酒呑みの自己弁護 (ちくま文庫 や 38-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480427687

感想・レビュー・書評

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  • 作者の実家は軍需成金で、いつでも白鷹や白鹿、白雪などの酒樽が置かれ小学生の頃から舐めていた/戦中に農繁期に農家の手伝いをする「援農」というのがおった/焼夷弾が降りそそいだ翌朝煙草を一服やりレコードをかけた(曲は、シェラサードだった/戦後、カストリ焼酎やバクダンといった密造酒があった/川端康成は酒が飲めなかったが、酔った気分にならないと書けないと言っていた/売春禁止法ができ赤線がなくなったのは昭和33年/「トリスを飲んでハワイに行こう!」は柳原良平さんの絵がなければ失敗していた.柳原さんは船の専門家だった

  • [これからの時代を生き抜くための教養書100]のオススメに載ってた。

    〜酒をやめたら、もうひとつの
    健康を損なってしまうのだと
    思わないわけにいかない〜
    まさしく、その通り。
    嬉しいとき、悲しいとき、
    お酒と一緒だもんなぁ、と思う。

    読んでみよっと。

  • 酒の慾を卑しとせねば大宮の酒を酔ふまでいただきつ我は
     吉野秀雄

     二日酔いの頭で書店に入ると、目の前に、山口瞳のエッセー集「酒呑みの自己弁護」が。タイトルに苦笑しつつ、即購入。直木賞作家の山口瞳は、かつてはサントリー「洋酒天国」の編集者だった。さてさて、どんな「吞み」っぷりだったのだろう。
     ページをめくると、酔いもさめるような辛口コメントがずらり。接待酒に疑問を抱かない「社用族」批判や、そういう客をあてにする銀座高級店の質の低下、深酔いして電話魔になる酔っぱらいへの手厳しい言葉など。「自己弁護」というより、ごくまっとうな分析ばかりだ。
     山口瞳は1926年、東京生まれ。徴兵検査を受けた最後の世代でもある。自宅は戦災で焼け落ち、敗戦直前に召集。ウイスキーの味は、入営前に覚えたという。
     酒場でのけんかも多々あったそうだが、どうしても許せなかったのは、相手が戦時中に「徴兵逃れに成功した」と得意げに語り出した時。徴兵忌避には巧みな方法があり、それを自慢するように語る「インテリ」には我慢ができなかったらしい。書き方は冷静だが、青春期と総力戦が重なった運命を、酔いで紛らわすことは難しかったようだ。小説「居酒屋兆治」などを執筆後、95年に病没。享年69。

     掲出歌は、そんな山口瞳の師であった鎌倉の歌人の作。吉野秀雄も大酒豪で、長時間飲み続けるタイプだったとか。その「斃【たお】レテノチ止ム」という酔い方の描写も味わい深い。今ごろは彼岸で再会し、師弟で杯を交わしているのかもしれない。

    (2013年10月13日掲載)

  • Amazon、¥655.

  • 烏兎の庭 第四部 箱庭 11.19.11 
    http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto04/diary/d1111.html#1119

  • 酒好きの方におススメです!

  • このエッセイは、もともと「夕刊フジ」に「飲酒者の自己弁護」というタイトルで連載されたものを集めたもので、1973年3月というから、38年前に新潮社から刊行されたもの。新潮社文庫版もあるようであるが、僕の読んだちくま文庫版が発行されたのは2010年10月。
    筆者の山口瞳は、開高健と同じくサントリーの宣伝部に勤務。サラリーマン時代に書いた「江分利満氏の優雅な生活」で直木賞を受賞した作家。エッセイストとしての方が知られているのではないか、と思う。本書は、題名の通り、酒にまつわる(とばかりは言えないけれども、主として酒にまつわる、とは言える)話を集めたエッセイで、1話に1つ、山藤章二のイラストが付いている。
    山口瞳の文章は味がある、としか言いようがないような文章だ。エッセイの中身も独特の味わいがあり、山口瞳をおちょくったような山藤章二のイラストとともに、何とも言えない雰囲気を出している。僕自身は友人知人と酒を飲みに行くのは嫌いではないけれども、お酒自体は弱くもないけれども強くもなく、そもそも特に好きなわけではない。自分のアパートで飲むこともなく、イスラムの禁酒国に行ったとしても、全く問題なく過ごせると思う。だから、山口瞳のように、酒なしではほとんど生きていけそうにない人については分からない。酒をやめたら、身体は健康になるかもしれないけれども、もうひとつの健康(要するにメンタル面だろう)を損なってしまうのだと思わずにいられない、というのが、山口瞳の言う、酒呑みの自己弁護だ。そうであれば、それは山口瞳にとっては、たまたま酒だったという話であり、別の人は別の拠り所を持って暮らしているのだ、と考えれば、それもそうかもしれないな、と思うだけだ。

  • クラーク・ゲーブルが映画の中でベルモットの瓶を逆さにして振り、そのコルク栓でカクテル・グラスの縁を拭いてジンを注いでドライ・マルチニ(マティーニをマルチニと呼ぶのは山口氏のこだわり)をつくったという話。チャーチルはベルモットの瓶を横目で睨みながらジンのストレートを飲んだという話。山本周五郎氏がけっしてスコッチを口にせずサントリー・ホワイトを飲み続けていた話。大山康晴王将が始めたゴルフをすぐ止めたときに「あれは体によすぎるので……」といったという話。小粋な話が随所にちりばめられたエッセイです。

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著者プロフィール

1926年東京生まれ。小説家、随筆家。『江分利満氏の優雅な生活』で直木賞受賞。おもな著作に31年間連載したコラムをまとめた「男性自身」シリーズ、『血族』『居酒屋兆治』など。1995年没。

「2014年 『ぐつぐつ、お鍋 おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山口瞳の作品

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