食べ物のことはからだに訊け!: 健康情報にだまされるな (ちくま新書 1109)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480068170

感想・レビュー・書評

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  • ブックオフで見かけてタイトルが気になり、図書館でリクエストして借りて読む。

    最初は純粋に健康に関する関心から手に取ったのだけど、読み進むうち、これが仕事にも大いに役立つことを知る。

    内容は直接的には健康情報に関するもので、それはそれで当然役立つのだけれど、適用されるのはもっと普遍的な話で、ちまたにあふれる科学的と言われるデータがどのようなものであり、それらとどのようにつきあっていくか、ということを考えさせてくれる。

    結局のところ、自分の感覚、判断力がとても大事なので、それを健全に養っていくことが重要と再認識させてくれるとてもよい本だと思う。

  • 原理主義に陥らない、全肯定・全否定のどちらの極端にも走らない、難しい中庸の道。トンデモ本をタイトルや著者名まで挙げながら、おかしな所は指摘しつつ傾聴すべき部分も紹介して書き手を追い詰めない。
    筆者が実践するスタイルは、責任ある大人が歩むべき道。これが出来る人がどれだけいるかが、即ち国や文明の成熟度なのだろう。

  • 2020-5-9 anazon

  • 私は専門知識がないから判断が難しいと感じる物事がたくさんあるのですが、こういった中庸的で1つ1つの物事に対してどうかという考えを書いてくださる医者の方は稀有なので貴重です。
    結局「私はこう思う」とか「現在はこう考えられている」という物事が世の中にはたくさんあって、そんな中で人間も1人1人が違うから、自分の答えを自分で見つけていくしかないと考えているので、非常に参考になる本でした。

    自然免疫は天性の免疫能力。
    自然って言葉って広義な言葉で、認識の齟齬が生まれやすい言葉だと思う。
    私はなんなら人工的や科学的なものですら、人間たちが自然と作り上げたものだからある意味自然だと思ってる。

    無農薬野菜のような頭抜けた美味しさはないかもしれませんが、って無農薬野菜と農薬使った野菜って味の違いあるものなの?シンプルな疑問。

  • 糖質制限は体に合うか合わないか。
    トランス脂肪酸や人工甘味料、着色料、農薬、化学肥料。
    年に1~2回添加物をとっても健康被害は起きない。

    トンデモ本の特徴
    極端が多い、西洋医学は信用できない、化学では説明できないこともある。
    真のサイエンティストは、科学で説明できないなら、もっと検証しよう、となる。
    自然治癒力、日本古来の、古代からの、自然免疫力、抗酸化作用、などのキラキラワード。

    ビタミンCで風邪の治りがよくなる、ことはない。ただし定期的な摂取で風邪の期間が短くなる可能性はある。

    実験室データでは、活性酸素がガンの一因になっている。ビタミンは活性酸素を阻害する。ただし実験室と人間の体は同じではない。

    笑いは免疫力を増加しそうだが、エビデンスは取れない。

    栄養過多のほうが栄養不足よりいい。

    「人々は体の声を聴かず、脳の欲望に負けている。知識に負けている」
    昔はよかった、はうそ。
    イヌイットは炭水化物は食べない。しかし平均寿命は68歳。
    地中海食が体にいいのは、ゆっくりのんびり穏やかに食べるから、ではないか。
    赤ワインのレスベラトール効果はデータの捏造。

    漢方で進行がんは直せない。一方で自然に治ることもある。特に腎細胞がん。

    「やせたければ脂肪をたくさんとりなさい」は臨床データがたくさんある。

    臨床試験は、帰納法で構成されている。正しくないこともある。
    空腹の時、「今の俺は何腹だ?」と自問して、体が欲しているモノを食べる。

    ショーペンハウアー「読書について」本を読んでいると考える能力が次第に失われていく。

  • 健康には程ほどの自信があった。程ほどとはたまに風邪を引くことくらいだった。10年ほど前に山登りを強行して心房細動になり以後数回の病気で、健康について遅まきながら考えるようになった。
    家族の食の管理も見直すのがいいかなと、すこし関心が出てきたのでこの本を読んで見た。
    題名が日ごろの考えに近いこともあって、同意できることが多かった。

    今まで新聞の派手な見出しで「~すれば癌はなおる」「この食べ物で体質が変わった」
    臨床データもなく大声で主張するこういう類の本は読まなかった。


    この本では第二章に、健康「トンデモ」本というところで述べられている。
    「極論が多い」「科学では説明できないこともある」「自然治癒力」「日本古来の」「古代からの」「自然免疫力」
    などの「キラキラワード」を多用する。

    こういう健康情報満載の本が新聞紹介欄にある。言葉には納得する部分があるが、だがその後に続く効用を信じていいのだろうか。


    そうしてこの題名「からだに訊け」が目に付いた。
    静かにからだに訊くと、見逃していたわずかな変調に気がつくことがある。予兆を見つかることが出来る。寝る前のすこしの時間、静かに声を聞く。

