ぱりぱり

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 459
レビュー : 69
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536484

作品紹介・あらすじ

才気あふれ、17歳という若さでデビューをとげた詩人・すみれ。幼い娘の成長に不安を覚える母、生徒に詩人としての才能を見出した中年教師、姉の自由さに苛立ちながらその才能に憧れる妹、伸び悩む詩人に苦悩する編集者、クラスメートの名前が書かれた詩集に出会う販売員、アパートの隣人にときめく大学生。すみれと係わったひとびとが、その季節のあとに見つけたものとは-。『うさぎパン』『左京区七夕通東入ル』の著者による爽やかな感動を呼ぶ青春&家族小説。

感想・レビュー・書評

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  • 17歳で詩人となった個性的という言葉からもはみ出す
    菫とかかわる人々の連作短編集6編。

    何気なく始まる冒頭の情景描写。
    小さな光がどこからか差してくるような終わり方。
    6編とも、とても好きです。
    瀧羽麻子さん、初めて読みましたが
    好きな作家さんになるだろう予感がします。

    自分の興味のあるものへの集中力が尋常でない菫。
    本人も、紡いだ詩集も、
    竜巻のように色々な人々を巻き込み、影響し、
    翻弄していく。

    その中でも菫の家族の物語、
    表題作の『ぱりぱり』ラストの『クローバー』が
    心に残りました。

    家族だって違う人間なのだから
    理解できない部分があって当たり前なんですけど
    気持ちの面ですぐに受け入れがたいことって
    あると思うんです。
    それが近しい家族なら、なおさら濃く深く。

    全く違う思考の人が、家族。
    一緒に生活することで起きる、混乱や苦悩。
    周囲の目を気にしつつも、
    少しずつ確立されていく距離感や絆に
    思っていた以上に心が動かされました。

    スミレってそういう花だったんですね。
    やっぱり見かけで決めつけられないです。

    『カルシウムが欲しいな』の言い回し、いいですね!
    私も使わせていただきます。
    この言い回しがマイブームになりそうな一冊です。

  • 普通の人の”普通”ができないすみれ。
    他人との関係を築くことは上手くない。本人にその気はないけれど、他人の声が耳に届かないこともしばしば。周囲に誤解を与えやすいけれど、好きだと感じたことには異様なまでの集中力・感性をはたらかせるという特異な才能を持っている。
    周囲の人たちの視点から描く6つのストーリーからは、すみれに翻弄されながらもすみれを特別な・大切な存在としてみとめていることが伝わってくる。
    それぞれの登場人物が思い悩み、苦しんでいる。その中でふわりとあらわれるすみれの存在もしくは回想は、夢の中にいるような感覚をおぼえる。すみれに振り回されても、結局はすみれの存在がひとすじの光になっていたりする。
    人間は誰だってパーフェクトではない。個性を受容し美点をたくさん見つけながら人とかかわっていけたら、と感じた一冊。

  • 瀧羽麻子作品…6冊目か。
    中埜菫という人物を中心に、それぞれ別の人が菫さんについて語っているという短編集。

    これを読んでいて思い出したのは、最近ニュースで見た、異才発掘プロジェクトの話。
    突出した能力があるが、周囲の環境になじめずに、不登校傾向にある子どものための教育プログラムのプロジェクトです。
    このお話の菫さんは何とかかんとか、やってこられてたみたいですが、なかなか才能を発揮させることが出来ずに、埋もれていくことも多いでしょうね。
    小説なので疑似的にですが、きょうだい児である妹さんや母の想いも読むことが出来て、面白かったです。

    すみれの詩を読んでみたいと思いました。

  • サクサク読めたし、かといって途中でやめられない程のスピード感や、こじれた設定もなく、純粋に読みやすく、必要以上に心を揺さぶられない内容だった。ほんわかと温かくなるストーリー。ただ、個人的には話が遡っていくのが微妙に報われないなと…菫ちゃんの、困った部分といいところが、過去から共存してすごく絶妙なバランスの(正しくはアンバランスなのかもしれないけど)彼女のアイデンティティになっているというのは分かるんだけど…続編が欲しいくらい。時系列的にはストーリーの終わりが、本の途中にあって、しかも実際にはどれが終わりなのか(恐らく第1章なのかな?)分からないまま読んでいたというのが、読者としては微妙な居心地の悪さを抱いてしまうというか。私だけかな?でも最後のお母さんとのエピソードは特に、母としてはほっとするエンディングでもある。あっという間に読めたのも確かです。

