超越論的存在論: ドイツ観念論についての試論

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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409031285

作品紹介・あらすじ

存在者へとアクセスする存在論的条件の探究

物自体への接近を論じるメイヤスーらの思弁的実在論と、ヘーゲルを独自の形で解釈するブランダム、マクダウェルらの分析哲学の批判的検討により、カント以降のドイツ観念論を新たな存在論として再構成することを試みた力作。「世界は存在しない」「複数の意味の場」など、その後に展開されるテーマをはらみ、ハイデガーの仔細な読解も目を引く、哲学者マルクス・ガブリエルの本格的出発点。

「本書で私が示したいのは、カント以降の観念論(特にフィヒテ、シェリング、ヘーゲルの哲学)を、現代の英米圏における一面的な(にもかかわらず科学一辺倒である)超越論的認識論と、昨今のフランス哲学における存在論の回帰(バディウやメイヤスー)のあいだの中間的な立場とみなすことができる、ということである。こうした中間的な立場にはまさに、私が超越論的存在論と呼ぶものを明確化することが必要なのである。私の説明によって、カント以降の観念論の構想が、「規範的なヘーゲル主義者たち」が私たちに抱かせるよりもいっそう存在論に近く、思弁的実在論が望んでいるよりもいっそう洗練され複雑であることが、明らかになるであろう。」(本書より)

○目次
謝辞

序論 超越論的存在論のコンテクスト
 第一節 超越論的存在論とは何か、そしてそれがなぜ私たちに必要なのか
 第二節 カント的な志向性の形而上学からカント以降の志向性の形而上学へ 
 第三節 論理学と存在論――バディウに抗して
 第四節 偶然性と一般的不完全さ

第一章 知の存在論
 第一節 シェリング、ヘーゲル、そして懐疑論の形而上学的な真理
  第一項 無知の知(シェリング)
  第二項 懐疑論と真無限(ヘーゲル)
  第三項 懐疑論と形而上学が再び結びつけられる(シェリングとヘーゲル)
 第二節 絶対的同一性と反省 ─ カント、ヘーゲル、マクダウェル
  第一項 カントによる最も革新的な脚注
  第二項 絶対的同一性 対 反省
  第三項 批判概念としての絶対的同一性 
 第三節 表象それ自体の病理的な構造――ヘーゲルの「人間学」
  第一項 ヘーゲルの「人間学」における身体性の理論(『エンチュクロペディ』三八八—四一二節)
  第二項 〈所与の神話〉に対するヘーゲルの拒否

第二章 シェリングの自由の存在論
 第一節 思考以前的存在と出来事――後期シェリングと後期ハイデガーにおける存在概念
  第一項 消極哲学の限界――思考以前的存在
  第二項 出来事
  第三項 人格的な存在概念
 第二節 事後的な必然性――シェリングの後期哲学における神、人間、判断
  第一項 判断と存在
  第二項 判断と実在
  第三項 神と人

第三章 偶然性か、それとも必然性か――シェリング対ヘーゲル
 第一節 絶対者の弁証法――超越的形而上学に対するヘーゲルの批判
  第一項 「本質論」における絶対者の弁証法
  第二項 絶対的理念と絶対的精神
 第二節 偶然性の余地――論理空間の様相的地位についてのシェリングとヘーゲル
  第一項 事後的必然性
  第二項 シェリングと共に、ヘーゲルに抗して

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著者プロフィール

【著者】マルクス・ガブリエル
Markus Gabriel/1980年生まれ。後期シェリングの研究によりハイデルベルク大学から博士号を取得。現在、ボン大学教授。日本語訳に、『神話・狂気・哄笑:ドイツ観念論における主体性』(ジジェクとの共著、大河内泰樹/斎藤幸平監訳、堀之内出版、2015年)、『なぜ世界は存在しないのか』(清水一浩訳、講談社選書メチエ、2018年)、『「私」は脳ではない:21世紀のための精神の哲学』(姫田多佳子訳、講談社選書メチエ、2019年)、『新実存主義』(廣瀬覚訳、岩波新書、2020年)、『アートの力』(大池惣太郎訳、堀之内出版、2023年)など。

「2023年 『超越論的存在論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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