陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫 い 14-1)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396332686

作品紹介・あらすじ

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった…はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • 今自分が一番はまっている作家、伊坂幸太郎さんのデビュー3作目の作品。
    約20年前の作品でギャングシリーズの1作品名。

    エンターテイメント全開の作品。
    伊坂さんの作品らしく登場人物がまた個性豊かで素晴らしい。
    ギャング=銀行強盗?という疑問はさておき、テンポのよい知的な会話が飛び交う伊坂節がお見事で、物語がカジュアルでスマートに写る。
    さらりと流れる様に書かれた描写が後々の伏線となっており、最終的にピタリピタリと絶妙で否応もないタイミングで回収されて行く感じがとても心地よすぎる。

    物語の奥深さは他の伊坂さんの作品と比べればそこまでな感じがしたが、突飛な物語の中に知的な心理を愉快に切り広げてくる辺りは唯一無二の作家さんだろうと思う。
    ただ今作品ではだいぶ荒い無茶振りのエンターテイメントさが目立った気がしたが、それも一趣、次作に期待。

  •  ギャングシリーズ第1作で、殺し屋シリーズが始まる前年、ちょうど20年前の作品です。
     主役は4人の銀行強盗団、ギャングです。でも「陽気な」って付く通り、一風変わった能力をもつ4人でした。伊坂さん、強盗好きですね。彼らは、「なるべく人を傷つけない」主義のもと、鮮やかに颯爽と連携して強盗をします。そのキャラクター・手口がとても魅力的です。

     暴力的犯罪活動もなく、金銭的利益を得ようとはしますが、反社会的集団、強固な組織や闘争性といった印象がほぼ感じられません。そのダサかっこよさの同居が伊坂流ギャングなんですね。
     これに、ユーモアがあって軽快な会話の妙、スリルとスピード感ある先が読めない展開、次々と新たな事件に巻き込まれながら、伏線が見事に回収されていく爽快感など、伊坂ワールドの源流を感じさせてくれます。
     
     ハイセンス伊坂節の一例は「割り算」の話。ゼロで割られない理由を、「ギャングの分け前計算に使うから、盗んだ金を誰も手に入れられないと、世の中が狂ってしまう」という理屈に脱帽!
     他にも過去の偉人の名言に、ギャングたちの名言が沢山重なり、とっても良い味を出しています。
     また楽しい読書ができました。

  • R4.2.16 読了。

     最後は見事に騙されてしまった。なのに爽やかな風が心地良い。ところどころに伏線は張られていたのに…。
     これぞ、伊坂ワールドって感じでした。
     また、いじめについてライオンの例えや自然界の弱肉強食の例えで説明しているところは、言い得て妙だと思う。
     それと自閉症のとこもとても分かりやすかったし、伊坂さんの優しさに触れさせてもらった感じがして、とても良かった。
     続編も読みたい。

    ・「他人に相談したり、弱音を吐いたりするのにも、コツがいるのだ。」

  • 図書館が休館してしまい、新しい本を買ってばかりもいられないので、この機会に、もう一度読みたかった本を再読したり、積読本の整理をしようと思いました。

    この作品は再読です。
    発売と同時に買った本は、私にとって貴重な伊坂さんのお名前と私の名前も入ったサイン本だったのですが、弟に貸したら返ってこなくなり、最近、また購入しました。

    おそらく初版のときにはなかった新たな解説がついていたのは得をしました。

    ストーリーは、嘘発見器の成瀬、演説名人の響野、体内時計をもつ雪子、天才スリの久遠の4人組が銀行強盗を働く、おなじみの(?)ストーリーです。
    この強盗たちは、基本的に、相手を傷つけないという考えを持っています。

    二転三転するストーリーは、一度読んだだけなので、すっかりオチも忘れていて、楽しめました。

    軽妙洒脱で、トボけたセリフ回し、飄々としたテンポで調子よく進んでいきます。
    伊坂さんの個性がギュッと詰まった佳作だと思います。
    ここから、伊坂作品はみんな始まったのですね。
    (デビュー作は『オーデュポンの祈り』ですが)

