スローな旅にしてくれ (幻冬舎文庫 く 6-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344403215

感想・レビュー・書評

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  • 蔵前仁一(1956年~)は、バッグパッカー向けの雑誌「旅行人」(1993~2011年、前身の「遊星通信」は1988年~)を主宰した、バッグパッカーの間では知らない人はいない、イラストレーター、旅行作家。
    本書は、著者の旅に関わるエピソードなどをまとめて1996年に出版された『沈没日記』を改題し、2003年に文庫化されたもの。
    私は、1987年の年初、著者がバンコクから飛んできて30年振りの大雪で震えていたアテネの街(このあたりのエピソードは、著者の『あの日、僕は旅に出た』に詳しい)を、同じようにバッグパックを背負って歩いていた、著者より少々年下の元バッグパッカーのひとりで、その後、何年も仕事で海外に駐在した経験もあるが、本書のような本を読むと、当時の旅がなんとも懐かしく、年相応にもう少し無理のないようにとは思うものの、再び気ままに世界を歩いてみたいと強く強く思うのである。
    著者は本書で、「旅をしていると、わからないことだらけだ。そして、そのわからないことの一つひとつが、実になんだか興味深いことばかりなのである。自分の体験から得た疑問は貴重なものだと僕は思う。それが氷解していくとき、新しい世界が広がったような気持ちになる。」と語っているが、若くしてこのような感覚を抱いた人間は、おそらく年をとっても根本は変わらないのだ。最近は海外に興味を持つ(海外赴任をしたいとか)若者が減ったと言われるが、寂しいことである。。。
    往年のバッグパッカーにはなんとも懐かしく、若く海外に関心のある人たちにも、ぜひ手に取って、その世界を覗いて欲しいと思う一冊である。
    (2019年8月了)

  • 旅はスローでリラックスが肝心。疲れたら“沈没”(=長逗留)してしまおう!するとあら不思議、見えないものが見えてきたりする。アジア・アフリカ・ヨーロッパ…、世界を駆け巡る旅人・蔵前仁一が沈没先で出会った愉快な人々、トホホな事件の数々。しんどいこともあるけれど、やっぱり旅はやめられない。読んでるだけで幸せになる全40編。(表紙裏)

    『沈没日記』の文庫版。

  • 読書録「スローな旅にしてくれ』4

    著者 蔵前仁一
    出版 幻冬舎文庫

    p93より引用
    “しかし、「放浪の旅人」を気取り、内実の
    ないロマンチックな旅人のイメージのみを語
    るのは、ほとんど人々の無知につけこんでい
    るとしか言いようがない。”

     目次から抜粋引用
    “安宿で一安心
     私は方向音痴である
     がんばれ旅行者たち
     旅をめぐって”

     グラフィックデザイナーでイラストレー
    ターで旅人な著者による、旅と旅についての
    おもいを綴ったエッセイ集。
    「沈没日記」改題加筆文庫版。
     旅の思い出から旅先での人々についてまで、
    自筆のイラストと共に描かれています。

     上記の引用は、旅についての著者の考えを
    記した話での一節。
    なにごとにつけても、人より違っているよう
    に大げさに言うような人は、あまり信用しな
    いほうがいいのかもしれませんね。
    まあ、大げさで人と違ったことは、読み物と
    してフィクションとして楽しむ分には、面白
    くていいでしょう。鵜呑みにしないように、
    気をつけて楽しめればいいと思います。
     イラストの雰囲気と文章の雰囲気があって
    いるのは、著者自身が両方書いているからで
    しょうか?ふんわりとした感じが、読んでい
    て疲れなくていい感じです。

    ーーーーー

  • 旅エッセイ、今まで何となく避けていた作者さんでした。

    執筆時(90年代)の旅事情が興味深い、またベトナムに行きたいな。

  • 今まで読んだ旅本のなかで、一番ゆる~い。
    海外一人旅とかっていうと、やったことない人はものすごく想像を膨らませるかもしれないけど、だいたいこの本のような感じではないかな。
    スポンサーつけてとかとはおよそ次元が違う話ですね。

    知ったかもせず、誇張もせず、まさに等身大の旅って感じです。
    それでも、80年代の世界を歩いているからやはり著者はすごいと思います。

  • 蔵前さんの7冊目の著書で、「旅行人」が発行・発売までを手掛けた第1冊目の本を改題して文庫化したもの。第4章「旅をめぐって」(の特に後半部分)は共感できる内容が多く、何度もうなずいてしまいます。そして「愛と光のコメットさん」の話は何度読んでも面白い…。

    携帯電話もインターネットもない80年代、90年代の旅の苦労が語られていて、情報革命は旅行のスタイルも変えたのだなあ、と改めて考える次第です。

  • 非常に面白い。
    蔵前さんの持ってるやさしさが文章から滲み出てる。
    旅好きな人は下川さんとかもいいけど一番のお勧めはやっぱり蔵前さん!
    是非、ご賞味あれ!!

  • ま、これも蔵前さんのエッセイ。奥様と旅できるなんて素敵ですね。

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著者プロフィール

蔵前仁一
1956年(昭和31)鹿児島県生まれ。旅行作家・グラフィックデザイナー。
慶應義塾大学卒業後、80年代初頭からアジア・アフリカを中心に世界各地を旅する。
個人旅行者のための雑誌、『旅行人』編集長を務め、多くの旅行作家を輩出、
バックパッカーの教祖と呼ばれた。
『ゴーゴー・アジア』や『ゴーゴー・アフリカ』(ともに凱旋社」)をはじめ、
『旅で眠りたい』(新潮社)、『あの日、僕は旅に出た』(幻冬舎文庫)、
『よく晴れた日イランへ』(旅行人)など著書多数。

「2018年 『テキトーだって旅に出られる!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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