- Amazon.co.jp ・本 (626ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344423725
感想・レビュー・書評
-
「無痛」の続編にあたる作品。
ある日、原因不明の新型カポジ肉腫の恐怖が日本を襲う。
小さな斑点のようなものにはじまり、劇的に悪化して死に至る肉腫。
その病にかかるひとびとと治療法を探る医療人。
同じ頃、ウイーンで在日本人のための診療所で医師として働く為頼のもとに、白神と共に日本を離れた南サトミが現れる。
エボラ出血熱、エイズ、狂牛病、SARSといった日本でも話題になった疾患と、WHOを絡め、物語は進む。
医学の世界の光と闇。それも、利権争いや汚職といったものではない、もっと恐ろしく深い闇。
こんなことあるわけない。馬鹿らしい。
こう言って一笑に付すことの出来ない真実味がこの作者の文章にはあると思う。
本作でも疾患の進行の様や、殺人事件の描写において残酷とも言える程鮮明に描かれているため、苦手なひとはいることと思う。
その描写が余りに凄まじいため、読み手を引き込んでしまうとも思える。
前作に登場した為頼にはじまりサトミ、菜見子、イバラのその後も描かれている。
最後がやや残念だとも思えた。
残念というのはつまらない終わり方ということではなく、イバラにはそうではない形でのやり直しをさせて欲しかったということ。
前作と同じく長編ではあるが、大変読みやすい。
ページを繰る手が止まらないため、一気に読み進められる。興味深く面白い一冊だった。
今回は、菜見子の夫ほどの強烈なキャラクターはいないが、精神的に歪んだ人物は登場する。
久坂部さんの描く歪んだ人物は、嫌いじゃない。嫌いじゃないって、友達になりたいということではなく、歪みっぷりが気持ちいい。
この「無痛」、どうやらテレビドラマ化されるらしい。
確かにテレビ向きかもしれない。
社会問題を上手く絡めているため、ドラマでなら普段本を読まないかたへも問題提起にもなるかもしれない。そういった作り方をしてくれたらではあるが。
ちなみに今回のテーマは、健康に拘りすぎる日本人。
風邪であっても抗生物質を飲み、体にいいこと、健康、長寿といった言葉が大好き、病院大好き、薬が少ないと文句を言う、こんな日本人への警鐘を鳴らしている。
ドラマも興味がある。
好きな役者さん、出てるといいなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すべての人が健康なら医者は要らなくなる。伝染性のひどい病気が発生すれば医療従事者の必要性は高まる。高い必要性を維持するにはどうするか‥‥う~ん 病気と医療 存在感はセットで発生するのか‥‥‥ なるべく医者にかからずにすませたいなぁ
-
150829
-
読了
-
創陵大学准教授の菅井は患者の黒い肉腫に唖然とした。エイズに酷似するウイルスが骨を溶かし数日で全身に転移、意識障害で死に至らしめる。あらゆる薬が効かず数ヶ月で日本中にこの「新型カポジ肉腫」が多発したが国は無策で人々は恐慌した。一方ウィーンで天才医師・為頼がWHOの関連組織から陰謀の勧誘を受ける。ベストセラー「無痛」の続編。
-
創陵大学准教授の菅井は患者の黒い肉腫に唖然とした。エイズに酷似するウイルスが骨を溶かし数日で全身に転移、意識障害で死に至らしめる。あらゆる薬が効かず数カ月で日本中にこの「新型カポジ肉腫」が多発したが国は無策で人々は恐慌した。一方ウィーンで天才医師・為頼がWHOの関連組織から陰謀の勧誘を受ける。ベストセラー『無痛』の続編。