- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396333850
感想・レビュー・書評
-
原宏一さんの「天下り酒場」、2007.10文庫化です。「天下り酒場」「資格ファイター」「居間の盗聴器」「ボランティア降臨」「ブラッシング・エクスプレス」「ダンボール屋敷」の6話が収録されてます。解説は書店員の人で「奇想天外小説、ナンセンス・ブラックユーモア・アイロニーのオンパレード」と紹介されてます。歯磨き屋の訪問サービスはアイディアとして面白いなと思います(^-^)実際、歯医者さんで歯科衛生士さんに歯磨きの指導を丁寧に受けていると、アリかなとw。私は、「ボランティア降臨」が面白くかつ恐ろしかったです!
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
原宏一
はじめてこの作家を読んだ
本のオビに「原宏一を読んでない方、ものすごく、もったいない!」と書いてあって手にした。
たしかに面白い。
現代世の中を風刺している文章だが、星新一のように奇妙奇天烈ではない。ありそうでなさそうな話。
ショートショートでそれぞれ面白いのだが、特に
”天下り酒場”と”資格ファイター”が痛快
他にもこの作家を読みたい。 -
いい意味で軽い。現代を風刺しているけど重くなりすぎない感じが良い。旅行の移動中にサクッと読むには最適。
-
偶然見つけた本だけど、いや面白い。現代という歪んだ時代の市井に生きるサラリーマンや主婦の生き様を、エキセントリックにブラックにアイロニカルにユーモラスに投影している短編集。
-
痛快!面白かった。
短編小説が幾つか入っているのだが、一番一の「天下り酒場」は、おっ、すっげー、そんなやり方があるのか?と舌を巻いた天下りしてくる人間は、使えないからだけではなくて、その組織で人数があふれたから天下りになる場合があるんだ。天下り元には関係ない組織にいると、全く気づかなかったその景色が少し見ててきた。
「資格ファクター」「ボランティア降臨」「ブラッシング・エクスプレス」など、タイトルから内容がイメージできない小説が、普段とは全く違った切り口で世の中を見せてくれますよ。
カバンに忍ばせておけば、時間が空いているときに、そっと取り出せば、えっと驚き、ふふっと笑える1冊です。 -
それぞれが個性豊かな短編小説。握る男のような、外食ビジネスの成り上がり方を描くスタイルも著者ならではで面白い。経営不振の割烹居酒屋『やすべえ』の店主ヤスは、ある人物を雇って欲しいと常連客に頼まれる。それはなんと、片倉という県庁の役人。居酒屋に天下った片倉は元役人の事務能力を発揮、食材の一元管理と仕入れの効率化で店を黒字に転じた。勢いにのった片倉はヤスに店舗拡大を唱え始めるが…。資格ファイターも発想が面白い。芸能プロダクションが絡み・・と。盗聴器で、夫婦仲がよくなたったり。歯ブラシのブラッシングビジネスなんて発想が面白い。
-
痛烈でありながら新鮮感あふれる現代風刺。誰もが見聞きしたことのある社会問題がモチーフになっているのだが、それが展開される舞台があまりにも庶民的で緩すぎ。つい吹き出しながら読み入ってしまう。大衆心理を読み解く力がすごい。
-
短編は好きではなく長編ばかり読む僕だけれでもこの人の短編は大好きです。
裏にこめられた、設定の奇天烈さとともに裏に込められたウィットが強烈。
あまり設定など深く考えずに一気に読めてしまうからすごい!! -
現実と虚構が入り混じる短編集。
>天下り酒場
役人のうまみといえば、そう天下り!天下り先は大抵出先機関・土建やなんだけど、主人公の居酒屋にも役人が天下っていた!
生真面目な役人だけあって、店の会計を任せたら、赤字ギリギリの店が黒字を出すようになった!
・・・のはいいんだけど、だんだん問題が生じてきて・・・?
>資格ファイター
高学歴だけど使えない主人公は、父親のコネで入社した。
そう、使えないけど「試験勉強」だけは妙に熱中して得意なやついるよね。(自分がそうなんだけど。)
あまりにも使えないので、閑職においやられ、それをいいことに様々な資格にチャレンジし、200以上の資格をもっている。
そして「資格ファイター」として芸人になるんだけど、ちゃんとオチがついていて・・・
読みながら、早稲田の資格ゲッターズを思い出してしまった(笑
>ボランティア降臨
ある日突然「クボタミチコ」という「ボランティア」がやってきた。
頼んでもいないのに、義母の介護をはじめ、家の仕事をすべてやってくれる。
だけどなぜここまで・・・?
うーん、これは床下仙人と発想・オチが似ていてちょっと残念だったなぁ;
>ブラッシング・エクスプレス
突然「歯磨き代行サービス」なるものを扱う男がやってくる。そう、気づくと口をこじ開けられ、代わりに歯を磨かれるのだ。
わけを聴いたら男は歯医者だそうな。
歯医者も過当競争にさらされて、仕方なくこのようなサービスを始めたのだとか。
失業中の主人公もこの仕事を手伝うことになったのだが、売上げは彼に遠く及ばない。
だがこの売上げの理由には裏があって・・・
うーん、本当にありそうな話。
この「売上げの理由」が怖いんだけど、実際似たようなことはどこかで行われていそうなんだよね。
「フィクションなんだけど、もしかしたらありそうな話」ばっかりで、発想・着眼点・登場人物のとぼけた発言・・・どれも面白い!!!
そこまでの「ハズレ」作はないし、1時間くらいで読める話。
筒井康隆・星新一あたりが好きな人なら十中八九気に入ると思うし(ツツイストには物足りないかもしれないけど)、筒井はグロくて苦手という人にもお勧め。
筒井を基準にするなという話だが、この作家には才能を感じるんだよね。
無名だけど、イチオシ。
これからがとても楽しみな作家。