- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344414693
作品紹介・あらすじ
衝撃的な事故シミュレーションを突きつけられた田嶋と〓(とう)は、徹底的な補強工事を決意し、最大の障壁である政府の実力者を失脚させることに成功する。不和を乗り越え、"希望"を手に突き進む二人の夢-世界最大の原発から、北京五輪開会式に光は届くのか?中国の暗部と現実を描き、共に生きる希望を謳い上げる一大傑作エンターテインメント。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
(上下巻合わせてのレビューです。)
真山さん久々の文庫本。
予想通りというか期待通りというか、
750ページを超える長編なのに
続きが気になって気になって仕方ない感じ。
寝る間を惜しんで、あっという間に読みきってしまった。
特に後半からのラストスパートはお見事!
話は、原子力発電開発を支える日本人技師と
中国人エリートの物語。
中国国内の腐敗の様子や気質等、
日本では味わえないことがたくさん疑似体験できる。
改めて、世界の価値観は多様性に富んでいると感じた。
中国に興味のある人、もっと知りたい人は
是非読んで下さい。 -
日本人作家にどうしてここまで中国人が描けるのだろうか、と悔しくすら思う一作。中国人のプライドとコンプレックスと最終的に大事にする価値、それに対照する日本人の作法との食い違いを冷徹な目で描ききっている。
北京オリンピック開催直前の中国を題材に、汚職と中国共産党内での政争の有様と、先進国に必死に技術でついていこうとする様子を描く。更にサブテーマに原発の安全問題をも含んでいる。
複雑極まりないテーマなのに、とことん具体的に描写は進められる。
中国人が最終的に気にする価値は金銭と地位であること、党への恐れや保身を優先するということ。矛盾するようだが中国や中国人というものへの隠れた誇りがあること、だけれどもその誇りをくじけさせる事象にあまりにも慣れすぎているため希望を持つことを自ら否定してしまっていること。
作中の映画監督の描写に作者自身の葛藤と思索も見える。記録映画にするのかフィクションの世界で勝負するのか。記録映画で真実を一面からしか描いてないのに真実を全て分かったつもりで公開するよりは、フィクションにて自分の主張をぶつけたい。そう思った映画監督に作者が重なる。 -
なんじゃこの中途半端な終わり方は。
何の解決もないままブッツリ終わって
もーワケワカメ。
それに映画撮っていた女監督はなんで
この話の中に出てくるのかサッパリわかんね。
この作家、ハゲタカ以外当たりがないのは
私のヒキがわるいせいかなー。 -
北京オリンピック開会式までに世界最大級の原発の運転開始の使命を受けた日本人技術顧問・田嶋は運転直前になり様々な異常を発見し始める。絶対安全を保証できない以上、運転開始延期を求める田嶋の声は黙殺され、不安を抱えたまま運転開始されたが案の定、事故が起こる。。
読んでいて凄くテンポが良く、ハラハラドキドキするのですが、最後が。。。 -
登場人物が一気に絡み合い、周囲の思惑や時代の流れや、澱のようにたまっていた思惑や欲望が一気に渦のように終盤に向かって加速していきます。
一人ひとりの人物像がとても鮮やかに描かれていて、引き込まれる音が聞こえるほどです。気が付くと原発の建屋の中にいるような感覚に陥るかもしれません。
警鐘や警告は、いくら鳴らしても、現実に起きるまでは杞憂として扱われます。オオカミ少年なのか真実の語り部なのかは、大きな出来事があって初めてわかるです。
今もテレビで、ネットで語られるさまざまな言説の中に登場人物のような人々も、生きているのかもしれません。
その先がどうなるのか、続編のないラストシーンならではの苦しさがたっぷりと味わえます。 -
ベイジン 真山仁
2008年の北京オリンピックに合わせて、中国が世界最大の原子力発電所の運開を目指す。そんな中で、日本の技術者と党本部規律検査委員会の役人が、それぞれの役割を全うしながら、想いを胸に同一のミッションに進んでいく。原子力発電所の光と闇に、3.11の前にこれだけ切り込んでいる真山仁の慧眼にさすがに舌を巻く。同時に、本書は他の真山仁の作品と比べても主人公が青臭く、セリフが熱い。何度も名シーンと呼ばれる部分があり、その度に感涙するほどの良いシーンがたくさんある。
また、本書とは関係が薄いが、真山仁は「関西人のおっちゃん」が好きなのだろうなと最近思う。ハゲタカシリーズの飯島、コラプティオや標的、売国の東條、そして今回の門田。門田は今回良い役柄ではなかったが、飯島と東條は毎回真山仁の小説に一癖二癖加えるトリックスターだ。どちらもコテコテの訛りと、とにかく品性の欠片もない物言い、それでいて勘が鋭く、頭はとにかくキレる。作中で、妖怪と呼ばれるような形で、幾度となく基本的なストーリーラインを邪魔するのだが、どうも完全な悪人ではない。だから恨めないという絶妙なキャラクター。元記者の真山仁にとって、東條のような人間は実際に近くにいたのかもしれないが、毎度、ストーリーに出てくるこうしたタイプのキャラクターに、真山仁の愛を感じる。 -