    響野の「ロマンはどこだ」のセリフには、懐かしさにしびれました。

  • 「、」の使い方がオシャレすぎる。
    この作品で伊坂さんの本に出会いました。 

    強盗4人の癖強い会話が非日常的なのに
    リアリティがあるところが面白い。

    最後にはどうなるかとヒヤヒヤしたけれど
    大どんでん返しがあって
    やられたなと思った。

    キャラクターでは演説の達人の響野が好きかな。
    響野は私の中で肩幅が広く、ゴツいイメージがある。
    そして、少し肌黒いのではないだろうか。

  • 親戚が引っ越すからと譲ってくれた本の一部。ギャングかぁ、絵も少し怖いなぁと気が乗らずに読み始めたのですが、あっという間にハマりました。

    ギャングと言っても、人をむやみやたらに傷つけないところに安心。一人一人のキャラクターも魅力的です。きっと大丈夫なのだろうと思いつつ、ハラハラしながら読み進めました。

    章が変わる度に辞書のような語句の説明があり、後半の作者オリジナルの例文にクスッと笑ってしまいました。
    伊坂幸太郎ワールド、おもしろいですね。

  • いやぁぁぁ
    非常に面白かったです。途中まで予想も当たりましたが「そうきたか!!」って感じでした
    気軽に読めるのに、内容はシッカリしてました♪
    ヽ(´▽`)/

  • これは面白い!今更ながらに手に取った…もっと早く出会いたかったくらいオススメ!

    4人の強盗どのキャラも素敵で、作中もドキドキが止まらないのにクスッと笑えたりして最高!

    2、3も読んでみたい!

  • 年度の変わり目。一年で1番忙しい時期。山盛りのお仕事をきっちり片付けた自分へのご褒美!ずっと封印していた、伊坂作品!

    乗り切ったら絶対に読もうと、2月から本棚に準備していた!
    ふひひ、うれしー‼︎

    特殊能力を持った、四人組の銀行強盗犯(ギャング)のお話。
    4000万円の銀行強盗を企てるところから話は展開されていく。とったりとられたり、騙されたり騙し返したり、きっと銀行強盗の話は世の中に沢山あると思うけれど、こんなにオシャレで笑って応援したくなるギャングは伊坂ワールドだから。

    1人1人のキャラクターがなんとも魅力的。
    ギャングの作法や日常生活をギャング目線で感じ発する言葉や、会話が、とってもお洒落。

    あと、大小様々な伏線がはられていて、そこがパッと分かると気持ちいい。

    あぁ、伊坂ワールド、楽しい♫

    有隣堂書店で、伊坂幸太郎20周年記念スペシャルカバーの文庫版を購入したのですが…

    1番下に今までの黄色にギャングが地球を持つカバーが、その上には人気イラストレーターが手掛けた新しいお洒落なカバーが、そして更にその上には、有隣堂書店の色を選べる『本は心の旅路』と印刷された素敵なカバーまでついて、カバーだけで三重にもなっていて…、なんて贅沢‼︎ 大切にします!

    • りょうさん
      こんにちは松子さん。
      フォロー&レビューのコメントありがとうございます。
      本を読むだけで満足でしたが、このように好きな本を通して人と繋がれる...
      こんにちは松子さん。
      フォロー&レビューのコメントありがとうございます。
      本を読むだけで満足でしたが、このように好きな本を通して人と繋がれる事を知ってまたひとつ楽しみが増えました。
      よろしくお願いしますm(_ _)m
      2022/04/11
    • 松子さん
      りょうさん、お返事ありがとうございます(^^)
      『好きな本を通して人と繋がれる』って素敵ですよね♫ 私も楽しいです!

      フォローしあえて嬉し...
      りょうさん、お返事ありがとうございます(^^)
      『好きな本を通して人と繋がれる』って素敵ですよね♫ 私も楽しいです!

