- Amazon.co.jp ・本 (482ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480036438
作品紹介・あらすじ
該博な知識と彫琢を凝らした文章。現実と非現実のあわいの世界と人間の狂おしい心情を描く久生十蘭の世界。高等遊民の男と、非常な美しさをたたえた女性との数奇な運命を描いた「湖畔」「墓地展望亭」、驚くべき着想で架空の土地をリアルに描き出した「海豹島」「地底獣国」、戦後間もなく発表され代表作とされる「ハムレット」と、その原型となった「刺客」など、十蘭の魅力を網羅した一冊。
感想・レビュー・書評
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なんとも魅力的。怪奇風なものあり、冒険譚あり、そのすべてが非常に丁寧な筆捌き。特に『湖畔』は、これ1編だけでも買う価値ありってくらいの傑作。
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黒い手帳
湖畔
月光と硫酸
海豹島
墓地展望亭
地底獣国
昆虫図
水草
骨仏
予言
母子像
虹の橋
ハムレット -
ひさお・じゅうらん と読みます。
「新青年」系の小説家。
夢野久作・小栗虫太郎とか好きな人にはお薦め…
って↑好きな人は大抵よんでるよな…
収録:
「湖畔」
「墓地展望亭」
「海豹島」
「地底獣国」
「ハムレット」
「刺客」
他、全14編 -
恋愛絡みの物語はあまり好きでは無いのですがこの人の作品はありきたりの甘ったるさが排除されていて読みやすい。
『墓地展望亭』の王位を継承する王女と日本人の話が一番好き。
表題にもなっている『ハムレット』と骨格を同じくする『刺客』の間に都筑道夫の解説があり、読み比べることが出来るのも楽しい。 -
重厚。ぐっとくるほどの何かが魅力です。恋愛を軸にした話が多かったけど、どれもセンスがあって好きでした。ストーリーというよりは、その世界観を楽しむ作品。ハムレットをゼミ発表で使う予定ですが、ストーリーは刺客、細かい描写はやはりハムレット。これだけの世界、知性が無くてはかけるはずが無い、と思えるほどものを感じます。
読めばはまる人はどこまでもはまると思う。私もその一人。
是非全集制覇をしたい。
傑作だ・・・とただただ感じます。だけど、それは近年のミステリのようなトリックとかキャラクタ性とか、ストーリー性おいてではなく。 -
湖畔・ハムレット
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魅力的な短編集。
とりわけ『母子像』は脳内映像フル稼働・・・!胸の苦しさがかえって心地いいなんて。余韻にしびれます。 -
本当に傑作選。
読み終えた後は全集を探すことになります。 -
久生十蘭の本で現在、手に入れやすい一冊。『黒い手帳』の端正な書き出しから幕を開ける。『海豹島』『墓地展望亭』の浪漫に酔いしれ、『月光と硫酸』の黒いユーモアにニヤリとし、『昆虫図』の最後の一行に戦慄することになるだろう。壮大にして精密な構成を支える文体の魔術師、少女小説から時代物までを書きこなす舞台の広さ。観客はこれから始まるであろう、久生十蘭劇場の開演を待ち望んで欲しい。