ピカルディの薔薇 (ちくま文庫 つ 18-2 幽明志怪)

著者 :
  • 筑摩書房
3.76
  • (15)
  • (47)
  • (27)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 376
感想 : 38
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480429490

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「蘆屋家の崩壊」から読もうと思ってたのに、何を勘違いしてかこっちから読んでしもた。
    いや、この読み方もアリ。問題なし。
    読むと物語にぐいぐい牽引されていく。下手するとあっちの世界に足を踏み入れすぎてしまいそう。
    そして、そら恐ろしい。
    ピカルディの薔薇に「虚無への供物」オマージュぽいなと思い、フルーツ白玉の食べ物の描写にえぐいなと思い、跋でああ全部意図通りに感じてて作者の掌の上で踊らされていたんだと。
    どこまでが本当でどれが現実か分からないのが心地よい。
    ミステリか幻想かホラーかブクログの便宜上カテゴリ分けが難しいね。

  •  小説家、猿渡を語り手をする(ダーク)ファンタジー。
     
     いったい、いつの時代なのか、そもそも舞台は日本なのか、それすら危うやなのに、妙にリアルな触感がある。濃厚な空気がある。
     解説で、土屋敦氏は「イメージするのは、磨き上げられた真球である」と書いているが、私はむしろバロック真珠だと思った。
     パールの放つ濃厚な光と、いびつな形故に様々な姿を浮かび上がらせ、その実態はつかめない。
     もしくは、過冷却水か。
     氷始める、その振動を待ち続けている。そんなものように感じた。

     「フルーツ白玉」がとてもつもなくいい。
     小説は、最後の1行できまる、っていうのを体現してる。

  • 小説家である主人公が語る怪異譚を綴った連作短編集です。
    著者の作品に触れるのは初めてでしたが、ホラー作家だということを後で知りました。また、これが〝蔦屋家の崩壊〟に続く、シリーズ2冊目ということも読後に知った次第です。
    でも、何の予備知識もないまま読み始めたので、耽美で退廃的な幻想世界に素直に浸ることができました。内容はホラーなどではなく、現代版泉鏡花を読むような気分で、幻想文学として楽しむことができました。

  • IKさんお勧めにより拝借の2/3。前作よりもグロテスクなのが多い。表題作は本格的ホラーでぞっとした。

  • 1/18 読了。

  • 短編集。
    このところ読書に集中できなくなっていたが、津原泰水の世界にやすやすと引き込まれた。重々しくもあり、軽味もあり、不思議で魅力的な文章を書く人だ。

    「夕化粧」の締めくくり方に思わずうなる。思わせぶりでもなく、唐突でもなく、予期していなかった余韻が、ぽーんと心地良く後を引くような。

    後書き(跋文)を読んで、作者が男性だと気付く。以前、「名前から言って男性でしょ」と思っていたら、ポートレイトを見て「あれ、女性だったのか?!」と思って信じていたのだが…。

  •  美食家と偏食家とゲテモノ食い。
     それぞれ嗜好は違えども、根本は同じ…ような気がしなくもない。その不思議さよ。

  • コンビ登場作が少ないがこれもよい。

    猿渡くんはいつの間に扶養家族ができたのだ?

  • ゲテモノ食い系のはなしは苦手。

  • シリーズ2作目、既読を含む短編9作。
    雲を掴むような、煙に巻かれたような、妖しさと黄昏がかった色合いが、平行な感覚を麻痺させる。

全38件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1964年広島市生まれ。青山学院大学卒業。“津原やすみ”名義での活動を経て、97年“津原泰水”名義で『妖都』を発表。著書に『蘆屋家の崩壊』『ブラバン』『バレエ・メカニック』『11』(Twitter文学賞)他多数。

「2023年 『五色の舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

津原泰水の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×