こころの病に挑んだ知の巨人 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480071187

感想・レビュー・書評

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  • 森田正馬以外は名前を聞いたことがある程度だったが、それぞれの精神疾患の治療に対する理論がわかりやすく説明されていて良かった。

  • 森田正馬、土居健郎、河合隼雄、木村敏、中井久夫という日本の偉大な臨床家について、とてもよくまとまっていて大変参考になった。
    ただ、同じ内容の繰り返しが多めで、それだけ大事だということなのかもしれないが、その分を別の内容の記述にあてることもできたのではないかと思われ、ちょっと残念だった。

  • 5人の考え方の簡潔かつクリアーなまとめ。こういう本が読みたかった。

  • 森田正馬、土居健郎、河合隼雄、木村敏、中井久夫の主に思想をまとめたもの。もとは大学の講義だったのか。
    中井久夫は高校生の頃に夢中だったわけだが、内容はほとんど覚えていないといいつつ意外と残っていた。以前に自分が行った状況への対応はこれに基づいていたのかもしれない、というのがいくつかある。
    一方、木村敏についてはあまり親しみがなかったのだが、ずいぶんおしゃれでいらっしゃる

    微分回路と積分回路については当然ご存知...
    (敬称略)

  • 【版元】
    『こころの病に挑んだ知の巨人――森田正馬・土居健郎・河合隼雄・木村敏・中井久夫』
    著者:山竹 伸二(1965-)   評論家。
    シリーズ:ちくま新書
    定価:本体900円+税
    Cコード:0211
    整理番号:1303
    刊行日: 2018/01/09
    判型:新書判
    ページ数:304
    ISBN:978-4-480-07118-7
    JANコード:9784480071187

    森田正馬、土居健郎、河合隼雄、木村敏、中井久夫。明治以降一〇〇年にわたる「心の病」との格闘のなかで、彼らは日本の文化に合った精神医療、心の治療の領域を切り開いてきた。日本人の心とはなにか。その病をどう癒すのか。臨床心理学・精神医学の広範な知見を活かしつつ、独自の人間理解から患者と向き合い続けた五人を取り上げ、その理論の本質と功績をわかりやすく解説する。
    http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480071187/


    【簡易目次】
    序章 日本の心の治療を支えてきた人々 009
    第1章 森田正馬――思想の矛盾を超えて 029
    第2章 土居健郎――「甘え」理論と精神分析 075
    第3章 河合隼雄――無意識との対話 119
    第4章 木村敏――現象学から生命論へ 173
    第5章 中井久夫――「世に棲む」ための臨床 221
    終章 文化を超えた心の治療へ 271



    【目次】
    目次 [003-008]

    序章 日本の心の治療を支えてきた人々 009
    1 日本における心の治療の歩み 011
      黎明期の日本の精神医療  戦後日本の精神病理学  精神医療現場の変化  心理学から生まれた心理臨床の専門家
    2 人間存在の本質的解明へ 022
      心の治療の現場はどのように変わるのか?  五人の心理的治療者の人間論に学ぶ

    第1章 森田正馬――思想の矛盾を超えて 029
    1 心の病はなぜ起きるのか?――森田理論の原理 031
      森田正馬の生涯  神経質とヒポコンドリー性基調説  精神の交互作用  森田理論の核心――“思想の矛盾”  「あるがまま」に生きる  〈気分本位〉と〈事実本位〉
    2 森田療法の実践 051
      森田療法の治療プロセス  神経質の治療法  強迫観念の治療法
    3 森田正馬の人間論 063
      生の欲望と死の恐怖  森田理論の問題点  自己観察と自己了解  森田療法の可能性