      フォローしあえて嬉しいです…と言っておきながら、コメント書いた後フォローし忘れてました(>_<)ごめんなさーい!
      先程、ちゃんとフォローしました。
      こんなドジな私ですが、どうぞお願いします(^^)
      2022/04/11
  • 地球を回すほど、えらい事はしてないけど、個性あるギャング4名は魅力的!
    会話は相変わらず、軽快なテンポで好きな感じ。まぁ、あ〜言えば、こう言う…「軽快かテンポ=屁理屈多い」やけど。
    4章立てで、更に個人単位に分かれて、はじめに用語解説まであるって書き方も面白い。
    その4名が銀行強盗成功!って思ったのも束の間…
    で、盗ったお金は、御同業に取られるし、ロクな事なし。
    そこから、最後までテンポ良く進み、一気に読めた!
    重た〜いのも好きだけど、こういう軽いのも良いな!
    最後に用語解説気に入ったのがあったので書いとく!

    さつじん【殺人】
     人を殺すこと。読者の興味を失わせない、唐突に発生する事象。
    -じけん【殺人事件】
     小説が推理小説であるのことを分かりやすく広告するために、題名に付けられる接尾語。「後光-」

    …笑ける(*≧∀≦*)

  • 個性豊かで魅力的なギャング4人組と、楽しいときを過ごさせてもらいました。
    銀行強盗のシーンは鮮やかで、時間も息もぴったり!爽快感が溢れていました。
    こんな大人、素敵だな〜と思いました!

  • 伊坂幸太郎さんのデビュー第3作目となる作品で伊坂ブームの先駆けとなった作品らしく、今から20年前の刊行。

    あぁ〜読み終わってしまった。
    これは、めちゃくちゃ面白かった!!

    伊坂さんの作品は強盗がよく登場する。今回は特殊能力を持つ4人の銀行強盗。
    強盗なのに何故か誰も悪者には思えず、其々の人物の魅力に嵌ってしまった・・・
    嘘を見抜く能力を持つ成瀬
    天才的に飄々とスリが出来る久遠
    演説名人の響野
    秒単位の正確な体内時計を持つ雪子

    裏の裏をかいたりかかれたり、或いは時系列を変化させたりといった一見複雑な構成だが、読み手が迷う事なく物語に心地良く没頭出来るのは、正に伊坂さんの筆力の成せる技だろう。
    伏線のはり方も、いい具合に予感を感じさせてくれるので、ピッタリ回収された時は気持ちいい!それにしても上手いなぁ〜秘密アイテムの出し方と使い方!
    この設定の斬新さと面白さに、痛快なテンポの良さも相まってとても楽しい読書時間だった。

    また、本筋とは別の所だが、各所で言葉の意味を作者オリジナルに脚色した説明を交えて紹介したり、自閉症に対する私見を交えた一面を見せてくれたり、学生の陰湿なイジメに対峙したりと、陽気なギャング模様にも様々な創意工夫が窺えた。

    読後もこれまた爽快で、デビュー3作目にしてこの完成度かぁ〜と、ますます伊坂さんファンになってしまった。
    ブラピは出演しないが、これは伊坂さん流の日本版『オーシャンズ4』かもしれない笑


  • 学生時代からずっと気になっていた本に、縁よく巡り合い、ついに読了。
    伊坂さんの軽快さ、かつ屁理屈多めのキャラクターがごちゃごちゃ喋っている様子もなんだか微笑ましくて、面白おかしく強盗事件が展開されている。

    この本にも出てくる「積み木の再構築」という言葉が、まさに読者である自分の今と重なって、ドンピシャな言葉に出逢えた気持ちだった。

    伊坂さんの作品は、いつも急に歯車が変な音を立てて別の方向に回り出すイメージ。
    「ん?今のってなんだろう、、」と一瞬思わせるシーンが散在していて、それを頭に置きながら推理していくのも面白いし、
    あえて忘れて最後の伏線回収で思う存分種明かしを楽しむのもアリ。


    銀行員の性格に合わせて「シェパード」なり「スピッツ」なり犬種で会話している所。
    面白おかしく、私も職場の同僚にこの技法?使おうかな。

  • 1週間前くらいの朝日新聞の「折々のことば」に伊坂幸太郎のこの本が出てきた。銀座で起きた間抜けな強盗事件を受けて本書が紹介されてて、伊坂幸太郎はこのニュースをどう思っただろうと書かれてた。