  • 変わり者の詩人中坐菫の周囲の人々を描いた物語
    瀧羽さんの世界は温かくてやさしい

  • 桜がクッキーを作っていると、隣町に一人暮らしする姉・菫が連絡なくふらりと訪れた。子供の頃から6つ離れた風変わりな姉が大好きでよく一緒に散歩をしたが、独特な感性で姉が17歳で詩人になった頃から悩みはじめた桜は−【ぱりぱり】他5編

    ◆詩人・中埜菫をとりまく人々の一喜一憂。最初の【ぱりぱり】だけアンソロジーの中で読んだらこんなに引き込まれなかったかもしれない。「風変わり」というより自閉症とかかもしれないくらいの記憶力と集中力がある反面周りがどうか、とは考えられず自分の思ったようにする菫に周りは「勝手に」大変だろうな←本人はまるでお構い無しだから。


    【ネタバレ】身近に非凡な姉をもつからか、凡庸だと思われたくない自意識を持ちながら努力しない人にガッカリ、それはまた自分のことでもあると自分に苛立っている妹さくら。さくらへのスミレの誕生日祝が素敵だな…私は弟が生まれた日のこと覚えてないや…。◆スミレのデビュー作に魅了され、一生懸命すぎて空回りした編集者・北川。「すみれの詩は私が皆を見返すための切り札なんかじゃない」同じ失敗をしなくて良かった。◆母親と姉2人に囲まれて育った葵の「他人の打算に敏感、本心がわかる」との思い上がりに気付き。阿部、いい奴だな

    ◆すみれの、気ままに紡ぐ言葉の破壊力ある雷に初めて打たれた先生。諦めきれなかった夢を、違う形で昇華できたような。◆臆病ゆえに疑心暗鬼な美緒と突っ走って空回りな夏彦。今回は親友サエちゃんがガッチリいい人で良かったね(´∀`)◆すみれのお母さんの苦悩。子育てって孤独だ。でもこのうちはお父さんがイイ。そして3歳検診の医師に救われた。人間には3つの欲「認められたい、ほめられたい、役に立ちたい」それと娘との違いを冷静に受け止めたお母さん。すみれちゃんは、いい子ですよ。

  • 姉がいる方が読むと共感できるのではないかと思った。

  • 鹿児島睦さんのイラスト表紙に目が止まって手に取った本。ほっこりした。読みやすくて、中盤から一気に読めた。短編だったのが個人的には残念だったけど、全部菫に関係する登場人物のストーリーだったのが良かった。(最後の菫母の話は、私が子育て中でもあり興味深かった)個人的に菫という人間と詩集についてのストーリーをもっと広げて読みたいな、と思った。

  • ★りりいさんからのおすすめコメント★
    好きなおやつは「ぱりぱり」音がするいりこ。春といえばお母さんの黄色いスカート。水玉もようの毛虫。たけのこの煮付け。へたくそなうぐいす。ほんわかしたい人におすすめ!
    武蔵野大学図書館OPACへ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000140327

  • 【あらすじ】
    色とりどりの言葉が世界に小さな奇跡をおこす中埜菫(なかの・すみれ)は、担当教師に才能を見出され、17歳の若さで詩人としてデビューした――。姉の自由さに苛立ちながら憧れを抱く妹。伸び悩む新人に苦悩する編集者。不思議な魅力を持つ隣人にときめく大学生。生徒が書いた補習授業の作文に驚く高校教師、意外な形で同級生と再開する販売員。幼い娘の成長に不安を覚える母親。詩人「すみれ」とかかわった人々が見つける幸せの形を描く、青春&家族小説。

    【感想】

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著者プロフィール

瀧羽麻子(たきわ あさこ)
1981年兵庫県生まれ。京都大学卒業。2007年『うさぎパン』で第2回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞。著書に『株式会社ネバーラ北関東支社』『はれのち、ブーケ』『いろは匂へど』『左京区七夕通東入ル』『左京区恋月橋渡ル』『左京区桃栗坂上ル』『ぱりぱり』『松ノ内家の居候』『乗りかかった船』『ありえないほどうるさいオルゴール店』などがある。

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