知識経営のすすめ: ナレッジマネジメントとその時代 (ちくま新書 225)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480058256

感想・レビュー・書評

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  • アジャイルの本を読んだ後、野中先生の本も積読であったなと思い出して読んだ一冊。数年前、社員の意識変革の必要性を説く上司が課題図書として挙げた一冊。
    1999年の発行。出てくる固有名詞やネット社会の進み具合とかからはちょっと古い話かと感じさせたりもしますが、製造業から知識産業に主役が移るという予想はそうなったりして、古くても新しい。
    暗黙知を形式知に変える場をどうデザインするかですね。

  • 発刊は1999年だったが、今の時代にも適応される考えが記載されている書物のように感じた。
    自社がSECIモデルで経営できているかや、知識経営のステップに照らすと道のりは遠いように見える

  • 暗黙知と形式知のフローがわかり易く、キレイにまとまってる。

  • 自分の組織への適用エクササイズ。

    狭義のナレッジマネジメント:知識の共有・移転・活用
    +知識ベース事業
    +知識経営組織、組織デザインとリーダーシップ、組織改革

    ・知識創造プロセス
    暗黙知
    ↓ 共同化 (創発場)
    暗黙知
    ↓ 表出化 (対話場)
    形式知
    ↓ 結合化 (システム場)
    形式知
    ↓ 内面化 (実践場)
    暗黙知
    以上を、個人、集団、組織の各レベルで

    ・分類
    知識資産の把握、議論、活用のための分類
    構造的分類
    機能的分類

    ビジョンの把握、議論、活用のための分類
    意味的分類

    ・観察→定義→分類→仮説(測定のための)→活用→検証→フィードバック

    ・ハイパーテキスト型組織
    自律的な知識創造プロセスをまわす
    発展的、多元的、動態的

  • (2001.08.05読了)(2001.05.02購入)
    ナレッジマネジメントとその時代
    (「BOOK」データベースより)amazon
    日本企業は、二度の石油ショック、ニクソン・ショック、円高などを克服し、強い競争力をつくりあげてきた。日本企業に比較優位をもたらしたのは、年功制度・終身雇用という労働形態だけでなく、組織的知識創造をコアとする労働スタイルにあった。それは個別的な直感=暗黙知を形式知化して組織全体のものにし、製品やサービス・業務システムに具体化するという組織の運動能力のことである。トヨタやホンダ、花王、富士通、富士ゼロックスなど優良企業のケース・スタディをもとに、知識創造と知識資産活用の能力を軸として、大転換を迫られている日本的経営の未来を探る。

  • ちくま新書らしい学術書の入口って感じ。
    ナレッジマネジメント、知識経営については野中先生のお話を何度か聞いていた上での読破だったので腹落ちしやすかったが、一般的にはけっこうタフな内容だったような気もする。
    いずれにしてもブレなく同じ論理をきちんと説明できるってことでやっぱり権威なんでしょうね。この道の。

  •  本書はナレッジ・マネジメントの導入書である(といってよいと思う)。ナレッジ・マネジメントは、この本の著者の1人である野中郁次郎が提唱した企業マネジメントの方法論であるが、この本では、ナレッジ・マネジメントの胆となる概念である「知識」と、組織の成員が集まって知識を創出する「場」の重要性を説いている。

     私自身が本書を読んで重要だと感じた点は、以下の3点である。

     (1) 「知識」と「情報」は、曖昧な形ではあるが、ある程度は区別することができる概念である(著者はあまりこのことを重要視していないようではあるが)。「知識」は「個人や組織(集団)が認識・行動するための、道理にかなった秩序(体系・手順)」(101-102ページ)である。その際、知識を用いる人がその知識内容を正当なものとして認識していることがポイントとなる。一方で「情報」は、(一般的には)「データから構成された意味や意義」(103ページ)のことを指し、「情報」は「知識」の形成に寄与するものである。

     (2) 「知識」はさらに、「形式知」と「暗黙知」に区別されて考えられる。「形式知」とは言語化が容易な知識のことを指す。例としては、マニュアルや文書情報などが挙げられる。こうした形式知は、言語を媒体として共有や編集が可能である。
     一方で、「暗黙知」とは言語化しえない、あるいは言語化しにくい知識のことを指す。例としては、熟練の職人の技術などが挙げられる。暗黙知は言語化の難しい知識であるが、身体経験によって個人に取り込むことができる知識である。
     知識の創出の際には、形式知を暗黙知へ変換したり、逆に暗黙知を形式知へと変換する作業などを通じて、組織に所属する人々の間で形式知や暗黙知を共有するプロセスを構築し、分析することが肝要である。ちなみにこのプロセスは「SECIプロセス」と呼ばれている(cf. 111-115ページ)。SECIプロセスは繰り返されることが重要であり、それによってこのプロセスにかかわる人々の成長が期待できるのだという。

     (3) 「場」は、組織に属する人々が知識(形式知・暗黙知の両方)の共有や創出を行う結節点となるために、重視されるものである。そしてまた、「場」の様態は、SECIプロセスに沿って分類し分析することができる。

     「知識が重要だ」と指摘すること自体は簡単である。しかし、実際には現場の知識を持つ人々(組織に所属する人々)の参加意識が必要であり、知識共有に人々が貢献することで人々にメリットが感じられなければならない。そのため、知識共有に対して人々が自発的に取り組んでくれるような状態とすることが重要となる。

     本書は、ナレッジ・マネジメントという方法の要点を整理しており、それゆえに私はこの本をナレッジ・マネジメントの「導入書」であると見なした。しかし、本書の内容だけでは、組織の中での具体的な実践へと結び付けることは難しいだろう。ナレッジ・マネジメントは魅力的な方法論のひとつであると思うが、当然ながら、組織の状態をよくふまえた上で用いることが肝要となる(本書の著者は、ナレッジ・マネジメントが短期的に成果をもたらすような方法でもなければ、体系的に商品化されたような「便利な経営手法」でもないことをきちんと記している)。このマネジメント手法についてさらに深く知りたい方は、『知識創造企業』も併せて読むとよいかもしれない。

  • 2000年にでたとは思えない。まずはこれから。

  • [ 内容 ]
    日本企業は、二度の石油ショック、ニクソン・ショック、円高などを克服し、強い競争力をつくりあげてきた。
    日本企業に比較優位をもたらしたのは、年功制度・終身雇用という労働形態だけでなく、組織的知識創造をコアとする労働スタイルにあった。
    それは個別的な直感=暗黙知を形式知化して組織全体のものにし、製品やサービス・業務システムに具体化するという組織の運動能力のことである。
    トヨタやホンダ、花王、富士通、富士ゼロックスなど優良企業のケース・スタディをもとに、知識創造と知識資産活用の能力を軸として、大転換を迫られている日本的経営の未来を探る。

    [ 目次 ]
    第1章 情報から知識へ
    第2章 21世紀の経営革命
    第3章 第五の経営資源
    第4章 「場」をデザインする
    第5章 成長戦略エンジン
    第6章 創造パラダイムの経営

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    [ 参考となる書評 ]

著者プロフィール

野中郁次郎
一九三五(昭和一〇)年、東京に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造株式会社勤務ののち、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D.取得。南山大学経営学部教授、防衛大学校社会科学教室教授、北陸先端科学技術大学院大学教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。著書に『組織と市場』、『失敗の本質』(共著)『知識創造の経営』『アメリカ海兵隊』『戦略論の名著』(編著)などがある。

「2023年 『知的機動力の本質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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