    7年ぶりくらいに読みたくなって読んでみると、当時自分に響かなかった箇所がたくさんあって、本書は伊坂さんの3作目にも関わらず伊坂マジックの味が滲み出てた。

    響野と成瀬と雪子と久遠

    彼ら4人の会話はウィットに富んでいて、ユーモアに溢れていて、クスッと笑わせてくれて、夢中になって読み耽りました。

    4作目の『重力ピエロ』も最近読んだから、それに通じる登場人物たちの会話の面白さがふんだんに魅力として溢れていて、やっぱり彼のファンだと改めて感じました。

  • 伊坂さん3作目の長編小説。
    さまざまな天才が集まった4人組のギャング。
    安定の面白さで、伊坂さんらしい小説と言えるのではないか。

    「陽気なギャング」だけに、そんなに悪い人たちではない。むしろ、人間味あふれるキャラに魅了される。
    これは、続編も読まなくては。

    銀行強盗に入る際の響野の定番台詞。

    ロマンはどこだ?

    僕らもそろそろ探しに行こう。

    • naonaonao16gさん
      こんばんは(^^)

      伊坂作品は勧善懲悪がスカッとさせてくれるんですよね、あとはテンポのいい会話と、美しい伏線の回収。毎度毎度、気持ちのいい...
      こんばんは(^^)

      伊坂作品は勧善懲悪がスカッとさせてくれるんですよね、あとはテンポのいい会話と、美しい伏線の回収。毎度毎度、気持ちのいい読書時間になってくれます。

      さて、3作品。
      どうしよう多すぎて選べません。
      今目の前の本棚に(たぶん)全作品あって、見つめながら悩んでいます…

      古参としては、初期作品の登場人物のリンクがたまらないものがあり、デビュー作「オーデュボンの祈り」はかなりの衝撃でした。
      とはいえ3つに絞るとなると、古い作品から「重力ピエロ」になるのかなぁ。この辺からテーマが少し重くなってくるんですよね。
      2つ目、ゴールデンスランバー、になるのでしょうか。こちらは勧善懲悪、という言い方が正しいのか分かりませんが、愛と信頼とが詰まっていて好きです。なんか映画化されている作品ばかりになりました…
      3つめ。せっかくなので最近の作品から。「フーガはユーガ」。「逆ソクラテス」と悩みましたが、古参として、前者の重みやテーマがなんともたまらないものがあり、選びました。まだ文庫化もされていません。重たくて切ないので伊坂作品らしくない、という側面もあるかもしれないですが、伊坂さんは子どもができてから少しずつ作品に変化があり、この作品からも、その変化を感じました。過去の殺し屋シリーズならともかく、子どものことを思いながらも悪と向き合うその姿に、作家としての使命のようなものを感じました。

      すみません。大好きな作家さんなので熱くなってしまいました!
      古参としては、デビュー作から順番に読むをおすすめしたいです!
      2021/03/28
    • たけさん
      naonaonao16gさん、ありがとうございます!
      挙げていただいた作品はどれも素晴らしいですよね。特に「ゴールデンスランバー」は僕にとっ...
      naonaonao16gさん、ありがとうございます!
      挙げていただいた作品はどれも素晴らしいですよね。特に「ゴールデンスランバー」は僕にとっての初伊坂で大好きな作品です。

      なるほど、お子さんが生まれてから作風が少し変わったんですね。そこらへんも着目しながら全作品制覇を目指したいと思います!

      また、伊坂さんへの熱い想いを聴かせてくださいね!
      2021/03/29
    • naonaonao16gさん
      こんにちは!

      マニアックなやつもあるんですが、読んだのが昔すぎて結構忘れてるので王道を挙げてみました!

      以前よりも、家族の描写が多いのと...
      こんにちは!

      マニアックなやつもあるんですが、読んだのが昔すぎて結構忘れてるので王道を挙げてみました!

