宮沢賢治の彼方へ (ちくま学芸文庫 ア 3-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480080325

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  • 天沢退二郎 「 宮沢賢治 の彼方へ」

    宮沢賢治作品(心象風景、詩人の彷徨)の軌跡を辿り、宮沢賢治の詩的問題を探ろうとした試論。


    「詩とは死である」を命題とし、長詩「小岩井農場」では 自己消滅に至った宮沢賢治の詩的彷徨を 妹としの死が救ったという論考に驚く。詩人宮沢賢治と宮沢賢治の実人生を分けて 捉えている。詩人である著者ならでは〜詩人は職業でなく生き方という言葉通りの認識だと思う


    宮沢賢治作品を「コミニュケーションを求めつつも コミュニケーションが不可能である軌跡」とし、深層主題である「分裂」と「雨」のモチーフと捉え、分裂の終わり(一方の死)の彼方に作品はようやく始まり、「雨は 沈黙の発する言葉であり作品そのもの」と結論づけている。作品読み直しの際の目付けにしたい


    そのほか、風の又三郎が不吉な死の国の使者(死神)であったり、自己犠牲をテーマとした「よだかの星」の論考は 「銀河鉄道の夜」との違いを論じた箇所は面白い

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著者プロフィール

天沢退二郎 訳者 天沢退二郎(あまざわ たいじろう)1936年東京生まれ。東京大学仏文科卒。詩人、評論家、宮沢賢治研究家、作家。詩集に『地獄にて』、『幽明偶輪歌』(以上思潮社)、翻訳に『青空』(晶文社)、『ヴィヨン詩集成』(白水社)、『ペロー童話集』(岩波書店)、『シチリアを征服したクマ王国の物語』(共訳、福音館文庫)、評論『宮沢賢治の彼方へ』(思潮社)、創作に『光車よ、まわれ!』(ポプラ文庫ピュアフル)、オレンジ党シリーズ(復刊ドットコム)がある。

「2013年 『犬のバルボッシュ パスカレ少年の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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