定年オヤジ改造計画 (祥伝社文庫)

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  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396346591

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  • 退職したオヤジ。
    よく言う部屋でゴロゴロ状態。
    妻は呆れ、息子と嫁にまで見放され・・・・よく聞く話だ。
    そんな時、共働きの息子夫婦は思いついた。特に嫁が乗り気でいる。
    “子供たちの世話が大変だから、お義父さんに手伝ってもらいましょう”
    と言いだす。仕事一筋だった義父はオロオロするが‥‥そのうちに、
    少しずつ・・・・

    読みながら思ったのは夫のこと。
    家の中のことが何もできない。
    結婚する時、姑は言った。
    「男子厨房に入らず」ですよと。
    冗談じゃあない!私ははっきり言わせてもらった。「今どき、そんなことは古すぎます!」
    今、主人はゴミ出し係。
    この本の様に、家の中のいろいろなことができる様になってほしいと思う。

  • 「父さんはね、古いんじゃなくて間違ってるんだよ。」
    いるんだろうなぁ、こんなオヤジ。
    夫に、子どもたちが小さい頃週末はよく遊びに出かけたが、あれは家族サービスだったのか聞いてみた。すると、仕事は忙しく残業も多かったけど家族で遊びに行くのは自分も楽しかった、と答えが返ってきた。よかったと思う。
    孫のシッターを頼まれたことで、ジジィからジイジへと変わっていく常雄さんのこれからにエールをおくりたい。

  • 感想
    これは打ちのめされた。未来の自分を見ているかのよう。全部が全部ではないが色々心当たりはある。パートナーに捨てられないように自分も色々気づいてやっていく必要があると思った。

    筆者は老年関係の日常にあるさりげないことを拾うのが本当にうまい。

    作中では娘が遠慮なくズバズバ言ってくれるのが爽快で助けになる存在。

    あらすじ
    主人公は定年を迎え、出向した会社も3ヶ月で倒産し、何もやることがなくなった男だ。妻からも疎まれ、娘からは非常識として非難される。

    息子の子供たちのお迎えを機に、家事や子育ての大変さを身をもって体験して、考えを改めていく。

  • 定年を過ぎて、やっと夫婦の時間が出来たと思い、妻と仲良くすごそうと思っている主人公。
    だが、妻は夫源病を患う…。

    私は0歳で母と父が離婚したので
    物語のような長年連れ添った夫婦を間近で見ていないので、長年連れ添えた夫婦自体に憧れしかありませんでした。だけど、不満や怒りを持ったまま連れ添うって辛すぎますね。

    私には父親という役割がどうあるべきか分からないので、家事は家にいる大人2人(妻と夫)で助け合いながらするべき、という考えしかなく、初心者である子育てには特に夫を最初から参加させねば!という考えしかなかったので、主人公の息子さんの家事・育児への考え方には驚きました。
    (主人公も同じ考えだった為、息子さんもそうなったのでしょうけど、主人公の年代でその考え方になるのはまだわかります。でも30代の男性がそのような考え方だと、現代の女性、母親は潰れてしまいます。)

    主人公は歳の割に頭が柔らかく色んな意見を吸収し、相手に寄り添う事が出来たのが本当に素晴らしいと思いました。

    歳をとると頑固になるのに…。

    何歳になっても新しいことにチャレンジする事をやめない、というのも大切だな…。

  • 垣谷さんは本当に現代社会の問題を題材にするのが上手くてスゴイと思う。



    なぜ日本はダイバーシティにできないのかという本を読んだ後なので、なおさら「あー」と共感することばかり。

     ・退職後の燃え尽き症候群と熟年離婚危機
     ・育児も家事も女のもの、母性は本能、という思い込み
     ・大黒柱の夫だけでは足りない重い教育費と増えない賃金
     ・待機児童問題と保育園の旧体質

    老後も仲の良い夫婦が1組も出てこない…。(汗)

    旧体制の社会の価値観が変わらないままだと、
    父親の子どもの成長に関わる権利と、母親の社会で活躍する道が失われてしまうんだなぁ。と悲しくなる。

    今回は、定年退職したオヤジが主人公。
    夫源病を患った妻との関係修復と、息子夫婦の子供の面倒を見るという、現実なら絶対任せてもらえないミッションを行うことに。

    実際にやってみてわかる育児の大変さ。
    自分はアレルギー持ち姪っ子たちと実家に帰省してたった3日で疲労困憊。
    会社では勤務時間は決まっていて、マネジメント力次第で統制と管理が可能だが、子供は自然と同じ。
    どうやっても予想できないことがたくさんあるし、自分の時間すらコントロールできない。

    作中で息子の妻が一週間留守にし、その間家事育児を息子一人で乗り越えさせるというミッションを行うが、何か失敗すれば子供たちの命に係わるし、本当にやるとなったら母親失格と誹謗中傷をされるのを覚悟でやるしかないだろうなぁ。

    「お父さんは神話の中に生きてるんだね。」
    という娘のセリフが非常に印象的だった。
    調べてみると政府が作り上げて撤回した母親神話ってたくさんあるんだね。

    ・3歳神話:3歳までは母親が育児に専念すべきで、専念しないと、子どもの成長発達が歪むという説。
     →本来は母親に限った話ではなく、3歳まで周りから愛情を受けて育つことが脳の発達に重要という説だった。介護と子育てを家庭・女性が担うことで、保育所など福祉関連予算の削減を図ろうとしたと思われる。