      以前よりも、家族の描写が多いのと、守るべきもの、弱者の象徴として子どもが描かれることが多いなという印象です!
      あくまで主観ですが…

      わたしはAXを読み始めました!
      またレビューアップしますのでお楽しみに!
      2021/03/29
  • 人を傷つけない 痛快強盗団のお話。
    銀行強盗の話というので、少し構えていたけれど
    途中で愉快になってしまい、彼らを応援していました。

    強盗仲間は四人。
    リーダーの成瀬は、地方公務員の係長というお堅い職業。
    常に冷静沈着で、人の嘘を見抜くことができる人物。
    成瀬の友人 響野は、口八丁の愉快な男。
    三人目は、運転が上手いシングルマザーの雪子。
    彼女には時間の経過を秒単位で察知する能力があり、
    これに、天才的なスリの腕を持つ 若い久遠が加わります。
    ”仕事” 直前に、響野が必ず呟く言葉
    「ロマンはどこだ」が、いいリズム感!

    全体にユーモアがあふれていて、楽しくなってしまう展開。
    例えば、強盗に入った銀行で、響野が得意の語りを披露するシーン。
    「本日はお忙しいところ誠に申し訳ありません。
    紹介が遅れましたが、私たちは銀行強盗です。
    ………なにとぞご理解を」
    そして、このスピーチの間に “仕事” が終わり、去る時にもご挨拶。
    「みなさん、最後までお付き合いいただいてありがとうございました。
    ごきげんよう」 

    また、ひっそり彼らに貢献する人物たちも愉快です。
    冒頭に登場する警察マニア。
    意味不明の発言で、後に成瀬をうならせる 自閉症のタダシ君。
    一見 役に立たない物 を真剣に開発する ひきこもりの田中さん。
    どの人物に対しても、作者のほんのりした愛情が感じられました。
    ああ、面白かった ♪

  • 2021(R3)1.27-2.10

    個性的すぎる4人の銀行強盗に降りかかる数々の災難。
    「殺し屋シリーズ」と同様、「悪いことをしている人たち」の物語であるが、人間味にあふれ、時に滑稽で時に頼もしい。

    読了まで思ったより時間がかかったのは、4人の銀行強盗の視点で話が進んでいくため、そのスピードに若干のもたつきを感じたからであろうか。

    しかし最終盤、いつもの伊坂幸太郎らしく、数々の伏線が見事に回収され、見事なエンディングを迎える。

    もたつきを感じる要因だった「4人の視点で話を進める」ところに、最終盤の見事なエンディングの仕掛けがあったことに気付き、「今回も伊坂幸太郎に降参!」であった。

    隣の図書館は今日は開館している。休日出勤だが、仕事をしている場合じゃない。「伊坂幸太郎に降参する快感」を味わうために続編を借りに行こう。

  •  面白い。何度も声を出して笑ってしまった。物語のテンポがよく、飽きることがない。そこも大きな魅力。

     4人の個性の描写が見事。特に口から産まれてきたような響野が大好きになった。

     彼らが発する言葉には、奥深い内容もあって、胸に刺さった。下記は印象に残ったフレーズ。
    「自信ない人ほど偉そうに決断して、頭ごなしに命令する」
    「人間の最大の欠点の一つは、分をわきまえないこと」

     シリーズ全て読む予定。

  • 4人の銀行強盗が事件に巻き込まれていく小説。ユーモアのある会話、終盤での見事な伏線回収、読み終わった後の読後感、素晴らしかった。やってる事は犯罪だがそれを普通の仕事のように進めていくし、それを受け入れる面白さがある。

  • 嘘を見破る成瀬、スリの達人久遠、お喋りが上手い響野、正確な体内時計を持つ雪子の4人が繰り広げる銀行強盗ドキドキハラハラミステリー、めちゃくちゃおもしろかった(^○^)!!伊坂幸太郎さんが書くキャラクターは個性があって独特で好きですね。
    その話ここで持ってくるか〜!!ってな感じでやられました!続きも読んでみたいです。

  • キャラ1人1人の設定が良い!
    チームとして互いに信頼する姿勢なども
    読んでいて好感が持てました。

    伏線の貼り方と回収も分かりやすく、
    伊坂幸太郎って感じでした。

    続編も読んでみようっと。

  • このシリーズは本当にサクサク読みやすくかつ面白い。
    今は全3作あり、誤って3作目からのこの本作1作目を読みましたが違和感なく。どこから読んでも大丈夫そうです。
    同じシリーズばかり続けて読むと濃くなってくるのでしばらくしてから2作目を手にとりたい。

