読書からはじまる (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.85
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本棚登録 : 1279
感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480437426

感想・レビュー・書評

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  • すきなほん。

  • 読書についてというよりも本とは言葉とはといった内容。私自身本を読むことは好きだけれど同時並行が出来ない分、後回しにしてしまうことが多い。本と向き合う時間をきちんと設けたいなと改めて思った。

  • 読者が好き!という理由をこの本で伝えられる

  • 本を読むと言うことを改めて考える本。
    今まで読んでも忘れてしまうことに罪悪感や自分の能力が低いのかと思うこともありましたが、それが本の持っている最も優れた力という言葉は印象的でした。
    言葉の大切さ、自分の在り方を考えさせられる本です。

  • 本について読む本。
    情報として本を読んでいる感は確かにある。
    もっと言葉を味わう読み方も身につける必要があるなぁ

    育てる、蓄える、分ける
    この3つのキーワードで言葉を紡いでいく。


    以下、印象的なシーン

    1. 子どもの本というのは、子どものための本なのではありません。大人になってゆくために必要な本のこと。
    →絵本でも読んでみようかな

    2. 本を一冊読もうと思ったら、その本をどの椅子で読もうかと考えられるなら、良い時間をきっと手に入れられるだろうと思うのです。〜この本をどの椅子で読もうかと考えて、そこから自分のことを考えてみる。これからそういうことが、とても重要になってくると思います。
    →今まで考えもしなかったなぁ。本は読んでたけどたしかにベッドで寝転んで読むか、電車の中かだったし、、、場所(椅子)ってとても大事かもしれない。

    3. 本というのは、本を開いて読めばいい、読まないうちは本を読んだことにならないのだということではないのです。本は読まなくても良いのです。しかし、自分にとって本を読みたくなるような生活を、自分からたくらんでゆくことが、これからは一人一人にとってたいへん重要になってくるだろうと考えるのです。〜本屋に寄る時間や、家具屋で椅子を覗く時間を、自分の1日のなかに作るだけで、本のある人生の風景が見えて来ます。
    →すごくいい。本、読書とは何かというちょっとした哲学を感じる。

  • すべて読書からはじまる。本を読むことが、読書なのではありません。自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすのが、読書です。

    とてもよく分かる。あー私の読書はこの一言に行き着くなあと思った。

  • 715


    友人というのはその場かぎりではありません。「ずっとつづく」関係です。親しい、よく知っているという以上 に、友人というあり方の根をなすのは、「ずっとつづく」ということ。「ずっとつづく」ものが友人であり、友人た りうるということであり、「ずっとつづく」というのは、日常的にずっと連続するだけでなく、日常的にたとえ連続 していなくとも、続いているという感覚がずっとつづいている、ということです。 友人と言うと、人間のようにしか聞こえないかもしれませんが、人間だけでなく、たとえば山もそうです。 そこに山がある。その山を見て、そこにひとは、さまざまなものを見る。緑を見る。晴れたり、曇ったり、天候を 見る。過ぎてゆく季節、やってくる季節を見る。山を見ているうちに、自分の思いを見ていることに気づくことも、 きっとあります。状況、年齢、環境、その日の気分の問題まで含めて、それぞれに、さまざまに、そこにある山を見 る

    本について語られる言葉のおおくには、すくなからぬ嘘があります。誰もが本についてはずいぶんと嘘をつきま す。忘れられない本があるというようなことを言います。一度読んだら忘れられない、一生心にのこる、一生もの だ、という褒め言葉をつかいます。こんないんちきな話はありません。人間は忘れます。だれだろうと、読んだ本を 片っ端から忘れてゆく。中身をぜんぶ忘れる。覚えているのはたださっきの小川のかがやきぐらいというのが、ほん とうです。読んでしばらく経ってから、これは読んだっけかなあというような本のほうが、ずっとたくさんあるはず です。

    たとえば、大学に行って、大学の誇る図書館で、その蔵書をどれだけ読むでしょうか。がんばって読んだとして 一人一〇〇冊あたりも読むでしょうか。とすれば、大学が誇るすばらしいよい図書館とは、ほとんどだれも読ま ない本がたくさんある図書館のことです。実際に読むかもしれない一〇〇冊ぐらいしか本がない図書館は、図書館と はよばれません。本は非常に不思議なのです。使わない洗濯機や、使わない自動車がたくさん並んでいても、役に立 たないのです。本は別です。だれも図書館のない大学には行きたいとは思わないでしょう。しかし実際に入っても、 図書館の本をほとんど読まないで卒業するでしょう。

    というのも、他人と競争する。他人と競争して、他人に勝つ。 るいは負ける。そのように勉強というものが、つねに他人を確かめ る、他人との距離を確かめるようにして行われてきたということが あります。しかし、子どもがどんどんすくなくなってゆく社会で は、他人に勝つために勉強する必要より、もっとずっと必要なのは 自分を確かにするためにする勉強であり、自分を確かめる方法とし ての勉強がいっそう求められます。



  • 「どんな言葉をどれだけきちんと使っているか、あるいはどれだけきちんと使えないでいるかが、それぞれを違える大事なものになってゆく」という一節に納得したり、「読書の鉄則は、ただ一つです。最初に良書ありき、ではありません。下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる、です」という言葉に共感して思わず笑ったり。
    読書を「自分を効率的に成長させてくれるもの」だと感じて、「本を読みたい」と言うひとも多いけれど、読書はむしろ効率とは程遠いものだと思う。退屈な時間、疲れる時間も多くて、それでも読み続けている内に、思わぬ発見に視界がひらけたり、いつまでも心の中に佇んで離れないひとに出逢えたりする。
    「本というのは、自分で、自分の時間をちゃんと使わないと機能しないメディア」だという言葉もあった。音楽や映画は流していれば勝手に進むけれど、本は自分で読み進めない限り、開いていれば勝手に読み進めてくれることなどあり得ない(音楽や映画と同様、内容をすっ飛ばせば勝手に進ませることは可能だし、音楽や映画も流し見では内容は入ってこないので、必ずしもそうだとは思わないけれど)。
    本を読んできて、内容を覚えていなくても、自分の考え方はこれまで読んできた本の欠片によって積み重ねられてきたものだなと思う。これからもマイペースに読書を続けていきたいと感じた。

  • 読了 20220801

  • 本への愛をとても感じる文章。本は読んでも忘れるものだけれども、それによって再読するチャンスが得られるという考え方は素敵。聖書が章や節で分けられて引用されるようになるのに1500年以上かかっているというのは知らなかったし興味深い。

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著者プロフィール

長田弘(おさだ・ひろし)
1939年、福島県福島市生まれ。早稲田大学第一文学部独文専修卒業。詩人。65年、詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー。98年『記憶のつくり方』で桑原武夫学芸賞、2009年『幸いなるかな本を読む人』で詩歌文学館賞、10年『世界はうつくしいと』で三好達治賞、14年『奇跡―ミラクル―』で毎日芸術賞をそれぞれ受賞。また、詩のみならずエッセイ、評論、翻訳、児童文学等の分野においても幅広く活躍し、1982年エッセイ集『私の二十世紀書店』で毎日出版文化賞、2000年『森の絵本』で講談社出版文化賞を受賞。15年5月3日、逝去。

「2022年 『すべてきみに宛てた手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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