螢 (幻冬舎文庫 ま 3-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410350

作品紹介・あらすじ

オカルトスポット探険サークルの学生六人は京都山間部の黒いレンガ屋敷ファイアフライ館に肝試しに来た。ここは十年前、作曲家の加賀螢司が演奏家六人を殺した場所だ。そして半年前、一人の女子メンバーが未逮捕の殺人鬼ジョージに惨殺されている。そんな中での四日間の合宿。ふざけ合う仲間たち。嵐の山荘での第一の殺人は、すぐに起こった。

感想・レビュー・書評

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  • 仕掛けが面白かった!
    千鶴が女性だと知ってるのは語り手だけなんだろうな、というのは他のメンバーが何も気にせず体に触れたりしてるからそうなのかなという予感があり。
    長崎が途中から影薄すぎていないものみたいな扱いになってるからたぶん犯人なんだろうと思ってたけどまさか最初から語り手が諫早じゃなく長崎だったとは全く気付かず。やられた~という感じ。それを知った上で頭から読み返したら「体脂肪率は怖くて知らない。」という台詞も確かに自分で言うことはあってもあまり他人には使わないなぁなど色々気付きがあって面白い。

    あと登場人物のイニシャルの文字が千鶴以外全て苗字と名前で一緒なのは最初に気付いたので、これがどう物語に絡んで来るんだろう…!?とわくわくしていたが思ったより関係なかった 笑
    「松浦将之」という偽名を使っていたという伏線だったのかな。

    始まりから終わり方まで綾辻行人の館シリーズと雰囲気が似すぎていて絶対意識してるなと思ったが調べたらやっぱりそうだった。
    個人的には館シリーズに引けを取らないくらい楽しめました。島原と千鶴の一回生コンビ可愛かった。

  •  館×クローズドサークルという本格ミステリーの様相のようで叙述トリックという仕掛けは何となく分かったものの、ファイアフライ館の不気味な仕掛けやクラシックと螢、そしてファイアフライ館の因果などがストーリーを引き立てていて面白かった。ラストは麻耶雄嵩節炸裂といった終わり方だった。それにしても土砂崩れで七人の遺体が発見されたという記述があったけど、生き残った一人は誰だったんだろう…?

  • 比較的分かりやすいかなと思った叙述トリックが一つ。序盤で気づき、そこからは、なるほどここでうまくミスリードしてるのね、と初読みなのに再読みたいな読み方をして楽しんでいた。
    なので、読みにくくはなかった。
    ところが!
    全然分からなかったもう一つの叙述トリック。濁して言うと「いつもと逆」。なるほどーやられた〜

    ラストはちゃんと知りたかったな…

  • これはすごい叙述トリック。
    いろんなパターンは考えていたけど、全然違う切り口で騙されていないことに騙されていた。

    全体的に視点がフワフワしていたり説明描写が多かったりと、中盤辺りまでは読みにくかった。
    その分ラストの畳み掛けは凄まじく、息継ぎする暇が無かった。

    ミステリーの引き出しがひとつ増えた。

    ☆3.6

  • 館に閉じ込められた殺人という超ベタな設定!叙述トリックとしては凝っているが逆に読者たる小生の頭が悪すぎて、そこまで意外性はなかった。
    どちらかというと演奏の音や殺人鬼ジョージの正体といった怖い要素が強い。特に最後のエピローグは強烈で忘れられない。
    地名に因んだ人名が覚えやすく平戸さんのキャラクターが親しみやすいのも好き。

  • ミステリーらしく伏線回収もめっちゃ良かった。
    だけどラストがええ、、、!?っていう感じ

  • 仕掛けられてるトリックに感心する。
    普通の叙述トリックではなく逆になってる。
    トリックが明かされると倒叙ミステリーの様になる。自分でも何を言ってるか分からんけど。
    読んでいる分にはややこしくないけど、読み終わるとややこしい。
    読後に色々語りたくなる。その意味では今敏のパーフェクトブルーみたいな。

    最序盤から語り手を長崎に固定してしまってた事が悔やまれる。
    語り手が曖昧なのが不満で、最初の数十ページを何度も読んで長崎で落ち着いてしまった。
    あわよくば終盤の風呂場のシーンで驚愕できたかもしれないのに。
    ベットに横になり優しく囁きかけるシーンの違和感が半端ないので多分無理だったけど。

    タカタカタを全部口に出して読んだせいか、最終盤は恐ろしくなってしまった。からのエピローグがもう怖い。

    解説を大胆要約すると、
    『トリックのための登場人物、行動、描写は、人工性の極みのような小説だが、その中で会話し泣き笑うのは生きている「人間」で、そんな齟齬に魅惑的な戦慄が宿ってる。』
    と書いてあるが、がっつり戦慄けた。

  • 叙述トリックが詰まった内容。読み進めていくと若干の違和感に気づくが最後の方でトリックが分かりもう一度読んでいくことで詳しく分かっていく。最後のエピローグでは、ファイアフライ館で過ごした5日間が嘘のように終わってしまう儚さ、学生たちがもういない現実が寂しくさえも感じるぐらい内容に入り込んでしまいとても面白かった。

  • 館、クローズドサークル、過去に連続殺人。
    そそられる文言が続きます。
    中村某を思い起こさせる館でした。
    面白く読めました。

  • 蛍が止まらないのセリフがとても気になり、読み進めました。ちゃんと納得のいく理由があってとても満足しました。
    ただ、個人的には少し読みにくい作品でした。
    クローズドサークルのミステリーでした。


    内容(「BOOK」データベースより)
    梅雨。大学のオカルトスポット探検サークルの六人は、京都府の山間部に佇む黒いレンガ屋敷「ファイアフライ館」へ、今年も肝試しに向かっていた。そこは十年前、作曲家でヴァイオリニストの加賀蛍司が演奏家六人を惨殺した現場だった。事件発生と同じ七月十五日から始まる四日間のサークル合宿。昨年とちがうのは半年前、女子メンバーの一人が、未逮捕の殺人鬼“ジョニー”に無残にも殺され、その動揺をまだ引きずっていたことだった。ふざけあう悪趣味な仲間たち。嵐の山荘で第一の殺人は呪われたように、すぐに起こった―。大胆にして繊細。驚きに驚く、あざやかなトリック!本格ミステリNo.1の傑作『鴉』から7年。鬼才が放つ新たなる野望。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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