世界史の誕生─モンゴルの発展と伝統 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.77
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本棚登録 : 344
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480035042

作品紹介・あらすじ

世界史はモンゴル帝国とともに始まった!地中海文明と中国文明の運命を変え、東洋史と西洋史の垣根を超えた世界史を可能にした、中央ユーラシアの草原の民の活動。モンゴルの発展と伝統から世界の歴史を読み直す。

感想・レビュー・書評

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  • 歴史はそのものが発明であり、それをもっていた文明は稀である。中国と地中海のそれぞれが生み出した枠組で現代の世界史は綴られているが、それはダブルスタンダードであり、本質的ではない。

    地中海文明では変化を主題とする対決の歴史観。中国文明では変化を認めない正統の歴史観。モンゴル帝国に始まる中央ユーラシア世界を中心とした世界史の叙述にゼロから取り組むことで、ダブルスタンダードではない合体された世界史が可能になる。
     
    なぜ共和国制が社会主義を採用したか。並び立つ民族を統制し続ける必要があったから、横櫛で階層を秩序づけられる企みであった。これが本来の大義に接ぎ木しただけだと失敗し、崩壊する。

    このようにしてみると、チンギス・ハーンの広汎で強力で柔軟な影響力は、政治や武力ではなく、宗教に近いものだったように個人的には思う。資本主義が神なき宗教であるように。これだけの遺産を残しているとなると、草原の風が止んでいるだけで、またどこかの大陸で息を吹き返すのではないかと思ってしまう。

  • ユーラシアの歴史に興味が出る

  • 1

  • 2008-00-00

  • さほど読みやすくもない前書きを読み、やっと理解したときにはわくわくした。卓抜な論旨とはこのことかと。でもそこがこの本のピークだったな。学びはたくさんあったけど、そのほぼすべては前書き〜序盤で語り尽くされてて、全体としては竜頭蛇尾といううらみがある。

    ただ。それでも、たしかにこの本には一読の価値はあったと思う。歴史という概念を作り出すことが、人類にとっていかに至難だったか。その結果として、いかに多くの文明が歴史というものを持たずに終わったか。そのわずかな例外が地中海文明と中国文明の2つでしかなくて、しかし双方の歴史文化が相容れないまでに著しく異なっているので、今となっては世界史理解の障壁になっていること。

    だから世界史を理解(叙述)するにはモンゴル史を見よ、という結論に著者は持っていこうとするわけだけど、実のところその必然性については僕は今ひとつよくわからなかった。それぞれにクセのある歴史認識のもとにつづられてきた地中海史があり、中国史があって、その中間地帯にはモンゴル史もあって、その統合的な把握はなかなか難しいよ、ってことだけわかっときゃ充分なんじゃない?べつにモンゴル史に統合しなくってもよくない?

    そのへんの議論の粗雑さ、強引さが、この本の中で「中国人は民族的に資本主義になじまないから先進国に追いつけない」なんて暴論じみた予言を生み、そして華々しくその予言が外れるという失態にもつながったのではないかと僕は思う。(笑)物理の統一理論みたいな見事な世界史認識を持つことはたしかにちょっとした夢だけど、それはモンゴル史への統合ってことではないんじゃないのかな。知らんけど。

  • 「東洋史」=中国を中心とし、歴史は自らの正統性の証明のためのもので変化を認めない。「西洋史」=地中海文明(ギリシア・キリスト教)の歴史は二つの勢力の対立と正義の勝利という変化を描くもの。そもそも両者は全く異なるが、13世紀のモンゴル高原、中央アジアに住む遊牧民の活動(侵略)が、東西の歴史に重要な影響を与えてきたとの考え。
    すばらしくエキサイティングな本。

  • 高校の世界史で挫折(どうしても頭に入らない)して以来、リベンジを繰り返してきましたが、この本のお蔭で、ようやく頭に入るようになりました。
    そもそも「ゲルマン民族の大移動」って、どこから、何で移動してくるの? の疑問がようやく氷解した幸せ……。
    ただ、中央アジアの地理関係を理解しながら読むために、世界地図を広げて指で地名を辿りつつ読まねばなりませんでしたが、それでやっとユーラシア大陸って一つじゃない、という当たり前すぎるのに受験世界史から抜けてた視点が補完されたように思います。
    ついでに……アラル海が半分以上消えてるってこと、今ようやく気付きましたよ!
    本編に比べればオマケのようなボリュームですが、ざっくりヨーロッパ史と、ざっくりキリスト教史も分かりやすくて面白かったです。

  • 歴史は中国と、古代ギリシアからはじまり、モンゴル帝国の誕生をもって世界史の誕生となる。という視点は興味深かった。
    ただ、中国が今後資本主義を取り入れずに発展しないと記述していた点は、時代を感じた。

  • 通史が好きで、東と西の大国を学んだら、読まずにはいられない。内容は普通

  • 高校までの世界史の授業と全く違う世界史の話。そうなのか!と驚く。▲歴史という文化は、ヘーロドトスと司馬遷の二人の天才のつくりだした地中海文明の歴史と中国文明の歴史があるのみ。例えばインド文明もマヤ文明もアンデス文明も歴史のない文明。日本文明は中国文明に対抗してできた。▲それからモンゴル帝国の誕生による二つの歴史の交流が世界史の誕生なのだ。▲ユーラシア大陸の民族の興亡の話は雄大。▲現代の世界の対立は歴史のある文明と歴史のない文明の対立らしいです。

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著者プロフィール

東洋史家

「2018年 『真実の中国史[1840-1949]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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