- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480421883
作品紹介・あらすじ
今では「古典」となりつつある鴎外の名高い短篇小説『舞姫』を井上靖の名訳で味わう。訳文のほか、原文・脚注・解説を付して若い読者でも無理なく読める工夫を凝らした。また資料篇として、ベルリン留学時代の鴎外や「舞姫」エリスの謎についてなど、作品の背景を探る代表的文献を紹介。読みごたえのある名作をさらに深く味わえる一冊。
感想・レビュー・書評
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読み始めて5分、
これはとんでもない読後感を得るんだろうな、
そんな予知があった。
そして、震えた。
このやりきれなさ、あーあ。あーあ。
優しい嘘なんて、優しくないって知りながら、それでもついてしまう。
その人を思ってじゃなくて、自分のために。 -
心情描写がとてもきキレイだと感じました。
林太郎がエリスに出会った時や、その後の葛藤する描写が鮮明ですんなりと頭に入ってきました。
考察の余地が多く、現代語訳を読んでいるだけでは気づかない点がこの本では解説されています。
原文(古文)から読み解くと、それはそれでまた違ったアプローチができます。色々な楽しみ方ができる名文だと思いました -
あの有名な舞姫を読むのは実は初めて。あらすじは知っているのでこの先の展開を予測しつつ「ああ、男のロマンって酷いな」としみじみと楽しめる逸品。
私が読んだものは井上靖による現代語訳なのだが、読む前は「明治でしょ? 現代語訳しなくても読めるよね?」って思っていたが、文末の原文を見ると、実に読めない。同じ日本語であるというのに、言葉というものはここまで変わるのかと驚く。
そのときどきに流行っているものを取り入れる小説と無い小説では普遍性が異なると言われる。時代性のある小説はそのときは受けるがあっという間に古びて見えるとも言う。けれど、ここまで言葉が文字が変わるのであれば、そんなものは誤差なのかもしれない。
物語そのものの楽しさもさることながら、解説群も面白い。そしてその解説の中に星新一の名を見てタイミングの良さに笑った。(森鴎外は母方の大伯父にあたる)
星新一の書く、書こうとしていた森鴎外の情熱を見てみたかった。 -
高校以来、久しぶりに読んだ。当時は歴史背景を全く考えずに読んでいたと思う。なので今回は、できるだけ、背景を考えて読んでみた。
この作品が発表されたのが1890年なので、120年前の作品なのか。
ということは、尊皇攘夷を叫んでいた江戸時代からたかだか20数年。豊太郎は、お国の為に富国強兵と立身出世に邁進している時代の留学生であり、親の世代はまだまだ封建的な考えというのが前提。
となると、豊太郎の行動は何を意味してるんだろう?留学先でのエリスへの愛情という個人主義と、社会への貢献を第一とする国家主義の間を行き来し、迷った末の悲劇なのだろうか?
現代の自分には、豊太郎の行動に賛意を示すことは出来ない。
でも、当時の一般的な考えを持つ人(相沢)ならば、悩みすらしなかったであろうことを悩み苦しみ、その結果として、愛する人に最悪の結果をもたらした豊太郎には、多少の同情も感じた。
あまりにも救いのない結末なので、また数年後に読んだら、この感想も変わるかもしれないと思った。 -
高校の授業で扱ったので読んでみたが、浅学無知の自分にはなかなかハードルが高かった。 エリスとの出会いは自分には現代のライトノベルに通じるような描写に感じられ、小説における表現というのは時代を通してつながっている部分があるのかなあと思った。
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近代と現代に差し掛かった大きな差の対比。後ろの作品に対する評論もさらに理解を深めるのにとても良いものだった。
学校の題材になりはしたが、飽き足らずもう一度自分で読むことにした。
主人公太田豊太郎とドイツで出逢うエリスという名の舞姫との恋物語というべきか。
恋物語と言っても純なものではなく、かと言ってドロドロした話でもない。ただ豊太郎の弱さを、作者自身の弱さをヨーロッパの街を舞台とし、本能と理性・外的自我と内的自我の葛藤の中で描き、それを認めようとしない弱さの自供と反省が描かれている。
そして新旧をドイツ・ベルリンの町並みで対比するのにはわけがあったと思う。それは近代の保守的で本音を消し、どこか根性論的な考え方を時代の流れに逆らった許されざる恋心の発見によりその旧式的な考え方に脚光を浴びせ批判している。
と言っても私としては理性・外的自我に逆らって本能・内的自我に沿って欲しかったとも思う。もしそうしていたなら、それこそ純恋愛になっていたかもしれない。またそうなったときの事に意識を巡らせて妄想するのも楽しみである。
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高校の授業で習いました。当時も今もアイツは相当ゲスなヤツでした。
コメントありがとうございます。
自分の感想を読んで、読み終わった時の感想をそのまま書いていますね。
自...
コメントありがとうございます。
自分の感想を読んで、読み終わった時の感想をそのまま書いていますね。
自分のことながらお恥ずかしい。
それだけ、豊太郎のことを不快に思ってしまったようです。
森鴎外=森林太郎=陸軍の軍医さんですね。
「不朽の名作」の定義が難しいですね。
舞姫の内容だけを見たら身勝手な男の振る舞いだって思...
「不朽の名作」の定義が難しいですね。
舞姫の内容だけを見たら身勝手な男の振る舞いだって思えますから不朽の名作というのはどうなんだろうな〜って思いますよね。
それなのに何故か現代まで読み継がれ名作と言われるのはやっぱり森鴎外だからなのでしょうか?
それとも多くの男性の心の奥底に秘める、もしかしたら自分も豊太郎と同様の行いをしてしまう可能性に対する罪の意識の身代わり贖罪として見るからなのか。
こんな内容の小説が高校の教科書で取り上げられるのは奇妙な気持ちもしますが、清く美しいものだけが名作ではなく、我が身の中の毒を吐き出すのも勇気ある名作だと思えないこともないかァ。
そしてそういった感情とは別にすれば、単純に鴎外の文語調の武張ったような文章の旋律が心地よいと思います。こんな文章もあるんだぞ、と教科書に載ったのかな。
高校の授業でこの作品を読んだ時、教科書も捨てたもんじゃあない。
粋なことをするもんだなと思ったのも事実です。
長い間読まれ続けている、というのがそれかな?とも思います。
この本は本当にまだ読まれ続けていま...
長い間読まれ続けている、というのがそれかな?とも思います。
この本は本当にまだ読まれ続けていますね。
興味深いです。
森鴎外というネームバリューなのか?有名だから読んでみようか?という感じなんでしょうか。
男性の深層心理。。。
自分の中では、このストーリー展開は思いもつかないくらい酷すぎました。。。
でも、話題は尽きないということでは、インパクトがある作品なんでしょうね。
月1回で実施している感想会では、女性陣から、豊太郎は袋叩きに合っていました(笑)
自分も加害者でしたが。。。
ではでは。