた。

    3:ファン、内藤まゆ
    私は世界で1番の塚森先輩のファンだ。インスタを見て驚いたけど、うん、私は塚森先輩のファンであって恋人志望じゃない。でも、なんでかな喉が痛いの。

    4:後輩、武井進
    塚森先輩はおれのバスケの神さまだった。気さくで、優しくて、後輩思いで、バスケにストイックだ。コートの外でどんな人間でも、コートの中で神さまならば問題ない。そう思っていた。

    5:当事者、塚森裕太
    俺は変わりたかった。“塚森裕太”をログアウトしたら“俺”になれると思っていた。だけど、“塚森裕太”にゲイとう要素が付け加えられただけだった。
    試合なのに、皆が“塚森裕太”を観にきたのに、体が動かないんだ。

  • 「彼女が好きなのはホモであって僕ではない」がとても良かったので、浅原ナオトさんの本を読んでみたかった。
    バスケ部のヒーロー塚森裕太が、友達2人にカミングアウトした時の反応があっさりしていて、受け入れてもらえて、これはSNSでみんなにもカミングアウトできる。しよう。と思い、まずインスタで、報告。
    それをみた周りの人がそれぞれもやもやする。
    同じ学校の学年は違う男子目線。(同性愛者)
    自分の娘が同性愛者かもと気づいて何もできない父親目線。(同じ高校の先生)
    塚森裕太を推している後輩の女子目線。
    バスケ部の後輩目線。(ゲイを嫌悪し厳しい気持ち)
    それぞれの気持ちがとても良くわかり、LGBTについての当事者の気持ちを学べる。
    悟志目線の章もほしい。
    アウティング→他人の性的指向を無許可で別の人間に暴露すること。セクシャルマイノリティと関わる上で絶対にやっちゃいけないこと。
    ずっと『塚森裕太』って名前のアカウントにログインして生きてる気分で、そこからログアウトしたかった。だからカミングアウトをした。
    クラスメイトや、人と会話する時はログイン状態。
    ひとりの時は、ログアウトできるが、
    みんなが注目している時など、廊下を歩いているだけなのに、ログアウトできない。
    重大なシステムエラーを引き起こす可能性あり。
    ラスト、悟志に伝えることができて良かった。泣ける。

  • 同性愛者であるというのは、頭がいいとか、足が速いとか、そういう特徴と変わらない。

    人と人は放っておいたら離れるものなんだ。
    だから繋がりたい人とは、必死になって繋がらなくちゃならない。

    好きな人のこと、分からないから分かりたいって思うし、分かろうとするんでしょ。

    家族から、友人から、世界中から認められたって、お前がお前を認めていないなら、何の意味もない。
    大事なのはお前だ。
    お前が、お前自身をどう捉えているかだ。

  • イケメン人気者高校生バスケ部塚森裕太のInstagramでのゲイカミングアウトに関して同じ学校の同族、教師、ファン、バスケ部後輩、当事者を主にした章からなる。どの登場人物も自分を模索して探している。その状況を自分のアカウントにログインしている状態と表しているのがとても腑に落ちた。

  • 高3のバスケ部エースである塚森裕太がSNSで「俺は、同性愛者です」とカミングアウトしたことに影響を受けた本人を含む5人の人間の物語。
    何かしらもがいていた登場人物たちが皆ふとしたことがきっかけで悟りを開いたような感じになり、ちょっとうまくまとまりすぎな気はしたが、自分と向き合うということについて考えさせてくれる良作であった。

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著者プロフィール

小説投稿サイト「カクヨム」に2016年10月より『彼女が好きなのはホモであって僕ではない』を投稿開始。2018年同作で書籍デビュー。同作は2019年に『腐女子、うっかりゲイに告る。』のタイトルでドラマ化され、話題となる。他著作に『御徒町カグヤナイツ』(KADOKAWA)、『今夜、もし僕が死ななければ』(新潮社)、『#塚森祐太がログアウトしたら』(幻冬舎)などがある。

「2023年 『100日後に別れる僕と彼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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