    第2章 土居健郎――「甘え」理論と精神分析 075
    1 精神療法と精神分析 077
      「甘え」理論はいかにして生まれたか?  精神療法(精神分析)の目的  治療者の感情を活かす  抵抗の解釈  洞察と「甘え」の問題  土居健郎の治療例
    2 「甘え」理論と治療への応用 095
      『「甘え」の構造』を読む  甘えと現代社会の病理  「わかる」患者と「わからない」患者  「甘え」理論から見た治療論
    3 土居健郎の人間理解と治療論 108
      自然科学的な枠組みを超えて  なぜ患者の感情を感知できるのか?  一般存在様式としての「甘え」

    第3章 河合隼雄――無意識との対話 119
    1 日本人の心の深層 121
      臨床心理学からの挑戦  日本社会の中空構造  ユング派の昔話論  『昔話と日本人の心』を読む
    2 カウンセリングとそのプロセス 133
      初期のカウンセリング論  若き日の事例  事例の検討――心理臨床家の役割  成熟モデルと自然モデル
    3 深層意識の構造と心理療法 150
      深層意識と自己  自己実現と物語  治療者の態度と逆転移
    4 日本人論と治療の本質 160
      日本人への心理的治療  クライエントは自分で治るのか?  心の治療の本質

    第4章 木村敏――現象学から生命論へ 173
    1 自己と「あいだ」の思想 175
      思想家と臨床家のあいだ  「あいだ」の思想の原体験  うつ病の罪責感から見た日本人  統合失調症と“自己”  現象学的直観診断  「あいだ」の病としての統合失調症
    2 精神病理の時間論 192
      統合失調症の時間意識  うつ病の時間意識  精神病理における二つの存在構造  永遠の現在を生きる祝祭の精神病理  時間と自己
    3 生命論と人間論 208
      生命論と医学的人間学  共通感覚とアクチュアリティ  「時間」と「自己」からみた人間論  生命論の問題点と可能性

    第5章 中井久夫――「世に棲む」ための臨床 221
    1 統合失調症の病理論 223
      臨床の着地点  統合失調症論  発病から寛解、あるいは慢性化へ  慢性化の危険性
    2 治療者の態度と精神療法 234
      「心の生ぶ毛」とベース・チェンジ  「あせり」から「ゆとり」へ  風景構成法の考案
    3 統合失調症の治療プロセス 245
      治療的合意と信頼関係 発病の論理」と「寛解の論理」  急性精神病状態の治療原則  治療の終結と社会復帰  発達論と思春期問題
    4 治療の背景にある人間像 259
      治療者の主観性と対人関係  中井久夫の人間論  人間存在と心理臨床

    終章 文化を超えた心の治療へ 271
    1 治療論と人間論の共通性 273
      心の治療と人間理解  人間の欲望と不安  〈自己了解〉は生じているか?  治療者の内面性
    2 日本人論から見た心の治療 289
      日本人論を超えた関係性の原理  人間論から治療論へ

    あとがき(二〇一七年一二月 山竹伸二) [299-302]

  • 心理
    医学

  • 取り上げた5名の理論の特徴をさくっと理解することができる。

  • すごく為になった。

  • 東2法経図・開架 B1/7/1303/K

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著者プロフィール

山竹伸二(やまたけ・しんじ)
1965年、広島県生まれ。学術系出版社の編集者を経て、心理学、哲学の分野で批評活動を展開。評論家。同志社大学赤ちゃん学研究センター嘱託研究員、桜美林大学非常勤講師。現代社会における心の病と、心理療法の原理、および看護や保育、介護などのケアの原理について、現象学的な視点から捉え直す作業を続けている。おもな著書に『「認められたい」の正体』(講談社現代新書)、『「本当の自分」の現象学』(NHKブックス)、『不安時代を生きる哲学』(朝日新聞出版)、『本当にわかる哲学』(日本実業出版社)、『子育ての哲学』(ちくま新書)、『心理療法という謎』(河出ブックス)、『こころの病に挑んだ知の巨人』(ちくま新書)、『ひとはなぜ「認められたい」のか』(ちくま新書)、『共感の正体』(河出書房新社)など。

「2023年 『心理療法の精神史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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