    病気なってから治すのではなく、その前に耳を傾ける。
    それは個人差のある自分というたった一つの個体を知ることで、そのうち健康に関心が持て、一概に、こうすれば「癌にならない」「血圧が下がる」「体重が減る」「増える」などと言うことが全てに通じるのかという疑問がわく

    いいことは試してみるのがいい、人によって効果があるかもしれない、人はそれぞれ体質も嗜好も違う。健康状態も日々すこしは違っている。


    ただ過食はよくない。カロリーの撮りすぎは、消費することを前提に考える。使わない余分なものをため込まない。

    このあたりは非常に常識的で、納得できた。




    ただ一点、実に信じがたい部分がある。

    第一章に上げられる位なので、まず読むべきだろう。


    *糖質制限は本当にからだによいのか。

    筆者は若く健康体で、昼食は仕事しながらコンビにのおにぎりだと言う。
    糖質制限でも、バースデイケーキの一切れで癒されるならいいそうだ。そうかもしれない。
    だが。

    これは、いかに筆者が臨床医でも、糖尿病患者には無神経ではないだろうか。
    糖質制限は、大切であり糖尿病は完治しない、気長な治療も必要だ、しっかりとした指針もいる。食は楽しみであり生きて行く基礎なのだが、思うまま摂取できない体質(病気)を持つことがある。(母が糖尿病だった)

    それぞれの専門医の意見をしっかり守ることが一番であるが、実行するのは自分でありいかに先進医療を受けても、健康を取り戻すには前向きに地道な努力がいる。

    等質制限(とり過ぎない)事は常に頭にあっていい。病気でなくても、肥満、皮下脂肪、中性脂肪型の油脂の摂取、消費のバランスには注意がいる。

    窮屈な生活は楽しくない。ただ知っていて、時にからだの声に耳を傾け、若さで許されることもいつか小さな割れ目から不要な病原がたまり、ほんのすこし年を重ねて代謝が劣ることに気づく、そんな時のために健康に目を向けることも必要だ。
    平均余命がのびてきた今、若いからといって油断せず、小さな積み重ねが、心身の健康を守ることだと感じた。高齢者が自立するためのも知識と努力は続けなくてはいけない。

    ストレスというような、ちょっとした自覚のない状態でも、心を広げ、遠い山河を思うだけでも、ささやかなで短い人間の人生はわずかに軽くなるのではないだろうか。

    健康情報の過度な喧伝から、しっかりとした智恵と知識で生きることを考えさせられた。

  • 著者が述べている「科学的」という態度は、ダイエットよりも仕事など他の事に有効だと思いました。多くの人は、ダイエットを話のネタと思っていて、成功したらむしろ困るのでは⁉️

  • 巷に溢れる健康情報(インターネットや健康本)に振り回されずに自分の感覚を磨いて自分にあった食事をとるようにしよう。という本。

    この結論のために
    ・巷に溢れる健康情報(特に怪しい健康本)は正しくないことが多い
    ・科学的に正しいとされる食事であっても、それが健康に与える影響は実はそんなに大きくない(バランスよく食事をすればそれほど大きく「外さない」)
    ということを繰り返し述べている。

    特に他の健康本の否定にかなり多くのページが割かれていて、健康本をあんまり読まない自分にとってはちょっとこの部分が長すぎる印象でした。ただ、結論に持っていくためには必要な部分なのだろうとは思います。

    全般的に腑に落ちる内容。
    科学的に正しくないのは論外、いくら科学的に正しくってもアレコレ気にしすぎるより自分の感覚で食べたいものを食べる(自堕落な食生活ではない)くらいのスタンスが幸福に近づけるのだろうと思いました。

  • トンデモ健康本に対して、科学的に探求する視点から意見を述べている本。
    詳しい医学用語は、門外漢のため頭に入ってこないが、起こっている事象に対して真摯に検証しようとする姿勢は伝わってくる。
    自分の思い込みで情報を得て、都合よく解釈して良しとしていないか、自分を見直す一冊として意義がある。

  • 「患者の多様な価値観を医者が糧に「命が一番大事」と規定するのは医者のエゴであり、パターナリズムです。患者の価値観を否定することができるほど、医者が偉い存在ではありません。」という一文で著者の姿勢がわかる。「自然治癒力」をキラキラワードというあたりもさすが。現代医学と主観的判断など、興味深い視点。

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著者プロフィール

1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現・島根大学医学部)卒業。神戸大学都市安全研究センター感染症リスクコミュニケーション分野および医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野教授。著書に『コロナと生きる』(朝日新書、内田樹との共著)、『新型コロナウイルスの真実』(ベスト新書)、『僕が「PCR」原理主義に反対する理由』(集英社インターナショナル新書)ほか多数。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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