初めて聖書を読んだのは5~6年前なんですが(学業の必要で読みました。聖書は読み物としても面白いです。柳田國男が好きな方なら旧約が特にオススメ!)、その時に併せて読んでおけばよかったと思ったぐらい、面白くてためになりました。面白い、そこがポイントです。
聖書を読んでいると、どうでもいいことが気になって来ます。
●カインはアベルを殺したのになぜ神様から庇護の印を貰ったのだろうか?
●アブラハムが妻を埋葬する土地を「タダであげる」と言われたのに「買い取りたい」と言い張ったのはなぜか?
●イエスはなぜ「花婿」なのか?
以前からずっと引っかかってたんですが、その答えがことごとくこの本の中に書いてあった…!
本書は神学的な観点からではなく、古代世界の人々の世界観にユダヤの人々がどういう影響を受けてあのような物語を聖典として語り継いできたかを考察するもので、神の存在に関してなんら意見するものではありません(むしろ、反神学的な内容と言えるか…)。
この本を読んで、私が引っかかっていた部分は全て、当時の人々の世界観を共有していないことに起因していることがわかりました。まさか、メソポタミアの神様から始まって、ヘレニズム世界の神様にまで話が及ぶとは!
蛇足ではありますが、旧約聖書に「バアル神」というやけに存在感の強い異教の神様(聖書内で「偶像」としてではなく「一つの霊」として登場する神様はおそらく彼だけだった)が出てきます。
彼の存在感はなかなかのもので、聖書の登場人物の中でも5本の指に入るくらい私は好きだったんですが、彼は聖書成立に欠かすことの出来ない存在だったんですね。その点については嬉しくもあり、とても納得する所でした。