幸福とは何か (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480683298

作品紹介・あらすじ

幸福とは何か。私たちは何のために生きているのか――誰もが一度は心をつかまれるこの問題を、たくさんの思考実験を通して考えよう。思考力を鍛える倫理学入門。

感想・レビュー・書評

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  • 今まで幸福論にあまり興味がなかったけれど、多分福祉を考える上でも人の生き方という点においても重要なのかもしれないと思った。

    2章(p80)
    人が最初から欲求を諦めていれば欲求の非実現をなくせるし、欲求の水準を下げておけば欲求を実現しやすくなるが、そのことは当人のウェルビーイングを高めることにはならない
    「適応的選好形成adaptive preference formation」
    ノルウェー出身の社会学者ヤン・エルスター

    単純に幸福度だけでは判断てきないということ。欲求を諦めて選択できる範囲内での実現だけを幸福といっていいのか。

  • 快楽説や欲求実現説など、幸福をいかに計るかについてはなんとなく自分でも想像していた部分だったが、そこに「時間」が関係してくるという議論がとても興味深かった。上り坂と下り坂、平均値か最大値か、などなど、今後の人生を見つめる上で度々思い出しそうだと思う。

  • 『自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門』の著者による、タイトルどおり「幸福とはなにか」と問いつつ「倫理学」について学んでいきましょう、という感じです。

    まず「幸福は定義できるか」という問いがあり、「どうも定義できなさそうだ」というあたりに落ち着いて、幸福と時間との関係の解説があって終了、という素敵な内容でした。

    131ページから始まる直観的判断についての解説、「幸福とはなにか?」という以前にそもそも「快楽や欲求実現はなぜよいものなのか?」という前提への問いがあまりにおもしろすぎる。

  •  幸福とは何か。その定義は難しい。幸福はひと時の感情でもあるし、ある程度の時間の積み重ねの中で生まれるものでもある。同じ経験をしてもそれに幸福を感じるかどうかは人によっても、時間によっても、また周囲の環境によっても変わってしまう。だから、科学的に幸福度を定量化することはかなり困難だ。
     一方で幸福はしばしば比較される。誰より誰の方が幸福だとか不幸だとかいう表現は日常的に繰り返されている。でもそれが何を基準にしているのかと問われると主観であると答えるしかなくなる。
     本書はこの問題に哲学的な思考をもって答えようとする。そしてそこには思考実験が提案されている。これは積極的仮説とでもいうべきもので現実性などは考慮せず、考えてみることで新しいアイディアが生まれるというものである。
     本書は幸せになる方法ではない。むしろ幸せを定義するのがこんなにも困難であると思い知らされ少々不快になるかもしれない。哲学的思考とはどのようなものかを体験するにはいい本であることは間違いない。

  • 何が幸福ではないか。
    何が幸福なのか。

    哲学の観点から幸福を論じる。

    [目次]

    序章 本書は何をめざし、何をめざさないか
    第1章 快楽説 - 幸福とは快い心理的状態のことだ
    第2章 欲求実現説 - 欲求が満たされれば幸福になれる
    第3章 客観的リスト説 - 幸福を構成する要素が複数存在する
    第4章 折衷説 - これまでのどの説も部分的にしか正しくなかった
    第5章 幸福と時間 - 幸福度判断の時間的単位と時間の向き
    最終章 あとがきに代えて
    --

  • 『理由と人格』に挫折していたので、翻訳者が書いたこちらを読んでみた。パーフィットが読める気がしてきたぞ!

  • 151-M
    閲覧新書

  • 東2法経図・6F開架:151A/Mo56k//K

  • 日頃、幸福について考えることが多いので、題に興味を持ち、読んだ。
    比較的最初の方で、自分は幸せを定義することについては興味がないことがわかってしまったが、せっかく途中まで読んだのだからと思い、読み続けた。途中、疲れている時に読んでいたからかもしれないが、言葉が頭をすり抜けてしまい、内容が頭に入ってこない状態が続き、苦痛に感じることもあったが、思考実験を多く用いていたことや、興味を持って読むことができた部分もあり(特に、最終章の幸福と時間についての記述は大変興味深かった)最後まで読めた。
    本書を読んで、幸福を定義する様々な考えを知ることができた。また、幸福を正確に定義するのは難しいことなのだとわかった。

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著者プロフィール

一橋大学名誉教授

「2023年 『法と哲学 第9号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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