ヒポクラテスの試練

著者 :
  • 祥伝社
3.66
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本棚登録 : 1181
感想 : 130
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635879

作品紹介・あらすじ

急激に悪化する謎の“肝臓がん”——。
相次ぐ不審死は未曾有のパンデミックの始まりなのか!?
大好評・法医学ミステリー「ヒポクラテス」シリーズ待望の第三弾!

自覚症状なし、MRIでも検出不能……これは未知のウイルスなのか!?

偏屈だが解剖の腕は超一流の光崎藤次郎教授が率いる浦和医大法医学教室に、城都大附属病院の内科医・南条がやって来た。前日に搬送され急死した前都議会議員・権藤の死に疑問があるという。肝臓がんが死因とみられたが、九カ月前に受けた健康診断では問題がなかった。捜査に駆り出された埼玉県警の古手川は、権藤の甥が事故米を使って毒殺を目論んだ証拠を掴む。しかし、光崎が司法解剖から導き出した答えは恐るべき感染症だった! 直後、権藤の周囲で新たな不審死が判明。感染源特定に挑む新米助教・栂野真琴が辿り着いた驚愕の真実とは――!?

感想・レビュー・書評

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  • 肝臓がんで死んだと思われたのが、解剖してみるとエキノコックスという寄生虫の仕業だったということが分かり、いつもは怒鳴るが泰然としている光崎教授が積極的に感染経路を見つけようと動き出す。もちろん古手川刑事もさんざん言われまくれながらも協力する。都議会議員のアメリカ視察がどうも元凶らしいことが分かるが、議員たちは詳細を語らない。そこで、真琴とキャシーがニューヨークに向かうと、とんでもない事実が判明するのだ。最後には、ちょっとしたどんでん返しも待っている。
    光崎教授、キャシーに加えて、南条教授という強烈な個性の持ち主も登場して、登場人物たちのやり取りは面白いし、なんといってもリアル感がある。上手い。物語の展開もするすると進む。これまた上手い。上手すぎるかもしれないが。そのためか、寄生虫によるパンデミックが迫っているというような切迫感はない。

    • goya626さん
      mayutochibu9さん
      ふーむ、いろいろあるんですね。恩田陸さんは、エッセイが結構面白いですね。無茶苦茶飲兵衛のようです。
      mayutochibu9さん
      ふーむ、いろいろあるんですね。恩田陸さんは、エッセイが結構面白いですね。無茶苦茶飲兵衛のようです。
      2021/11/09
    • mayutochibu9さん
      goya626さん
      恩田陸さん体はビールで出来ている?ワインは川島直美か?
      たしか、TV番組でも「子供が嫌いです」と言って一部に嫌われた...
      goya626さん
      恩田陸さん体はビールで出来ている?ワインは川島直美か?
      たしか、TV番組でも「子供が嫌いです」と言って一部に嫌われた気が。
      カットすればいいのに。また「が」でなく「は」なら意味がかわるのに
      と思った気がします。
      ではまた。
      2021/11/10
    • goya626さん
      mayutochibu9さん
      おお、川島直美かあ。随分前にお亡くなりになりましたね。
      mayutochibu9さん
      おお、川島直美かあ。随分前にお亡くなりになりましたね。
      2021/11/10
  • シリーズ3作目


    浦和医大法医学教室の、光崎教授のもとへ、彼と旧知の、南条がやってきた。
    彼は、去年の定期検診では、肝臓癌が見つかっていないにも関わらず、肝臓癌で、急死した患者について、意見が聞きたいと、言う。

    MRIによる診断では、病理解剖は、必要無し。
    ただ一人の親族、出雲も、解剖は拒否。

    その後、出雲は,アフラトキシンと言う毒が含まれた、自己米をその患者に送っていたことが判明。

    急遽、解剖する事になったが、アフラトキシンは、少量で、死に至る原因ではなく、エキノコックスと呼ばれる寄生虫が死因と判明した。
    パンデミックの危険性が…

    そして、二人目の患者が同じ症状で死亡。

    二人の接点を洗ううち、4年前、ニューヨークへ視察旅行へ行った事がわかる。
    同行者は、2人を除いて、5人。

    その5人は、ことごとく、口を閉ざす。

    現地を調査する為、キャシーと、真琴は急遽、ニューヨークへと飛ぶ。

    視察旅行へ行った5人は、自分の命より、秘密を守る方を取ったのは、何故か。

    犬大好き人間の私は、ちょっと読みずらいところもあったが・・。

  • シリーズ第三弾、の一冊。

    急激に悪化し死に至る謎めいた肝臓がん、その司法解剖から見えてきたものとは…。
    未知のウィルス?感染源は?と、タイムリーな要素で序盤から一気に読ませてくれた。

    こうやって司法解剖というメスで声なき声を、真実を取り出していく過程は面白いし、感染源を辿り追い求めていく過程も、実際もこうやって…と興味深く惹き込まれる。

    終盤は毒素をばら撒かれた感。
    海外の食文化、人種差別問題が心に残る。

    死体は嘘をつかない。
    けれど中には炙り出して欲しくなかった点もある死体もあるんだろうな。

    一気読みの面白さと不快感の不思議なブレンドを味わえる作品。

  • 城都大の南条内科医、肝臓癌での死亡診断を受けた知り合いの患者の事前症状から肝臓癌ではあるが違和感を持つ。遺族に解剖を断られ、浦和医大法医学教室の光崎先生に話を持ち込む。相変わらず古手川刑事が無理矢理使われ解剖に持ち込むと...なんと癌の原因は⁉︎

