- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480436863
作品紹介・あらすじ
台湾人の父、日本人の母、仲良しの妹。家族の愛が沢山入った思い出の「箱」が見つかった――二つの故郷の絆を結ぶ傑作エッセイ。解説 中江有里
感想・レビュー・書評
-
一青妙さんのお父様、顔恵民氏とそのご家族についての歴史も含めた生い立ち記録。
一青といえは歌手の一青窈さんしか存じ上げませんで、てっきり一青窈さんだと思って読んでいたら一青窈さんのお姉様で妙さんという存在を知って益々興味深く読みました。
台湾出身の顔恵民氏が、戦中戦後の日本で生きた記録が沢山の箱子という宝箱に入っている。
箱は一つかと思ったらそうではなく、家のあちらこちらにもあり台湾にもあった。
箱を探したり思わぬところから箱を知ったり、深く自分と向き合って家族の姿を探る妙さんの心境に感銘した。
読んでいくうちにどこか懐かしさも感じ、家族の在り方や限りある命の温かさを知ることができる。
自分の生い立ちや家族についてまで内省してしまう不思議な魔力がある本だ。
この本にそんなに惹かれると思っていなかった意外性と、妙さんという女性の中にある人間性が語りかける会話を体験してほしい一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一青妙さんの台湾の名家のお父様と日本人のお母様のお話り
若くして亡くなられたご両親の記憶と過去をめぐる物語はドラマのよう!
悲しくつらい思い出もあるけれど、残された手紙や日記、お友達や親戚のお話からご両親やご家族の愛情を感じました。
ふと、私が小さいころ、寝ていると夜に仕事から帰宅した父が子供部屋の私のところにきて、「ただいま」と頭をなでてくれた温かさを思い出しました。
両親との子供の頃の記憶を呼び起こしてくれる素敵な一青妙さんのお話でした。 -
台湾に生まれ、台湾と日本の両地で成長した筆者が見つけた箱に詰まった両親の思い出。日本人として統治時代の台湾で育った父と母との出会いからその死を手紙と日記で追う前半は共感を呼ぶ家族クロニクルといった趣だが、筆者が台湾五大名家の跡取だった父の後継として台湾に向かう後半で視点がぐっと広がり、近現代台湾史の中にある顔家の歴史に迫っていく。
一青姉妹の父親が基隆の名家の出身であることは知っていたが、日本統治時代から光復直後の2・28事件とそれに伴う白色テロが父親とその一族にも色濃く影を落としているなど、台湾史を知る上で欠かせない存在であることがわかり興味深く読める。同時に、筆者の妹が歌う「大家」や「パパママ」の歌詞の意味や想いもこの本に込められたものと同じであり、読んだ後に曲を聴くと、それがより強く伝わって聞こえてきた。