    ・母性神話:母親は自分のことはさておき、子どもに尽くすことが母親の愛(母性愛)であり、女性にはそんな「母性本能」が備わっているという言説。
     →おそらく上記の説を補強するために打ち出した俗説、および歴史的背景の慣習。私も我慢したんだから、あんたも我慢しなさいという無意識の刷り込みでは。父子家庭をガン無視している。。

    ・母乳神話:母乳でなければ赤ちゃんは健康に育たない、母乳の方が肥満になりにくい、IQが高いといった通説。
      →1歳時点では感染性胃腸炎とアトピー性湿疹にかかる割合は減るが、その効果は短く、離乳食開始後は特に粉ミルクで育った人間と差はなくなった。
      →6歳時点で母乳と粉ミルクで肥満率、知能に差はなかった。
      →母乳の多くがビタミンD、鉄分不足なので、母乳だけで育てると、くる病のリスクが上がる。

  • 共感ポイント、めっちゃありました。肩苦しくなく、気軽に読めます

  • 今回の垣谷さんは、定年後の男性を描いている。
    自分は会社で定年まで勤め上げ、家族を養ってきた。
    感謝される他に何がある?って感じの主人公 庄司常雄。
    定年になったら自由な時間を満喫し、今まで出来なかったことをしよう!
    夫婦で海外や国内旅行にも行こう!とはりきっていたのは自分だけ…
    気付けば妻にも娘にも避けられていた。
    口を開けば奇異な目で見られ、いったい何が悪いのかわからない。
    しかし、息子夫婦が共働きになるというので、孫の迎えと世話を頼まれることになり、少しずつ変わっていく。
    垣谷さん、時代の流れというか移り変わりを上手く捕らえて作品にされるのがすごい!
    これは、世の中の女性にも男性にも、そして幅広い年齢層に読んで欲しい!!

    2020.11.14

  • 男尊女卑、女が子育てと家事はするものであると考える定年後の昭和オヤジが主人公。主人公が、息子の家の孫の子守りを引き受けて、少しだけ子育てを経験する事により、考えが変わっていくというストーリー。うまく話が構成されていて、楽しく読めた。
    ここまでひどくはないけど、ご飯は作れなくて妻任せの自分があり、少し考えさせられる部分があった。

  • 垣谷美雨の真骨頂というか、こういうネタなら2日でも3日でも語り尽くせるんでしょうね、そんな感じです笑 登場人物も適度だし、時代錯誤な父だけでは終わらせずに息子まだもっていったのがよかったかな。結構、会社勤めってこれはこれで世界が狭いんですよね。人生、本当に難しい笑

  • ドラマ化されるという帯を見て、ドラマを観る前に読了。
    すっごく、面白くてためになった。
    まさに、自分の親世代である主人公の父親。
    自分は一家の大黒柱として大企業に定年まで勤め上げたという自負がある。
    家事育児は全て奥さん任せ。
    なので、定年を迎えてずっと家にいるのに、家のことはまるでできないし
    やろうともしない。
    奥さんがとうとう夫源病を患う。

    ある日、息子に孫の面倒を観てくれと頼まれる。
    子どもの面倒もまともにみてこなかった主人公が
    必死になって孫の面倒を観始めることに。

    --------------------------------------------------------
    家事育児を夫婦で分担してやるようになったのは
    自分の世代からなのだろうか。
    男は仕事、女は家事。
    そんな時代はもう終わった。

    我が家は父親より母親のほうが断然権力はあるが、
    それでもやっぱり父親は家のことを何もしてこなかった。
    いつしか、母は父に完全に料理を作らなくなり、洗濯も各自になった。
    父は「もう自分でなんでもできるし、野菜の値段の相場も
    わかるようになったぞ」と威張っていた。

    義両親が家に遊びに来たとき、義父が「髭剃りはどこにある?」
    と義母に聞いていて唖然とした記憶がある。
    自分の荷物も、義母任せなのか?と。。

    私はそんな時代の夫はごめんである。
    私の夫はまだ育児や家事に協力的だと思う。
    それでも、育休中、1人で家事育児をしていると気が狂いそうになった。
    喋れない子どもと2人きりで、育児ノイローゼにもなりかけた。
    子どもが赤ちゃんの頃は、仕事に出かける夫を気遣い、夜は子どもの泣き声で
    起こさないように別々の寝室で寝たものだ。
    (一緒に寝室で寝始めても、夫は子どもの泣き声で起きることは
    なかったが)

    仕事に復帰してからは私1人で家事育児は当然無理だし、
    夫と事前に役割分担を決めた。
    子どもが体調不良の時も、私1人で抱え込む状況は避けている。

    巻末の解説に、「家事労働ハラスメント」という言葉があった。
    「家庭のことを職場に持ち込むな」と誰にも言われているわけではないが、
    やっぱり子どもの体調不良は想像以上に頻繁にあるものの、
    子どもの話を会社にはひた隠しにして、何事もないように
    仕事をしている日々は居心地が悪い。
    実際にそのたびに母親が会社を休んでいたら、ほとんど仕事など
    できない状況である。

    きっと子ども(特に小さい子)を持つ母親は皆同じ悩みを
    抱えているんじゃないかと思う。
    しかし、「会社では、残業している人の方が大変だし、疲れている。
    時短や定時帰りの人は楽で羨ましい」
    きっと周りはそう思っているだろう。
    家に帰ったら、まさにこの本の主人公がしていたように
    子どものお迎え、大量の洗濯物のつけ置き、夜ご飯の準備
    などなど、たくさん家でやる仕事が待っているのに。
    そんなこと会社の人には言えずに。。。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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