    真琴先生、キャシー先生、古手川刑事の安定面子?があの手この手で解剖拒否を覆します。いつもと違う必死な光崎先生も見られます。
    事件関係者達が頑なに証言を拒み、原因を追って真琴先生とキャシー先生がアメリカに!
    キャシー先生の過去のお話も...現地でも同じような症例が過去にあり...
    最後ドンデン返しもあり、面白かったです。
    (*^ω^*)

  • 「ヒポクラテス」シリーズ第三弾。光崎教授のもとに城都大附属病院の南条がやって来た。急死した前都議会議員の死に疑問があるとのこと。埼玉県警の古手川は議員の甥を疑い捜査を始める。議員の死に始まり、周囲で不審死が判明する。
    光崎教授の毒舌っぷりが楽しいシリーズ。今回もそれは十分に発揮され、仕事っぷりも最高。そういった面白さプラス、社会派の方はというと、人種差別、公務員の保身、パンデミック。人種差別とかは、この内容通り現実なんだろうなあ。後半はその内容で濃かったなあ。ノンストップ、一気読みでした。

  • 城都大の南条が疑問を抱いた、知人の死因。
    光崎教授の再解剖で、驚くべき死因が明らかになる。

    浦和医大法医学教室シリーズ第3弾。

    今回は短編集ではなく、ひとつの死因のみでの長編。
    話のスケールが大きくなった分、自分たちでできることの限界があり、他の人の手が多く入ることに。

    いつものメンバーの活躍ぶりは、やや少なめに感じる。

    感染源は、名前は知っているものの詳しくなかった寄生虫で、ためになった。

    事の真相は不快で、読後感はあまりよくなかった。

  • 普通に面白かったけど、結局日本での殺人事件はなかったってことかあ。
    海外と日本の考え方の違いに触れたとこが1番興味深かったかな。
    なんとなく結末が予想がついたので、もう一波乱欲しかったかな。
    このシリーズ、主要な登場人物が逮捕されたり殺されたりしないってところでは穏やかな話なのでは。

  • 一気に読んでしまう面白さだった。
    「ヒポクラテス」はお気に入りのシリーズ。光崎教授は相変わらずのキャラだけど、3作目の今回はどちらかといえば裏方の印象。真琴先生やキャシー先生の活躍が光る回だった。特にキャシー先生。死体大好きで変人扱いされがちなキャシー先生の真の部分が描かれていてよかった。
    真琴先生や古手川さんは回を追うごとに成長しているのが嬉しい。そして二人の関係も気になるところ。

  • 感染症、これがパンデミックを起こすストーリーかと思ったのですがちがいました。どこから感染したのかを追いかけます。
    真琴先生とキャシー先生はなんとアメリカまで!
    最後に古手川刑事との微笑ましいやりとりがあったりしますが、後味は悪めでした。感染症の原因と、感染した人たちが。一筋縄ではいかない問題をたくさん含んでいました。

    • ultraman719さん
      こんばんは!

      やはり、一気読みみたいですね?
      しかし、本か溜まりまくって…
      早く消化して。これも読みたいです。
      こんばんは!

      やはり、一気読みみたいですね?
      しかし、本か溜まりまくって…
      早く消化して。これも読みたいです。
      2021/11/25
    • nikuさん
      こんばんは(^o^)
      やはり一気読みです!もう次作が出ているようなので、それも楽しみですね!
      私も、読みたい本がたまっています。読む本がいっ...
      こんばんは(^o^)
      やはり一気読みです!もう次作が出ているようなので、それも楽しみですね!
      私も、読みたい本がたまっています。読む本がいっぱいあるって幸せだなぁと思います(^_^)
      2021/11/25
  • 「ヒポクラテス」シリーズ第3弾は、寄生虫による急性肝機能障害死の感染経路の究明。

    光崎教授は、友人の要請で肝臓ガンで急死した遺体を解剖。その肝臓から、大量の "エキノコックス" 突然変異体の包虫が巣食う嚢胞を発見した。

    危機感を抱いた光崎教授の強引な指示で、感染経路を調査する真琴・古手川コンビ。調査を続けるうち、都議会議員による4年前のアメリカ視察旅行が浮かび上がる。が、視察旅行の報告書は意図的に消去されており、生存する視察旅行参加者は固く口を閉ざして詳細を語ろうとしない。

    脅しすかして、何とかニューヨーク市検死局などを視察したことを突き止めた光崎チーム。急遽、真琴とキャシーがニューヨークに派遣された。

    本作は、2017年に「小説NON」に連載された作品だが、その後に発生したコロナ禍を予感させる、タイムリーなストーリーだった(寄生虫は、人から人へ染る感染症ではないが、パンデミック(エキノコックス禍)を想定した医療関係者の動きは、現実とダブった)。

    本作でも、光崎教授の「何度立ち会っても光崎の執刀には目を奪われる。正確無比のメス捌きに澱みも停滞もない速さは、マニピュレーターを連想させる」神業は健在。ただ、本作で光崎教授が執刀したのはたったの二体。少な(笑)。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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