合葬 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480021922

感想・レビュー・書評

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  • 短編が主な杉浦日向子にしては珍しく一貫した展開をもった長編作。近世から近代への移り変わりを、彰義隊をめぐる上野戦争を軸に描く。いつもの淡々とした表現が悲劇性を高めている。
    今年は杉浦日向子没後10年で、「合葬」の映画化や「百日紅」のアニメ化など話題に事欠かない。

  • 誰もが主人公ポジションで、重要な事は知らされていて
    確固とした意見をもっていて、考え抜いて決断する。

    そんな生き方をしている人は一握りだろう。。。

    幕末、よく分からないままにノリや友人に誘われて
    命を落とした若者は多かったのかもしれない。。。

  • 時代の趨勢も、戦いの意味も見通しもよくわからないまま、勢いに振り回されて散っていった少年たち。
    みんな、普通に生活していた、普通の若者たちだった。

    愚かと言えば愚かだし、悲劇と言えば悲劇だし。
    彼らは、死にゆく徳川幕府の道づれだったのか。
    生きて次の時代を迎えた者は、変わらぬ時の流れの中に身を置く。
    淡々と。
    また、普通に。
    生きていればなあ〜
    生きていれば。

  • たった6時間の上野戦争。
    恥ずかしながら上野戦争という史実を知らなかったが、間違いなく江戸の終わりを象徴する事件だったと感じる。
    そしてその担い手が若者主導だったという点が、また痛ましい。

    164ページから数ページ、ぞっとする恐ろしいシーン。

  • 輪王寺宮からの視点で描かれた
    吉村昭の彰義隊も合わせて読んでください

  • 彰義隊の名もない若者たちの物語。
    歴史を作るのは確かに人間なのだけれど、それは一人の英雄でも偉人でもなく、どこにでも入り誰かなのだとこの作品を読みながら思っていた。

  • 柳楽優弥、瀬戸康史のダブル主演の映画化が封切。意識的に原作を読まずに映画を観てきた。そして映画を見終えた夜に読んだ原作の「合葬」。原作で作者が伝えたかったこと、映画の監督が伝えたかったことは別物だと感じる。原作の合葬「手を伸ばせば届きそうな、ほんの100数十年前の幕末、時代に巻き込まれていく青年たち。それを取り巻く多くの登場人物」が丁寧に、しかし淡々と語られていた。幕末は特別な時期だったのではなく、今という時代に続く、ほんの一瞬の通過点と言いたかったのだろうか。原作と映画の「合葬」。両方に触れてもらいたい。

  • 幕末の上野戦争を舞台に、彰義隊の若者たちと、当時の出来事として客観的に描かれた物語。

    大河でもそうだが、ヒーロー主観の物語よりも出来事を客観的に描いた物語が好きで、これもそん感じの物語で一気に引き込まれる。

    当事者の若者たちの物語は最後は悲しい描かれ方ではあるが、その家族や町人たちは変わりなく日常を過ごし、少しづつ関わり合いながら明治の風が吹き込んでいく様がリアルで面白い。

    町人文化目線で幕末の動乱を描くというのはさすが杉浦さんだなと思う。

    もっともっと多くのこういう作品に触れてみたかったので、杉浦さんの早逝は改めて残念だ。

    映画化されているようだが、変に脚色せず原作に忠実に描けば面白い作品になるのではないか。

  • 「お役所仕事の大東亜戦争」という本があるのですが、
    徳川300年もお役所仕事だったのだろうな、と
    P40を見て思いました。

    身近なファミリーヒストリーとしての歴史好きな私としては、
    彰義隊は、るろうに剣心の明神弥彦のファミリーヒストリーですので、
    興味深く読んでいます。

  • 映画化の帯が目に留まり、購入。


    日曜日の日本、月曜日の日本……

    …今現在は 何曜日だろう…か?

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著者プロフィール

杉浦 日向子(すぎうら・ひなこ):1958年、東京生まれ。1980年、「通言室之梅」(「ガロ」)で漫画家としてデビュー。1984年、『合葬』で日本漫画家協会賞優秀賞受賞。1988年、『風流江戸雀』で文藝春秋漫画賞受賞。1993年に漫画家を引退し、江戸風俗研究家、文筆家として活動した。NHK「コメディーお江戸でござる」では解説を担当。主な漫画作品に『百日紅』(上・下)『ゑひもせす』『二つ枕』『YASUJI東京』『百物語』、エッセイ集に『江戸へようこそ』『大江戸観光』『うつくしく、やさしく、おろかなり』『一日江戸人』『杉浦日向子の食・道・楽』『吞々草子』等がある。2005年、没。

「2023年 『風流江戸雀/呑々まんが』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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