  • カラッと都会的で陽気なギャング達の物語。
    彼らのウィットに富んだ会話や掛け合いが面白い!
    悪事を働いているとは思えないほど快活な雰囲気と爽やかさがあり、読んでいて楽しい気分になった。

  •  天才的な才能を持つ4人の銀行強盗たちが思わぬ誤算から大金を横取りされる。果たして4人は、大金を取り戻せるのか、ハイテンポな都会派サスペンス。

     犯罪者が主人公というと、感情移入しにくいと感じるものですが、作者の手にかかれば、4人の個性的なメンバーに魅力を感じ、自分もそのチームの一員になったように読み進めてしまいました。

     作者お得意の伏線も張り巡らされ、見事に犯罪に活かされている所に自分の良心が大きく揺れてしまうほどでした。

     気付けば、4人と一緒にクライマックスを迎え、爽快感を味わう自分がいました。

  • テンポが良くてスカッと爽快!一気に読めました。
    伊坂幸太郎さんならではの散りばめられた秀逸な比喩がカッコいいです。

  • エンターテイメントとして楽しく読めました。
    テンポも良いし、登場人物も魅力的で楽しかったです。

    気軽に読める作品で、続刊も読んでみます!

    ロマンはどこだ...浪漫あるお話です(笑)

  • 4人のギャング(銀行強盗)の物語。
    一人一人が特技を持っているのですが、それだけでなくキャラクターが面白い。
    リーダーは嘘を見抜く名人でとてもしたたか、やや一般的性格の天才スリ、陽気でくどい演説の達人、正確な体内時計を持っている子供思いの母親。
    4人の絡みがとても楽しい。

    あとがきで「現実世界とつながっているように見えながらも、実はつながっておらず、また、寓話のようにも感じられるかもしれませんが、寓意はこめられていない、そういう話になりました」と書かれています。

    でも、いろいろと思いが込められた作品でした。

  • 伊坂さんらしく、読みやすいドキドキとユーモアのある作品になっており、気軽に読めるので、普段の生活から一呼吸置きたい時におすすめの一冊です。
    気になる点 として、緊迫する場面で、本来なら一人くらいは冷静でも残りは動揺するほうがリアルに近いと思いますが、全員が冷静で冗談を言うあたりがちょっと現実離れしているかなと思ってしまいました。
    あと、伏線を全てを回収するようになっていてスッキリするのですが、個人的には多くの伏線をばらまいて、全てを回収せず、読み終えた後に「あれってどうなったんだろう」っていうのが何個か残る方が好みです。
    因みにシリーズとしては以下の順です。
    陽気な。。。地球を回す
    陽気な。。。日常と襲撃
    陽気な。。。三つ数えろ

  • 嘘を見抜く名人成瀬
    天才スリ久遠
    演説の達人響野
    精確な体内時計を持つ雪子

    それぞれ特殊能力をもつ4人の銀行強盗団。
    ドタバタ劇が面白すぎる。
    私は成瀬が好きだった!
    冷静沈着で理屈で物事を考えるところは、私にはない部分。素敵。
    響野も伊坂作品ならではの人物だった。

    シリーズも読む。

  • 伊坂幸太郎さんらしい表現が心地良い。ユーモラスな表現は大好物である。「南極観測隊にビーチパラソルを売ることだってできる。断食中の僧侶にハンバーガーだって買わせるさ。」とか「こんな目にあったって、こう言う奴らは懲りないだろうな。人間は後悔をする動物だが改心はしない。繰り返すんだよ、馬鹿なことを。歴史は繰り返すというのはそれの言い訳だ。」など例えが上手い、笑える、印象に残る。

    本作品は笑える言葉遊びがある。「打ち合わせ、会社員の労働時間の大部分を占める作業。参加者の数に比例して時間が長くなる。声の大きな人が主導権を握る。有意義なものは稀れ、最終的には開始前の状態に戻る。」その通りで、会社で紹介すると大爆笑すること、請け合いである。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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