ねじ式/夜が掴む: つげ義春コレクション (ちくま文庫 つ 14-1 つげ義春コレクション)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 620
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480425416

感想・レビュー・書評

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  • 「つげ義春コレクション ねじ式/夜が摑む」つげ義春
    夢想怪奇漫画。暗い色。
    筑摩書房つげ義春全集より。

    こんなに有名で、不可解で前衛的で、コアなファン層のある漫画のレビュー書く勇気、僕にゃあありません…。書くけど。
    なぜもっと早く読まなかったんだろう。もっと早く読んでたら、人格形成に多大な影響を及ぼしていただろうに。
    サングラスとワイシャツに下駄履きとかの学生になってたかも。

    不安を煽る崩れた、頽廃的な構成に、引き込まれているという感覚も無く引き込まれている。
    シュールレアリスムな心理的な奥底にあるモノの表現、と感じるんだけどどうやら凝りに凝った構成だってことは、この人何かが裏返しになってるって印象。
    普通の生活を送る中で想起される超現実を自分の表現方法におもねて形にするところに理性的な構成力が働くなんて。
    こう、ウゥーッて出てきた衝動の積み木があって、それを冷静に机の上に散乱して配置して、煙草吸いながら。気持ち悪…
    『ガロ』って怖いワ。

    あと、エロい。もう、純粋に剥き出しの欲望のエロスには芸術とか感じない。
    いわゆるエロ本って要は多かれ少なかれ変態性というか、異常性を含むと思うけど、リアリティを超えた夢想としての色欲が、とどまるところを知らない。
    「必殺するめ固め」で妻を奪われる男の、被虐的な立場、女の欲情、暴漢の精力。表向きは一切性感を表していない男にこそ、狂うようなエロへの執着を感じた。作者の。
    おかしいだろうよ…

    収録作は“夢もの”と“日常生活もの”に二分されていて、ねじ式/ゲンセンカン主人/夢の散歩/アルバイト/雨の中の慾情/夜が摑む/コマツ岬の生活/外のふくらみ/必殺するめ固め/ヨシボーの犯罪/窓の手/夏の思いで/懐かしいひと/事件/退屈な部屋/日の戯れ、の16篇。
    どれも甲乙つけ難く印象的ですが、やはり初読のインパクトの「ねじ式」と、「外のふくらみ」かな。個人的には。

    将来、子供に見せたくない漫画ナンバーワン。(5)

  • 2011/09/11/Sun.購入。

  • つげ義春コレクション全9巻のうち6巻以外を読んだ(6巻は漫画ではなくエッセイとスケッチらしいので見送った)。正直1巻以外はつまらないし、その1巻にしても『ねじ式』『夜が掴む』『ヨシボーの犯罪』辺りはやっぱりというか、作者が見た夢をそのまま描いてるだけのようで、そこに何か高尚なものは感じ取れなかったし、世間でもてはやされる理由もわからなかった。

  • 狭いのか、広いのか、良くわからない、
    空間の歪んだうす暗い部屋に窓ひとつ。
    そこはいつでも開いていて、
    出るも出ないも自由だが、
    妙な居心地の良さを感じ、
    出るに出られないのはなぜだろう…!?

    同名タイトルの作品がはいった文庫を買うのは、
    これで2冊目。
    つげ氏の世界観にどっぷりはまりつつある…

  • 個人的に一番好きなのはねじ式。汽車にのるところと、これには深いわけが・・・のシーンが好き。

  • やるせなくて、投げ出した雰囲気が絶妙。

  • なんだか、揺るぎない。
    「日常」がそう呼べる程文字通りの意味を成していないのに、
    そもそも「日常」自体が曖昧な表現なのだけれど、それを揺るぎない世界観で描き出してしまった、というように感じる。
    間違いなく才能を持ちながら、持て余して滅茶苦茶にしなかった、
    色々な意味で怜悧な人だと思う。
    傑作。

  •  「ねじ式」のようなシュールな作品は、悪い風に言えばキチガイの脳裏に浮かんでは消えていく妄想の一コマ一コマを、そのまま原稿用紙に落とし込んだ感じ。もちろん、普通はできることではないし、作者の非凡さは疑いようがない。だが、果たしてこれがその評価に見合うほどの「表現」なのだろうか、と思わざるを得ないのも事実だ。

     一方でそれなりにストーリーを創る動きが見られる話達は間違いなく面白い。日常やちょっとした出来事から膨らんでいった、エロチックで停滞した時間の流れが感じられる。特に住む部屋でもないのに女郎部屋を借りて怠惰に時間を過ごす、作者らしき漫画家の姿を描いた「退屈な部屋」などは個人的には好みだった。

  • 何なんだろう?この感覚はとにかくシュール。

    強く訴え掛けるようなものがありそうで実はなさそうなでたらめさ。
    作者の夢の中を覗いているようなホント夢のような脈絡のなさ。

    幻想的だが妙にリアルで…
    何かを感じずにはおれない作品です。

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著者プロフィール

つげ 義春(つげ・よしはる):1937年生まれ。漫画家。

「2024年 『つげ義春が語る 旅と隠遁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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