特に下巻の後半がスピード感があり面白い。感情をあまり出さなかった鄧の人間らしい行動、朱のたくましい凛とした行動に熱くなりました。
印象的なフレーズ、
「諦めからは何も生まれない。希望とは自らが努力し、つかみ取るもの。」 -
面白い
-
1
-
2011年のF1メルトダウンを予言するかの記述があり話題となったが、ストーリーとしてはもう一歩。
-
いや、話し途中だから…。
-
事故収集の結末が無いのが不満
-
最後は気にくわない。原発と中国がテーマ。
小説自体は迫力、緊迫感があって、楽しく読めた。それだけに、最後は気にくわない。
つか、よくよく考えれば、伏線の回収もされてないの多いし、星3。 -
FF10。回想方式の記載ではあるが、既にそこで答えが見えかけているので、ハラハラはするけどどこか冷めて読んだ。
マグマを読んだ後なのでテーマに目新しさもなく、中国人の働き方にあーあと思うけど、果たして本当にそうなんだろうか。あまりにイメージではとも思ってしまう。 -
東日本大震災の後の原発事故を予測していたかのような描写に驚きを隠せない。
中国人の考え方、行動が、今なおここに書かれたものの通りなら、原発を稼働させようとしているなら、こんなに怖いことはないと思う。
真山さんが背景をものすごく勉強されて書かれているのがよくわかって、臨場感溢れる書きぶりにページを捲る手が止まらなくなってしまった。 -
福島そのままです。
-
読み応えがあったな。中国なら「そうかも」と感じてしまう、恐怖がある。とともに、いずれ日本は途上国クラスになるのかなと考えさせられた。
-
原発というものが神の火ではなく悪魔の火であることがよく理解できた。未だに電力会社に飼われている家畜やカネに目がくらみ放射能産業に群がるハイエナどもに読ませてやりたい。震災よりはるか以前にこの本を書かれた著者に敬意を表したい。この本が福島の原発大爆発よりも前に書かれていたということの意味を日本国民には考えてもらいたい。この本のタイトルはベイジンではなくフクシマでもおかしくはない。
-
中国と日本の人間性違いは、大元ではあまり違いがない。
日本にも偽装問題があるし、
利己主義なところがいっぱいある。
日本人と中国人は個人ベースでは、
信頼できるパートナーになりうる。
そんな小説だった。 -
2015/9/28読了
-
中国で原子力発電所を舞台に、エンジニア、官僚、映画監督を主人公として展開される。3.11を予期しているかのような克明な描写があり、続きが読みたくなる。中国でのビジネスの難しさを読みながら考えることができる。
-
2015/3/3読了。Kindle版。
東方地方太平洋沖地震があった2011年よりずいぶん前、2007年6月から、週刊誌での連載により始まったこの本の内容に、まず驚く。
福島原発の事故と、ついついリンクして読んでしまう。
中国の複雑な政治情勢、国民性にからめて、世界最大の原発を中国国内に建設し、運開する、日本人原発技術者の奮闘、そして彼と中国側の責任者との友情などがとてもうまく描かれていて、原発の構造や技術用語など、少し戸惑ってしまうような難しさも気にならず、純粋に楽しめる。
特に下巻の最後の方は、文字通りドキドキハラハラ、ついページを飛ばしたくなるほどの、緊迫感に満ちている。
ただ、上下巻通して読み終わった今、楽しく読めはしたが、「思ったより軽かったな」という印象が残る。
「原発」を扱っているだけに、もう少し、重量感のある、どっしりとした重厚な作品をどこかで期待していたのかも。
その辺りが、星が一つ減ってしまった理由かもしれない。
「諦めからは何も生まれない。希望とは、自分たちが努力し、奪い取るものだ」という一節は、とても心に響いたけれど。 -
中途半端な終わり方がすごく残念、せっかくいいところだったのに…
-
中国北京五輪開催と同時に、世界最大の原発を立ち上げるも、その直後に事故が起きる。日本人責任者が、原発を止めるべきだと言ったにも関わらず、中国は止めようとしなかった。そのせいで、大事故が起きる。責任者達は必死に原発を止めるべく、手を尽くすも、手抜き工事や杜撰な体制が浮き彫りとなり!あり得ない事づくし。中国の腐り切ってる状況が目に浮かぶ。最後、果たして原発を止めることが出来たのか?ハッキリしない所で物語は終わる。日本人の努力により、止めることが出来たと思いたい。
-
下巻最後の方の切迫した空気がたまらない。予測不可能な状況下での仕事にプライドを持つ人間たちの決断がかっこいい。そこには、人種や民族性を超えた結束があるのだと思う。
-
最後がはっきりしない